275 / 292
第2章
番外編 ⑯ ~星くんの恋愛相談~
しおりを挟む
番外編 ⑯
早朝。俺が教室で詩織さんと一緒にライトノベルを読んでいると、ガラリと教室の扉が開いた。
こんな時間に珍しい。一体誰が来たんだろうか?
俺がそう思いながら扉の方を振り向くと、
「やぁ、悠斗くん。おはよう。黒瀬さんとの蜜月の時間を邪魔して悪かったね」
「どうしたんですか、怜音先輩。こんな時間に教室に来るなんて珍しいどころか、初めてでは?」
俺がそう聞くと、先輩は笑いながら答える。
「昨日の夜に君からラブメッセージを貰っただろ?その返事をしようと思って来たんだよ。恋する乙女は行動力が高いからね」
「……悠斗くん?ラブメッセージとは、一体なんですか?」
ジトリとした視線の詩織さん。
俺は少しだけため息混じりで怜音先輩に言う。
「そうですね。蓮堂伊月のプレイ動画が欲しい。対価として怜音先輩の『おねがい』をひとつ叶えますよ?という内容でメッセージをしましたね」
俺のその言葉に、怜音先輩はニヤリと笑う。
「悠斗くんへの『おねがい』はもう少し考えて使わせてもらうからね。さて、君のために蓮堂伊月のプレイ動画を持ってきたんだよね」
昨日の夜に頼んで、今日の朝に持ってこれるのか!?
さ、流石だな……この人は……
怜音先輩はそう言うと、USBをひとつ渡してきた。
「この中に動画が入ってる。まぁ軽く見たけど、サッカープレイヤーとしての技術は低い。ただ、ラフプレーに関して言えば超一流だね」
「なるほど。聞いた話の通りですね」
「で?私をここに呼び付けたんだ。もうひとつくらい要件があるんだろ?」
「はい。実は蓮堂伊月のラフプレー対策のひとつとして、あとは彼に約束を守らせる強制力として、新聞部に星くんと彼のサッカーバトルを動画として配信してもらいたいんです」
俺がそう言うと、怜音先輩は少しだけ思案する。
「まぁ、それは構わないよ。こちらとしても美味しい映像が撮れると思ってるからね。ただ、良いのかな?万が一星くんが負けた場合……」
「いえ、俺は負けませんよ」
「星くん……」
怜音先輩の言葉を遮るように、教室の扉の前に立つ、星くんの声が教室に響いた。
「蓮堂くんとは昨日話しをつけてきました。そして、ここには桐崎くんに話を聞きに来た次第ですよ」
「そうか。ちなみに蓮堂伊月の動画は彼に渡してる。私としては面白い映像が撮れるなら勝敗は問わない」
怜音先輩はそう言うと、星くんの方へ歩いていく。
「学園の王子様の敗北。も映像としては面白そうだが、やはり私はハッピーエンドが好きだからね。負けないでくれよ、王子様」
そう言い残して怜音先輩は教室を去っていった。
「おはよう、星くん。君がここに来た理由はさっき言っていたね」
「おはよう、桐崎くん。そうだね。蓮堂くんとは一週間後にこのグラウンドで勝負をすることになった」
「そうか。場所をここにしたってことは、ルールは向こうが決めた形かな?」
「ご名答。一体一で三点先取。そして、多少の身体的接触はありになった」
星くんのその言葉に俺はため息をついた。
「はぁ……多少の身体的接触はあり……ね。ラフプレーし放題だな」
「あはは。それは覚悟してるよ」
俺は怜音先輩から貰ったUSBを星くんに渡す。
「これは君にあげるよ。怜音先輩から貰った蓮堂伊月のプレイ動画だ」
「……良いのか?」
その問いに俺は首を縦に振る。
「もちろん。俺が見たってそこまではわからない。だが、君が見れば彼のプレイの癖がわかるだろ?」
「あはは。そうだね。穴が空くほど見ることにするよ」
星くんはそう言うと、USBを握りしめる。
「ありがとう、桐崎くん」
「お礼は勝ってからにしろよ、王子様?」
俺がからかいながらそう言うと、星くんはニヤリと笑って言い返した。
「そうだね、俺はここを去ることにするよ。じゃないと学園の聖女様とハーレム王の逢瀬を邪魔しちゃうからな」
「ふふふ。そうですね。王子様が教室から居なくなったら悠斗くんとキスでもしようかと思います」
「あはは。じゃあ邪魔者は消えるとするよ」
星くんはそう言うと教室を後にした。
「仲間はずれみたいにしてごめんね」
俺は詩織さんにそう言って謝った。
「ふふふ。良いですよ?待つのは嫌いではありませんから」
詩織さんはそう言うと俺の身体に抱きついてくる。
「誰も居ませんよ?」
「そうだね。じゃあ……少しだけ……」
誰もいない早朝の教室。
いつものやり取りが始まった。
そして、一週間が過ぎ、約束の戦いの日がやってきた。
早朝。俺が教室で詩織さんと一緒にライトノベルを読んでいると、ガラリと教室の扉が開いた。
こんな時間に珍しい。一体誰が来たんだろうか?
