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第52話 チャレンジ
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//|1|2|3|4|5|6|7|8|9|計 ――――――――――――――――――――
上級生|3|0|7| |10|
中学生|0|3|5| |5|
試合状況:ワンナウト・一、三塁
最後の打者の反応、明らかに驚いてた。多分ストライクを投げてこないと思い込まれてたかそういう指示が出されてたかだけど…3球目の時といい読み合いで読み勝ったというより随分消極的な配球すると思われてたって事だよな。くそっ!まあ仕方ないか、初回のリードを考えると。
『もっと強気で行きなさいよ、強気で!』
って…あの愚妹にも言われる始末だからな…ムカつくけど。強気か…ワンナウト・一、三塁。これまで通りアウト優先で良い。良いんだがここは…
「サードもっと前に」
「お、おお」
ランナーがサードに居る為サードの自分を前進させる理由は分かるものの、それをわざわざ野手用のブロックサインで指示するのではなく直接的に声で指示を出してきた意図が理解できず戸惑いつつも前進するがその距離に納得しない隆介が更に前にるよう仰ぐ。
「もっとだ、もっと前に出ろ」
「えっ?」
これまで龍介とシニアで一緒にやってきた梁間だが初めて言っていい大胆過ぎる指示に戸惑いつつも更に足を前に進める。彼の現在立ち位置はサードの定位置からホームベースの中間程の場所。本来ならありえない程の超前進守備。それだけに守備にもプレッシャーを通り越してまるでやってはいけない事をしてしまっているような罪悪感が浮かんでくる。
(これ明らかに前に出過ぎだろう!ゴロでもこの距離だと反応しきれるかわかんないし、軽く頭越されたら打ち取った当たりでもヒットになっちまうぞ!)
しかし梁間が緊張で若干青ざめているのに対しバッターは怒りで赤くなっていた。
(流石にこの距離は舐め過ぎだろう!くっそ、ここまでされたらぜってーサードぶち抜いてやる!)
予想以上に力んでくれてる。これなら上手く行けば…
(おいー!流石にこれは強気って言わねーだろう!無謀だ無謀!ほらー、先輩もめっちゃこっち睨んでるし。これで打球抜けても俺は悪くねーからな!悪くねーからな!?)
といった梁間の心の叫びは残念ながら龍介には届かず彼は輝明にサインを出す。
≪インハイに…これを≫
(インコースこい、インコース!ライナーブチかます!)
(来るな!来るな!来るな!)
”シュッ”
(来た!インコース!喰らえやサー…!)
内側にボールが来たことでしめたと思って振りに行くもそれは高めに二つ分外れたボール球。ボールの下を思いっきり叩いてしまい打ち上げてしまった。打球はピッチャー頭上に飛び、無事にキャッチしてピッチャーフライで2アウトとなった。
「こらー!何やってんだ田中!思いっきりボール球じゃねーか!」
「しかも初球から…俺でもあれは振らないぞ~」
「うるせー!」
(チィ!つい力んだ)
「前沢、お前今わざとサイン出さなかっただろう?お前ならあの前進守備の意図がわからんかったわけは無いだろう?身内びいき、弟可愛さ故…ってだけじゃないだろうな?」
「勿論兄とし弟の成功は祈ってますけどそういうので手抜きされての成功じゃ喜ばないだろうし意味は無いんで完全に私情では無いですよ」
「ここまでボロボロにしといて今更手心加えるとワケワカメだからね」
「…元々キャッチャーという役職上仕方ないとこでもあるんですけど少々保守的過ぎるというか危ない橋を全く渡らないのでリードや指示が偏る事あったんですけど今回かなり前のめりに積極的な指示を出してきましたからね。今なら失敗しても潰れる事は無いでしょうけどせっかく勝負に出て早々失敗するとまた頭が守りに入って殻を破ろうとしない可能性あったんで意図は理解してましたけどこの成功が結果的チームにとってプラスになるだろうと思ったので今回はあえて指示を出しませんでした」
「そうか」
「自由は待ての指示は出さなかったけどヒッティングのサインも出さなかったからね。つまり選択権は田中っちに委ねましたから完全な贔屓では無いね~。あんな見え見えの作に引っかかった梁間っちは情けないけのは確かだね。でもまあ、可哀そうだから本人には言わないようこころがけようか」
「その本人が帰って来てるにも拘わらずよく図々しくもそんなセリフ吐けたな浮遊君よぉ?」
「あれれ?田中っちいつの間に?お帰り。いや~全然気付かなかったよ。メンゴ、メンゴ」
「間隣に来たのに気付かないわけないだろうが。気付いててわざああいう言い方した
だろ。あと先輩に対して○○っちとか言うの止めろ!」
思ったより普通に打ち上げてくれて良かった。これで2アウトだから後アウト一つに集中出来る。ここを切り抜ければこの回を無失点で乗り切って波に乗れる。けどここで…
