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第2章 冒険者編
120話 一難去ってまた一難2
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他の怪我で運ばれて来た冒険者も大勢集まっている中で明かに悪目立ちしている奇抜な髪の二人組。そして本来受けつをしているであろうそこはまるで宴会の会場なのかと錯覚してしまうくらい食べ物と飲み物が並べられ、床には空いた酒瓶や食べカスが散乱していた。
「さあさあもっと食え!俺らのおごりだ!」
直接見たことは無いものの、これまで通って来た通路や病室の清潔さを考えるとその空間に衛生的にも当然のようにあっただろう静けさも面影はなく、病院であるにも関わず只々騒いで飲み食いを楽しむだけの混沌空間《カオス》と化していた。
普段であれば『あんな人俺は知りません。無関係です』とでも言ってしらを切り通しただろう。しかし、断り切れなかったからとはいえ仮にもあの変人ヘッド二人を預かってしまった以上責任を取る意味でもあの二人が知り合いという現実とこの場を収めてあの二人を持ち帰るというを直視せねばならない責任を果たさねばならなかった。
そうだった、こいつらの面倒も見ないといけないんだった。着いて早々色々あり過ぎて忘れてた。王女らとこの二人が一緒とか…何となく覚悟はしてたけど実際に近くで並ぶと絶望感というか見たくない現実を付けつけられている感じがするな。と、そんな事よりもこの場をなんとか収めないと
どうやってこの場を収めるか頭を悩ませているとスコーンとモヒの二人はこちらに気付いた。
「おお、今回の作戦を完璧に遂行した功労者たる我が部下が姿を現したぞ」
「はぁ?」
大河にとって訳の分からない発言だったが冒険者たちはその台詞の直後にスコーンの指差した方を一斉に向き、大河らの姿を捉えた瞬間にその空間は歓喜に包まれた。
状況が飲み込めない中、いつの間にか近くに来ていたスコーンが馴れ馴れしく首に腕を回してきた。
「よお、遅かったではないか我が親友」
「いつ俺とお前が親友になったんだよ?そしていつ俺がお前の部下になったって?」
「そう照れるな」
「照れてねえ。ちゃんと人の話聞けよ」
「お前も俺のような有能な上官をもてて幸せだろう?」
「お前のような汚職隊長なんかを上官にもつくらいなら職を失っても隊を離れた方がまだマシだ」
「いや~そこまで褒められると流石にこっちも照れるな」
「いや、断じて褒めてない。寧ろ何で今の会話でそんな反応が出来るのか甚だ疑問でしかない」
「まあ確かにお前が俺たちを極悪卑劣な罠に嵌めてたせいで我々の努力によって貯めた金で集めた職場と家に保管していた俺のバービー人形コレクションを全て没収され、父上からのキツイ指導を受ける事になった時はお前にどう復讐してやろうかと毎日毎日考えていた」
完全に自業自得の逆恨みだろう
「俺もお前のせいで家にあった拷問器具コレクションの没収と警備隊の地下室の拷問部屋が警備隊の資金を使用して改良したものだと発覚され、1日逆さ釣りにされた時はどう報いを受けさせてやろうかとそればかり考えていた」
とても警備隊のそれとは思えない程かなり異常な部屋だとは思ってたけどやっぱりお前ら仕業かよ!しかも…
「自分の金じゃなく隊の資金を自身の趣味に使用するのは流石に逸脱が過ぎるだろう?」
「何を言うか、あの部屋を改造したことによって犯罪者の自白確率が格段と上がったのだぞ」
「そうだぞ、俺たちはあくまで隊の事を考えてあのような模様にしたのだ。決して私的な理由ではない」
そもそもあの部屋に連れて行かれる人間が本当に犯罪者かどうかも疑わしいけどな。それにその主張が本当に正しいのならお前らの親父さん方に吊るされてないだろうし、そういう事なんだろうな
「まあ色々あって恨んでいたが貴様のお陰で父上《シュヴァルド》のシバキから解放された」
「結果的にだけどな」
正直永久的にシバいておいほしかったけど
「しかもこれまで非礼の詫びといわんばかりに今回都市《リボーン》に進行してきた敵を退かせた活躍を献上してくれるとは」
