上 下
246 / 292
第2章

第九話 ~蒼井さんとの初めてのお出掛け~ ⑥

しおりを挟む
 第九話  ⑥



 蒼井視点



 スヤスヤと僕の膝の上で寝息を立てる悠斗くんを見ながら、僕は微笑ましいものを感じていた。

 こうなることは予想通り。彼が僕の膝の上で眠るのはある程度わかっていた事だった。

 だから、こうして『生足』が彼に当たるような服装をチョイスしたんだからね。

 別にお弁当に何かを『盛った』訳じゃない。

 そりゃあ『愛情』はたっぷりと入れさせてもらったけど、そんな一介の高校生に『睡眠薬』なんて手に入れられるはずないだろう?

 きっと彼は昨晩『あの二人ととても隠微な夜』を過ごして来たと確信している。
 そんな『ほぼ徹夜』な彼が、適度に身体を動かして、美味しいご飯をたっぷり食べたらどうなるか?
 そんなのは簡単に予想出来るだろう。

 僕は悠斗くんの頭を撫でながら考える。

 さて、この後はどうしようかな?

 時刻は十三時。まぁ一時間くらいは寝かせてあげようかな。

 ここまでは非常に順調に来てる。互いに名前で呼び合う展開にも自然に持ち込めた。

 そして、最大の目標は

『悠斗くんと次のデートを約束させること』

 そして、僕が持っている二つ目の武器。
『諸刃の剣』
 の使い道は

『僕に対して再び罪悪感を抱かせること』

 このデートで『過去を精算した』なんて思わせては行けない。

 今後もずっと、彼には僕への想いを抱えて生きてもらう。

 悠斗くんの中に僕を刻み付けるのが目的だ。

『黒瀬さんのことを黙っていて欲しければ僕の言うことを聞いてもらおうか?』

 なんて使い方をするつもりは無い。

 そんなことをしたら、一生彼は僕を好きになることは無いだろう。僕は悠斗くんの人形が欲しいんじゃない。彼が丸ごと欲しいんだ。

『たまたま君に生徒会の件で会いに教室に行ったら、君と黒瀬さんの……その、ことを見てしまってね。あまりそういうことは、学校では控えた方が良いと思うんだよね?』

 みたいな言い方をするつもりだ。

 これならば、僕に『見られていた』という意識を持たせた上で、『黙っていてもらうためにも、僕の言うことは断れなくなる』という状況に持ち込めるはずだ。

 何も今日一日で『身体の関係』に持ち込むつもりは微塵も無い。そもそも、今日は彼の中はきっとすっからかんだろう。

 だったら、また後日にした方が確実だ。

「まったく。こんなに可愛い女の子たちに好かれるだなんて、君も幸せな男の子だね」

 僕はそう呟きながら、悠斗くんの頭を撫でる。

 あぁ……幸せだなぁ。
 早く彼の……全てが欲しい。

『身体』や『時間』だけ。じゃない。『心』まで全て僕のものにしたい。

 彼と黒瀬さんのデートの内容は会話まで含めて調べてある。

 黒瀬さんは彼の『心』に『慈愛』という方法でアプローチを掛けて『身体』と『時間』を手にすることが出来た。

 僕は逆に『罪悪感』を利用してまずは『時間』から奪いに行こう。


 彼を起こすまであと三十分。

 悠斗くんとの『時間』を楽しみながら、僕はこの後のことに思いを馳せた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

朝起きたら同じ部屋にいた婚約者が見知らぬ女と抱き合いながら寝ていました。……これは一体どういうことですか!?

四季
恋愛
朝起きたら同じ部屋にいた婚約者が見知らぬ女と抱き合いながら寝ていました。

Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~

味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。 しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。 彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。 故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。 そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。 これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。

学園のマドンナの渡辺さんが、なぜか毎週予定を聞いてくる

まるせい
青春
高校に入学して暫く経った頃、ナンパされている少女を助けた相川。相手は入学早々に学園のマドンナと呼ばれている渡辺美沙だった。 それ以来、彼女は学校内でも声を掛けてくるようになり、なぜか毎週「週末の御予定は?」と聞いてくるようになる。 ある趣味を持つ相川は週末の度に出掛けるのだが……。 焦れ焦れと距離を詰めようとするヒロインとの青春ラブコメディ。ここに開幕

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...