龍介は嫌な顔をしながらネクストサークルからバッターボックスに歩いて来る打者を見つめていた。
上級生|3|0|7| |10|
中学生|0|3|5| |5|
試合状況:ワンナウト・一、三塁
最後の打者の反応、明らかに驚いてた。多分ストライクを投げてこないと思い込まれてたかそういう指示が出されてたかだけど…3球目の時といい読み合いで読み勝ったというより随分消極的な配球すると思われてたって事だよな。くそっ!まあ仕方ないか、初回のリードを考えると。
『もっと強気で行きなさいよ、強気で!』
って…あの愚妹にも言われる始末だからな…ムカつくけど。強気か…ワンナウト・一、三塁。これまで通りアウト優先で良い。良いんだがここは…
「サードもっと前に」
「お、おお」
ランナーがサードに居る為サードの自分を前進させる理由は分かるものの、それをわざわざ野手用のブロックサインで指示するのではなく直接的に声で指示を出してきた意図が理解できず戸惑いつつも前進するがその距離に納得しない隆介が更に前にるよう仰ぐ。
「もっとだ、もっと前に出ろ」
「えっ?」
これまで龍介とシニアで一緒にやってきた梁間だが初めて言っていい大胆過ぎる指示に戸惑いつつも更に足を前に進める。彼の現在立ち位置はサードの定位置からホームベースの中間程の場所。本来ならありえない程の超前進守備。それだけに守備にもプレッシャーを通り越してまるでやってはいけない事をしてしまっているような罪悪感が浮かんでくる。
(これ明らかに前に出過ぎだろう!ゴロでもこの距離だと反応しきれるかわかんないし、軽く頭越されたら打ち取った当たりでもヒットになっちまうぞ!)
しかし梁間が緊張で若干青ざめているのに対しバッターは怒りで赤くなっていた。
(流石にこの距離は舐め過ぎだろう!くっそ、ここまでされたらぜってーサードぶち抜いてやる!)
予想以上に力んでくれてる。これなら上手く行けば…
(おいー!流石にこれは強気って言わねーだろう!無謀だ無謀!ほらー、先輩もめっちゃこっち睨んでるし。これで打球抜けても俺は悪くねーからな!悪くねーからな!?)
といった梁間の心の叫びは残念ながら龍介には届かず彼は輝明にサインを出す。
≪インハイに…これを≫
(インコースこい、インコース!ライナーブチかます!)
(来るな!来るな!来るな!)
”シュッ”
(来た!インコース!喰らえやサー…!)
内側にボールが来たことでしめたと思って振りに行くもそれは高めに二つ分外れたボール球。ボールの下を思いっきり叩いてしまい打ち上げてしまった。打球はピッチャー頭上に飛び、無事にキャッチしてピッチャーフライで2アウトとなった。
「こらー!何やってんだ田中!思いっきりボール球じゃねーか!」
「しかも初球から…俺でもあれは振らないぞ~」
「うるせー!」
(チィ!つい力んだ)
「前沢、お前今わざとサイン出さなかっただろう?お前ならあの前進守備の意図がわからんかったわけは無いだろう?身内びいき、弟可愛さ故…ってだけじゃないだろうな?」
「勿論兄とし弟の成功は祈ってますけどそういうので手抜きされての成功じゃ喜ばないだろうし意味は無いんで完全に私情では無いですよ」
「ここまでボロボロにしといて今更手心加えるとワケワカメだからね」
「…元々キャッチャーという役職上仕方ないとこでもあるんですけど少々保守的過ぎるというか危ない橋を全く渡らないのでリードや指示が偏る事あったんですけど今回かなり前のめりに積極的な指示を出してきましたからね。今なら失敗しても潰れる事は無いでしょうけどせっかく勝負に出て早々失敗するとまた頭が守りに入って殻を破ろうとしない可能性あったんで意図は理解してましたけどこの成功が結果的チームにとってプラスになるだろうと思ったので今回はあえて指示を出しませんでした」
「そうか」
「自由は待ての指示は出さなかったけどヒッティングのサインも出さなかったからね。つまり選択権は田中っちに委ねましたから完全な贔屓では無いね~。あんな見え見えの作に引っかかった梁間っちは情けないけのは確かだね。でもまあ、可哀そうだから本人には言わないようこころがけようか」
「その本人が帰って来てるにも拘わらずよく図々しくもそんなセリフ吐けたな浮遊君よぉ?」
「あれれ?田中っちいつの間に?お帰り。いや~全然気付かなかったよ。メンゴ、メンゴ」
「間隣に来たのに気付かないわけないだろうが。気付いててわざああいう言い方した
だろ。あと先輩に対して○○っちとか言うの止めろ!」
思ったより普通に打ち上げてくれて良かった。これで2アウトだから後アウト一つに集中出来る。ここを切り抜ければこの回を無失点で乗り切って波に乗れる。けどここで…
龍介は嫌な顔をしながらネクストサークルからバッターボックスに歩いて来る打者を見つめていた。
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