「はい?」
「それにその功績のお陰で都市から与えらた報奨金も頂けるとは」
「はいっ!?」
「今は名誉回復が第一だからな。その足掛かりとする為にもこの金は今回戦いに参加した全ての冒険者の治療費と祝いの食事代に使い我々の名声を上げる事にしたのだ。どうだ、良き上官をもててしあわせだろう?」
「………」
やべぇ寝起き&病み上がりなのもあるけど、あまりに一気に色々な事実が飛び出し過ぎて受け止めきれねえ。ちょっと冷静に整理しよう
1.このアホ共の管理者が父親たちから俺に変わってしまい、現実に目の前に現れてしまった。
これは大丈夫。これからが大丈夫かは全然わからないが取り敢えず大丈夫。
2.都市《リボーン》に進行してきた敵を追い返した手柄をコイツラに献上したことになっている。
………正直これが意味わからないんだが。まあ、作戦遂行をどうのこうの言ってたから、今回の戦いの裏で指揮を執っていたとでも嘯いたのだろう。こいつらの部下扱いされるなど甚だ遺憾だし、そもそも戦闘時に都市ににすら居なかったであろうに大嘘もいいところだ。けどこれくらいなら現時点ではそこまで問題じゃない
3.都市《リボーン》に進行してきた敵を退かせた功績のお陰で都市から与えらた報奨金も献上したことになっている
……………これは本当にわからない。わからないというか分かりたくない。シンプルに考えるのなら要は金をこの馬鹿二人にネコババされたということである。しかもその金を無断で私的な理由で使われた末に静かにしなければならい筈の病院でどんちゃん騒ぎをして今に至ると。………ふう
つまりまとめると無い事実を作って大嘘を付き、本来俺らが貰うであったであろう金を泥棒し、その金に自らの名声の為に使った結果名声とゴミと病院側への不満と迷惑がが溜まりに溜まりに、俺がそのツケの後始末をせねばならなくなったという事だ。なるほどなるほど、よぉーーーく分かった。
「………」
「どうしたのだ急に黙りこくって」
「これだけの者が集まっているからな。緊張して…」
”ガシッ”
「「ん?」」
「こんんの…馬鹿がぁーー!」
「「イギャァーー!!」」
大河は二人の頭を掴むと頭蓋骨を割らんとばかりに怒りのままに力を込めた。その直後二人の悲鳴が病院内に響き渡った。
「さあさあもっと食え!俺らのおごりだ!」
直接見たことは無いものの、これまで通って来た通路や病室の清潔さを考えるとその空間に衛生的にも当然のようにあっただろう静けさも面影はなく、病院であるにも関わず只々騒いで飲み食いを楽しむだけの混沌空間《カオス》と化していた。
普段であれば『あんな人俺は知りません。無関係です』とでも言ってしらを切り通しただろう。しかし、断り切れなかったからとはいえ仮にもあの変人ヘッド二人を預かってしまった以上責任を取る意味でもあの二人が知り合いという現実とこの場を収めてあの二人を持ち帰るというを直視せねばならない責任を果たさねばならなかった。
そうだった、こいつらの面倒も見ないといけないんだった。着いて早々色々あり過ぎて忘れてた。王女らとこの二人が一緒とか…何となく覚悟はしてたけど実際に近くで並ぶと絶望感というか見たくない現実を付けつけられている感じがするな。と、そんな事よりもこの場をなんとか収めないと
どうやってこの場を収めるか頭を悩ませているとスコーンとモヒの二人はこちらに気付いた。
「おお、今回の作戦を完璧に遂行した功労者たる我が部下が姿を現したぞ」
「はぁ?」
大河にとって訳の分からない発言だったが冒険者たちはその台詞の直後にスコーンの指差した方を一斉に向き、大河らの姿を捉えた瞬間にその空間は歓喜に包まれた。
状況が飲み込めない中、いつの間にか近くに来ていたスコーンが馴れ馴れしく首に腕を回してきた。
「よお、遅かったではないか我が親友」
「いつ俺とお前が親友になったんだよ?そしていつ俺がお前の部下になったって?」
「そう照れるな」
「照れてねえ。ちゃんと人の話聞けよ」
「お前も俺のような有能な上官をもてて幸せだろう?」
「お前のような汚職隊長なんかを上官にもつくらいなら職を失っても隊を離れた方がまだマシだ」
