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第2章

第十一話 ~詩織との二回目のデート~ ②

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 第十一話 ~詩織との二回目のデート~ ②





 愛車を無料の駐輪場に停めたあと、防犯対策をしっかりと済ませた上で駅へと歩く。

 道行く若い女性からは、かなりの視線を受けているのがわかる。

 よし。悪くない手応えだな。

 やはり、オシャレを意識した眼鏡を持っていて正解だったな。佐々木さん兄妹には感謝しないとな。

 そんなことを考えながら、駅の構内を進む。

 時間を確認すると八時五十分。
 あと十分程で到着する電車に、詩織さんには乗っていてくれ。そう話をしてある。

 これから向かう場所は、現地集合するには遠いと思っている。なので、そのに向かう時間も二人で過ごすことで楽しもう。
 そう考えていたからだ。

 そして、構内で時間を潰しているとスマホにメッセージが届いた。

『そろそろ到着します。今から悠斗くんに会えるのでとても嬉しい気持ちでいっぱいです』

 ははは。可愛いメッセージが来たな。

『俺も詩織に会えるのを楽しみにしてるよ』

 俺は彼女にそうメッセージを返信して、スマホをポケットの中にしまった。

 ちょうどそのタイミングで、電車がやって来た。

「来たか」

 俺がそうつぶやくと、目の前で止まった電車のドアが開く。

 そこには顔を赤くした絶世の美少女がスマホを片手に佇んでいた。
 彼女は白いワンピースに麦わら帽子。
 前回のデートでも履いていたミュールという洋装だった。

 やばいな。俺の好みのど真ん中だ。
 恐らく『狙ってきた』

「おはよう『詩織』。とても素敵な格好だね。現世に天使が舞い降りたかと思ったよ」

 俺がそう言うと、詩織はさらに顔を赤くする。
 うん。とても可愛いね。

「そ、その……悠斗くん……な、名前」

 あはは。そうだね、今日は君の名前を呼び捨てでいくつもりだよ。

 俺は電車に乗りこみ、彼女の身体を抱きしめる。
 他の乗客からの視線を一身に浴びている。

 男性からは嫉妬の視線を感じているのがわかる。
 あはは。お前らには指一本触れさせないからな。

 本当なら想像の中ですら彼女を穢すことを許したくないが、その位なら俺は『寛容な男だから』許可してやるさ。

 俺は詩織の耳元で囁く。

『今日は君に俺の心を少しだけあげる。そういう話だからな。覚悟しておいてくれよ、詩織』

 俺がそう言って顔を離すと、詩織は顔を真っ赤にして首を縦に振った。


「今日はどこに連れて行ってくれるんですか?」

 走り出した電車の中。詩織が首を傾げながら俺に聞いてきた。

「今日は君を『プラネタリウム』に連れて行こうと思ってるんだ」
「わぁ!!もしかして、最近出来たと話題になっていた場所ですか!!??」

 詩織はそう言うと、手を合わせて喜びを示してくれた。

 そう。この電車の終点の駅の前に、ひと月ほど前に新しくプラネタリウムが出来た。
 朱里と行くことも考えたが、星の名前とか由来とか言われても楽しめないと思った。
 俺だけが楽しんでしまう気がしたので断念していたデートスポットだった。

 だが、俺と知識量が似通っている詩織となら星の名前や星座の由来など、会話が弾むと考えた。

『非日常を楽しむ』

 デートの鉄則だと思ってるが、彼女とならプラネタリウムでそれを存分に満喫出来るだろう。

「お洒落なミュールを履いて来てくれる。そう思ってたからね。あまり歩き回るような場所もどうかと思っていたんだ」
「ふふふ。配慮していただいてありがとうございます」

 詩織はそう言うと、ふわりと頬笑みを浮かべてくれた。

「ちなみに、駅前に到着するのは九時半くらいを予定してるんだ」
「えと……確かプラネタリウムは十時からでしたよね?三十分程時間があまりそうですね」

 首を傾げる彼女に俺は言う。

「実は駅前に美味しいカフェのお店があると聞いていてね。そこで少しお茶をしながら『ライトノベル談義』を君としたいなと思っていたんだ」
「悠斗くん……わ、私はとても嬉しく思ってます……」

 あはは。これで彼女は理解してくれた感じかな?

 今日一日は『朱里とは出来ないことをする』
 そういうプランで動く予定だ。

 詩織は俺にとって本当に『特別な女性』だ。

 そんな彼女に対して、俺の気持ちを余すことなく伝えていく。

 そんな一日にしていく。

 さて、そろそろ終点に到着しそうだな。

「じゃあそろそろ降りる駅だな。扉の段差に気をつけてね」
「は、はい……」

 俺は彼女と手を握り、電車から降りる。

 さぁ、詩織との二回目のデートの始まりだ。

 今日は二人で楽しく過ごしていこう。

 彼女の手を握りしめ、俺はそう思った。
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