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第2章
第六話 ① ~予算会議から一夜明けて、雫から忠告を受けました~
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第六話 ①
朝。予算会議から一夜明けて。俺は洗面台の前で身だしなみを確認していた。
自分を一番かっこよく見せられるあのスタイルではなく、いつもの俺のスタイルだ。
コンタクトはまだ慣れないし、ぶっちゃけこっちの方が楽と言えば楽。
やっぱり『ここ一番』って時だけにするのが無難だよな。
なんてことを思いながら、髪の毛をいじっていると、
「おはよう、おにぃ。予算会議の動画見たよー」
雫が後ろからやって来た。
「早速見てくれたんだな。ありがとう。どうだった?」
雫には一応、表と裏。両方の予算会議動画を見せてある。身内だから別に構わないよな。
「……うーん。おにぃがめちゃくちゃカッコよかった。ってのは、私としても鼻が高いんだけどさ」
と、雫は微妙な顔をしながら続ける。
「独り身と思える女性から、ヤバい目で見られてたよ?おにぃ」
「…………まぁ、そんな気はしてる」
そう。だから先手を打って『俺は朱里と真剣な交際をしている』と昼の放送で言ってある。
そうすれば、あまり極端なことはしてこないだろう。と言う風に考えてはいる。
「まぁ……昼の放送でのことは知ってるんだけど、一番ヤバイ目で見てたのは生徒会長だよ?」
「…………まぁ。そうだろうな。とは思ってる」
流石に、「後は俺に任せてください」って耳打ちしたのは不味かったよな。
テンション高くなって気分がハイになってたのは否定しないけど……
俺が苦い表情をしながら、そう言うと、雫は「……はぁ」とため息をひとつ吐く。
「おにぃのダメなところはさ、自分の行動が他人からどう思われるかを客観視することが出来ないところだよ?」
「……はい」
「女の人に優しくすることはとても良い事です。褒められることだと思います。でもですね、おにぃには朱里ちゃんと言う彼女が居ます」
「はい」
「いいですか?優しくする人は選んでください。おにぃは自己評価としてはかなり厳しい目で見てるから気が付いてないけど、おにぃが優しくしようと思ったら、困っている女性を助けようと思ったら、かなりの数の女性に優しくすることも、助けることも『出来てしまいます』」
「…………」
「そうやって無自覚にたくさんの女性を惚れさせてしまうことは『罪』だと認識してください」
「はい。肝に銘じます」
俺が真剣な表情で頷くと、雫はニコリと笑う。
「まぁ、今後気をつけたとしても、今に至るまでにやらかしてしまった女性への対応は気をつけてよね?」
私ヤダよ?道端でおにぃが刺されてました。
とかニュースになるの。
そんなことを笑いながら言う雫。
……昨日。朱里からされた忠告を思い出し、俺は背筋が寒くなった。
本気で気をつけよう。
「それじゃあ、はい。おにぃにお弁当」
「ありがとう。雫」
俺は雫からお弁当を受け取ると、カバンの中にしまう。
「よし。じゃあそろそろ行くよ」
俺はカバンを手に取って、洗面台から離れる。
玄関へと歩いて行くと、いつものように雫が見送りについてきてくれる。
「それじゃあ、行ってくるよ」
「うん。行ってらっしゃい、おにぃ」
俺はそう言うと、玄関の扉を開ける。
「……うわ、マジか」
外は結構な雨。予報を見てなかったことを少しだけ後悔する。
俺は玄関横に用意してあるカッパを着て、外に出る。
案の定。なんの対策もしてなかった、愛車はびしょびしょだ。
まぁ、少しくらいなら平気かな。
そう考えて、椅子の部分の水気をタオルで拭き取り、ポチに跨る。
雨の日は滑りやすい。気を付けて運転しよう。
俺はそう考えながら、ゆっくりと発進させた。
朝。予算会議から一夜明けて。俺は洗面台の前で身だしなみを確認していた。
自分を一番かっこよく見せられるあのスタイルではなく、いつもの俺のスタイルだ。
コンタクトはまだ慣れないし、ぶっちゃけこっちの方が楽と言えば楽。
やっぱり『ここ一番』って時だけにするのが無難だよな。
なんてことを思いながら、髪の毛をいじっていると、
「おはよう、おにぃ。予算会議の動画見たよー」
雫が後ろからやって来た。
「早速見てくれたんだな。ありがとう。どうだった?」
雫には一応、表と裏。両方の予算会議動画を見せてある。身内だから別に構わないよな。
「……うーん。おにぃがめちゃくちゃカッコよかった。ってのは、私としても鼻が高いんだけどさ」
と、雫は微妙な顔をしながら続ける。
「独り身と思える女性から、ヤバい目で見られてたよ?おにぃ」
「…………まぁ、そんな気はしてる」
そう。だから先手を打って『俺は朱里と真剣な交際をしている』と昼の放送で言ってある。
そうすれば、あまり極端なことはしてこないだろう。と言う風に考えてはいる。
「まぁ……昼の放送でのことは知ってるんだけど、一番ヤバイ目で見てたのは生徒会長だよ?」
「…………まぁ。そうだろうな。とは思ってる」
流石に、「後は俺に任せてください」って耳打ちしたのは不味かったよな。
テンション高くなって気分がハイになってたのは否定しないけど……
俺が苦い表情をしながら、そう言うと、雫は「……はぁ」とため息をひとつ吐く。
「おにぃのダメなところはさ、自分の行動が他人からどう思われるかを客観視することが出来ないところだよ?」
「……はい」
「女の人に優しくすることはとても良い事です。褒められることだと思います。でもですね、おにぃには朱里ちゃんと言う彼女が居ます」
「はい」
「いいですか?優しくする人は選んでください。おにぃは自己評価としてはかなり厳しい目で見てるから気が付いてないけど、おにぃが優しくしようと思ったら、困っている女性を助けようと思ったら、かなりの数の女性に優しくすることも、助けることも『出来てしまいます』」
「…………」
「そうやって無自覚にたくさんの女性を惚れさせてしまうことは『罪』だと認識してください」
「はい。肝に銘じます」
俺が真剣な表情で頷くと、雫はニコリと笑う。
「まぁ、今後気をつけたとしても、今に至るまでにやらかしてしまった女性への対応は気をつけてよね?」
私ヤダよ?道端でおにぃが刺されてました。
とかニュースになるの。
そんなことを笑いながら言う雫。
……昨日。朱里からされた忠告を思い出し、俺は背筋が寒くなった。
本気で気をつけよう。
「それじゃあ、はい。おにぃにお弁当」
「ありがとう。雫」
俺は雫からお弁当を受け取ると、カバンの中にしまう。
「よし。じゃあそろそろ行くよ」
俺はカバンを手に取って、洗面台から離れる。
玄関へと歩いて行くと、いつものように雫が見送りについてきてくれる。
「それじゃあ、行ってくるよ」
「うん。行ってらっしゃい、おにぃ」
俺はそう言うと、玄関の扉を開ける。
「……うわ、マジか」
外は結構な雨。予報を見てなかったことを少しだけ後悔する。
俺は玄関横に用意してあるカッパを着て、外に出る。
案の定。なんの対策もしてなかった、愛車はびしょびしょだ。
まぁ、少しくらいなら平気かな。
そう考えて、椅子の部分の水気をタオルで拭き取り、ポチに跨る。
雨の日は滑りやすい。気を付けて運転しよう。
俺はそう考えながら、ゆっくりと発進させた。
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