「いや~そこまで褒められると流石にこっちも照れるな」
「いや、断じて褒めてない。寧ろ何で今の会話でそんな反応が出来るのか甚だ疑問でしかない」
「まあ確かにお前が俺たちを極悪卑劣な罠に嵌めてたせいで我々の努力によって貯めた金で集めた職場と家に保管していた俺のバービー人形コレクションを全て没収され、父上からのキツイ指導を受ける事になった時はお前にどう復讐してやろうかと毎日毎日考えていた」
完全に自業自得の逆恨みだろう
「俺もお前のせいで家にあった拷問器具コレクションの没収と警備隊の地下室の拷問部屋が警備隊の資金を使用して改良したものだと発覚され、1日逆さ釣りにされた時はどう報いを受けさせてやろうかとそればかり考えていた」
とても警備隊のそれとは思えない程かなり異常な部屋だとは思ってたけどやっぱりお前ら仕業かよ!しかも…
「自分の金じゃなく隊の資金を自身の趣味に使用するのは流石に逸脱が過ぎるだろう?」
「何を言うか、あの部屋を改造したことによって犯罪者の自白確率が格段と上がったのだぞ」
「そうだぞ、俺たちはあくまで隊の事を考えてあのような模様にしたのだ。決して私的な理由ではない」
そもそもあの部屋に連れて行かれる人間が本当に犯罪者かどうかも疑わしいけどな。それにその主張が本当に正しいのならお前らの親父さん方に吊るされてないだろうし、そういう事なんだろうな
「まあ色々あって恨んでいたが貴様のお陰で父上《シュヴァルド》のシバキから解放された」
「結果的にだけどな」
正直永久的にシバいておいほしかったけど
「しかもこれまで非礼の詫びといわんばかりに今回都市《リボーン》に進行してきた敵を退かせた活躍を献上してくれるとは」
「はい?」
「それにその功績のお陰で都市から与えらた報奨金も頂けるとは」
「はいっ!?」
「今は名誉回復が第一だからな。その足掛かりとする為にもこの金は今回戦いに参加した全ての冒険者の治療費と祝いの食事代に使い我々の名声を上げる事にしたのだ。どうだ、良き上官をもててしあわせだろう?」
「………」
やべぇ寝起き&病み上がりなのもあるけど、あまりに一気に色々な事実が飛び出し過ぎて受け止めきれねえ。ちょっと冷静に整理しよう
1.このアホ共の管理者が父親たちから俺に変わってしまい、現実に目の前に現れてしまった。
これは大丈夫。これからが大丈夫かは全然わからないが取り敢えず大丈夫。
2.都市《リボーン》に進行してきた敵を追い返した手柄をコイツラに献上したことになっている。
………正直これが意味わからないんだが。まあ、作戦遂行をどうのこうの言ってたから、今回の戦いの裏で指揮を執っていたとでも嘯いたのだろう。こいつらの部下扱いされるなど甚だ遺憾だし、そもそも戦闘時に都市ににすら居なかったであろうに大嘘もいいところだ。けどこれくらいなら現時点ではそこまで問題じゃない
3.都市《リボーン》に進行してきた敵を退かせた功績のお陰で都市から与えらた報奨金も献上したことになっている
……………これは本当にわからない。わからないというか分かりたくない。シンプルに考えるのなら要は金をこの馬鹿二人にネコババされたということである。しかもその金を無断で私的な理由で使われた末に静かにしなければならい筈の病院でどんちゃん騒ぎをして今に至ると。………ふう
つまりまとめると無い事実を作って大嘘を付き、本来俺らが貰うであったであろう金を泥棒し、その金に自らの名声の為に使った結果名声とゴミと病院側への不満と迷惑がが溜まりに溜まりに、俺がそのツケの後始末をせねばならなくなったという事だ。なるほどなるほど、よぉーーーく分かった。
「………」
「どうしたのだ急に黙りこくって」
「これだけの者が集まっているからな。緊張して…」
”ガシッ”
「「ん?」」
「こんんの…馬鹿がぁーー!」
「「イギャァーー!!」」
大河は二人の頭を掴むと頭蓋骨を割らんとばかりに怒りのままに力を込めた。その直後二人の悲鳴が病院内に響き渡った。
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