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レトナーク編
第19話 ソワソワしちゃう
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翌朝、ロゼの案内で魔物が巣くってしまった採掘場に向かった。採掘場は荒涼として広く、森を削られて出来た崖に囲まれて奥へと広がっていた。むき出しの岩場のところどころに木々が生い茂り、荷車などが放置されていた。ワイバーンの巣はずっと奥の方だと聞いている。
ガイが空を見上げる。天にも地にも今はワイバーンの気配がない。
「隠れる場所がないな。崖の上の木陰に隠れながら奥に進んでみるか」
崖が低いところを探して登り、採掘場を見下ろしながらワイバーンの巣を探すことになった。しばらくして採掘場の奥まった窪地に、ワイバーンの巣を見つけた。主は不在だが、ところどころにワイバーンの剥がれたうろこが落ちている。
「主が帰って来るまで待ってみるか? 今日か明日かいつになるか読めないけど」と、ガイが言うが、ミアがソワソワしている。
「もしかしてミア、ワイバーンのうろこ拾いたいとか思ってない? 」
ギルがそう言うと、ミアは慌てて「そんなことないよ」と答えるが顔には欲しいと書いてある。
「ミア、収集好きだもんね」と、ロゼが目をパチパチとした。
「いつ戻って来るか分からないし……巣までいってみる? 」
「うん」
ギルの誘いに、ミアは好奇心が抑えられずついてきてもらうことにした。ロゼとガイは、巣の真上にせり出した崖の上まで移動して待機することにした。
採掘で粉砕された岩がワイバーンによって円を描くように盛り上げて積まれている。崖から降りて岩と岩の隙間に落ちているうろこをミアが拾い集め始めて、ふとロゼ達が身を潜めている崖の中腹に目をやる。
「ね、あれ、ギル……あの塊は琥珀だよね。掘り出したら大きいかも」
ミアはギルの袖をつまんで声を掛けると、目星に向けて指をさした。一見ではそれと分からない岩が地層からから突き出している。
「その可能性はありそうだね……」
崖の中腹に目を向けている二人の背中に言い知れぬ圧迫感が舞い降りてきた。
その姿はまだ見えないが、森の鳥たちが一瞬ざわめいたかと思うと、息をひそめるように静かになる。風が葉を揺らす音が大きくなり、ミアが踏みしめる砂利の音が不安を呼び寄せる。ギルが空を見上げてミアを背に身構えると、ワイバーンの翼の音が近づいてきた。
ガイも主の気配を察した。
「いきなり主が現れるとはね。運がいい……かな? おとり作戦は流石にと思っていたけど、そのまんまになってしまったな」
そう言ったガイとロゼは、刀身を抜いて息をひそめた。
ガイが空を見上げる。天にも地にも今はワイバーンの気配がない。
「隠れる場所がないな。崖の上の木陰に隠れながら奥に進んでみるか」
崖が低いところを探して登り、採掘場を見下ろしながらワイバーンの巣を探すことになった。しばらくして採掘場の奥まった窪地に、ワイバーンの巣を見つけた。主は不在だが、ところどころにワイバーンの剥がれたうろこが落ちている。
「主が帰って来るまで待ってみるか? 今日か明日かいつになるか読めないけど」と、ガイが言うが、ミアがソワソワしている。
「もしかしてミア、ワイバーンのうろこ拾いたいとか思ってない? 」
ギルがそう言うと、ミアは慌てて「そんなことないよ」と答えるが顔には欲しいと書いてある。
「ミア、収集好きだもんね」と、ロゼが目をパチパチとした。
「いつ戻って来るか分からないし……巣までいってみる? 」
「うん」
ギルの誘いに、ミアは好奇心が抑えられずついてきてもらうことにした。ロゼとガイは、巣の真上にせり出した崖の上まで移動して待機することにした。
採掘で粉砕された岩がワイバーンによって円を描くように盛り上げて積まれている。崖から降りて岩と岩の隙間に落ちているうろこをミアが拾い集め始めて、ふとロゼ達が身を潜めている崖の中腹に目をやる。
「ね、あれ、ギル……あの塊は琥珀だよね。掘り出したら大きいかも」
ミアはギルの袖をつまんで声を掛けると、目星に向けて指をさした。一見ではそれと分からない岩が地層からから突き出している。
「その可能性はありそうだね……」
崖の中腹に目を向けている二人の背中に言い知れぬ圧迫感が舞い降りてきた。
その姿はまだ見えないが、森の鳥たちが一瞬ざわめいたかと思うと、息をひそめるように静かになる。風が葉を揺らす音が大きくなり、ミアが踏みしめる砂利の音が不安を呼び寄せる。ギルが空を見上げてミアを背に身構えると、ワイバーンの翼の音が近づいてきた。
ガイも主の気配を察した。
「いきなり主が現れるとはね。運がいい……かな? おとり作戦は流石にと思っていたけど、そのまんまになってしまったな」
そう言ったガイとロゼは、刀身を抜いて息をひそめた。
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