俺がそう思いながら扉の方を振り向くと、
「やぁ、悠斗くん。おはよう。黒瀬さんとの蜜月の時間を邪魔して悪かったね」
「どうしたんですか、怜音先輩。こんな時間に教室に来るなんて珍しいどころか、初めてでは?」
俺がそう聞くと、先輩は笑いながら答える。
「昨日の夜に君からラブメッセージを貰っただろ?その返事をしようと思って来たんだよ。恋する乙女は行動力が高いからね」
「……悠斗くん?ラブメッセージとは、一体なんですか?」
ジトリとした視線の詩織さん。
俺は少しだけため息混じりで怜音先輩に言う。
「そうですね。蓮堂伊月のプレイ動画が欲しい。対価として怜音先輩の『おねがい』をひとつ叶えますよ?という内容でメッセージをしましたね」
俺のその言葉に、怜音先輩はニヤリと笑う。
「悠斗くんへの『おねがい』はもう少し考えて使わせてもらうからね。さて、君のために蓮堂伊月のプレイ動画を持ってきたんだよね」
昨日の夜に頼んで、今日の朝に持ってこれるのか!?
さ、流石だな……この人は……
怜音先輩はそう言うと、USBをひとつ渡してきた。
「この中に動画が入ってる。まぁ軽く見たけど、サッカープレイヤーとしての技術は低い。ただ、ラフプレーに関して言えば超一流だね」
「なるほど。聞いた話の通りですね」
「で?私をここに呼び付けたんだ。もうひとつくらい要件があるんだろ?」
「はい。実は蓮堂伊月のラフプレー対策のひとつとして、あとは彼に約束を守らせる強制力として、新聞部に星くんと彼のサッカーバトルを動画として配信してもらいたいんです」
俺がそう言うと、怜音先輩は少しだけ思案する。
「まぁ、それは構わないよ。こちらとしても美味しい映像が撮れると思ってるからね。ただ、良いのかな?万が一星くんが負けた場合……」
「いえ、俺は負けませんよ」
「星くん……」
怜音先輩の言葉を遮るように、教室の扉の前に立つ、星くんの声が教室に響いた。
「蓮堂くんとは昨日話しをつけてきました。そして、ここには桐崎くんに話を聞きに来た次第ですよ」
「そうか。ちなみに蓮堂伊月の動画は彼に渡してる。私としては面白い映像が撮れるなら勝敗は問わない」
怜音先輩はそう言うと、星くんの方へ歩いていく。
「学園の王子様の敗北。も映像としては面白そうだが、やはり私はハッピーエンドが好きだからね。負けないでくれよ、王子様」
そう言い残して怜音先輩は教室を去っていった。
「おはよう、星くん。君がここに来た理由はさっき言っていたね」
「おはよう、桐崎くん。そうだね。蓮堂くんとは一週間後にこのグラウンドで勝負をすることになった」
「そうか。場所をここにしたってことは、ルールは向こうが決めた形かな?」
「ご名答。一体一で三点先取。そして、多少の身体的接触はありになった」
星くんのその言葉に俺はため息をついた。
「はぁ……多少の身体的接触はあり……ね。ラフプレーし放題だな」
「あはは。それは覚悟してるよ」
俺は怜音先輩から貰ったUSBを星くんに渡す。
「これは君にあげるよ。怜音先輩から貰った蓮堂伊月のプレイ動画だ」
「……良いのか?」
その問いに俺は首を縦に振る。
「もちろん。俺が見たってそこまではわからない。だが、君が見れば彼のプレイの癖がわかるだろ?」
「あはは。そうだね。穴が空くほど見ることにするよ」
星くんはそう言うと、USBを握りしめる。
「ありがとう、桐崎くん」
「お礼は勝ってからにしろよ、王子様?」
俺がからかいながらそう言うと、星くんはニヤリと笑って言い返した。
「そうだね、俺はここを去ることにするよ。じゃないと学園の聖女様とハーレム王の逢瀬を邪魔しちゃうからな」
「ふふふ。そうですね。王子様が教室から居なくなったら悠斗くんとキスでもしようかと思います」
「あはは。じゃあ邪魔者は消えるとするよ」
星くんはそう言うと教室を後にした。
「仲間はずれみたいにしてごめんね」
俺は詩織さんにそう言って謝った。
「ふふふ。良いですよ?待つのは嫌いではありませんから」
詩織さんはそう言うと俺の身体に抱きついてくる。
「誰も居ませんよ?」
「そうだね。じゃあ……少しだけ……」
誰もいない早朝の教室。
いつものやり取りが始まった。
そして、一週間が過ぎ、約束の戦いの日がやってきた。
0
お気に入りに追加
92
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~
味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。
しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。
彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。
故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。
そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。
これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
学園のマドンナの渡辺さんが、なぜか毎週予定を聞いてくる
まるせい
青春
高校に入学して暫く経った頃、ナンパされている少女を助けた相川。相手は入学早々に学園のマドンナと呼ばれている渡辺美沙だった。
それ以来、彼女は学校内でも声を掛けてくるようになり、なぜか毎週「週末の御予定は?」と聞いてくるようになる。
ある趣味を持つ相川は週末の度に出掛けるのだが……。
焦れ焦れと距離を詰めようとするヒロインとの青春ラブコメディ。ここに開幕
僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた
楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。
この作品はハーメルン様でも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる