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第三章 ティオール森林編
第43話 会議を終えて
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「というわけで、ティオール森林へ一緒に旅行に行くよ」
師匠が冒険者会議から帰ってくるなりそう言った。会議の内容を聞く限り、師匠が一人で調査に向かうのでは──というか極秘なのに俺に話してしまってよかったのだろうか。そもそも調査であって旅行ではないだろう。
「いやぁ、迷ったんだけどね。何が起こっているか分からないから、コルネくんを連れて行くと危ないかもしれない──そう思ったんだけど調査に行くとしばらく帰って来られないから寂しいっていうのもあって……」
師匠が手をもじもじさせながら、目を逸らす。まあ確かに広い森の中を一人で歩くのは、寂しいし危ないからな。師匠にとっては危なくはないだろうけど。
「でも役人に『一人だと怪しまれるかもしれないので、何人か付けますね』って言われたとき、咄嗟に『弟子と行くので』って……」
言ってしまったのか……俺としてはまんざらでもない──というか行きたい。
ラムハに初めて来たとき、見たことのないものにたくさん出会ってわくわくした。もっと──もっと知らないものに触れてみたい、食べたことのないものを食べてみたい。そう思った。
ここに来てからはパーティ時代と違い、移動はほとんどなくなった。少し前にダグさんのところに行ったばかりだが、思えば街の外に出たのはあれだけだ。
毎日の修行が欠かせないのは分かっているのだが、やはりたまには羽目を外したいというか──外出のときは修行をほとんどしなくていいことが分かり、味を占めてしまったというか。こっちの方が主な理由だ。
「どうかな、コルネくん。どうしても嫌だったら断るけど、僕と一緒に来てくれないかな?」
「行きましょう。俺も見聞を広げたいと思っていました」
他にも理由があるが、これも理由の一つだから嘘はついていない。
するとハの字になっていた師匠の眉が戻って、ぱぁっと花が開くように満面の笑みになった。そんな反応をされると罪悪感が……いや、むしろ言えないような理由でも師匠の笑顔に繋がったのならよし、としておこう。
「ありがとう、コルネくん。ありがとう……」
さっきまで笑っていたのに勝手に感極まってしまったようで、師匠の目には少し涙が浮かんでいる。もしかしたら一人で寂しく森を何日も彷徨う想像をしてしまったのかもしれない。
「では、私は留守番ということで」
師匠にハンカチを手渡しながらヘルガさんが言う。いつものように無表情のままだが、声色から残念だという気持ちが漏れている。
誰かが留守番をしなければいけないから、全員で行くわけにはいかないものな。最奥部で採ってきた大きな魔力結晶もあるし、他の人に頼むわけにもいかないだろう。
ヘルガさんに申し訳ないな……何かお土産を絶対買って帰ろう。
師匠が冒険者会議から帰ってくるなりそう言った。会議の内容を聞く限り、師匠が一人で調査に向かうのでは──というか極秘なのに俺に話してしまってよかったのだろうか。そもそも調査であって旅行ではないだろう。
「いやぁ、迷ったんだけどね。何が起こっているか分からないから、コルネくんを連れて行くと危ないかもしれない──そう思ったんだけど調査に行くとしばらく帰って来られないから寂しいっていうのもあって……」
師匠が手をもじもじさせながら、目を逸らす。まあ確かに広い森の中を一人で歩くのは、寂しいし危ないからな。師匠にとっては危なくはないだろうけど。
「でも役人に『一人だと怪しまれるかもしれないので、何人か付けますね』って言われたとき、咄嗟に『弟子と行くので』って……」
言ってしまったのか……俺としてはまんざらでもない──というか行きたい。
ラムハに初めて来たとき、見たことのないものにたくさん出会ってわくわくした。もっと──もっと知らないものに触れてみたい、食べたことのないものを食べてみたい。そう思った。
ここに来てからはパーティ時代と違い、移動はほとんどなくなった。少し前にダグさんのところに行ったばかりだが、思えば街の外に出たのはあれだけだ。
毎日の修行が欠かせないのは分かっているのだが、やはりたまには羽目を外したいというか──外出のときは修行をほとんどしなくていいことが分かり、味を占めてしまったというか。こっちの方が主な理由だ。
「どうかな、コルネくん。どうしても嫌だったら断るけど、僕と一緒に来てくれないかな?」
「行きましょう。俺も見聞を広げたいと思っていました」
他にも理由があるが、これも理由の一つだから嘘はついていない。
するとハの字になっていた師匠の眉が戻って、ぱぁっと花が開くように満面の笑みになった。そんな反応をされると罪悪感が……いや、むしろ言えないような理由でも師匠の笑顔に繋がったのならよし、としておこう。
「ありがとう、コルネくん。ありがとう……」
さっきまで笑っていたのに勝手に感極まってしまったようで、師匠の目には少し涙が浮かんでいる。もしかしたら一人で寂しく森を何日も彷徨う想像をしてしまったのかもしれない。
「では、私は留守番ということで」
師匠にハンカチを手渡しながらヘルガさんが言う。いつものように無表情のままだが、声色から残念だという気持ちが漏れている。
誰かが留守番をしなければいけないから、全員で行くわけにはいかないものな。最奥部で採ってきた大きな魔力結晶もあるし、他の人に頼むわけにもいかないだろう。
ヘルガさんに申し訳ないな……何かお土産を絶対買って帰ろう。
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