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第1章
聖女様side ③ 後編 ~高揚する気持ちと初めて手に入れた彼の隣~
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聖女様side ③ 後編
「……ふふ、そうですか」
私はくじに書かれた文字を読み、笑みを浮かべます。
隣の藤崎さんから、小さく
「……ごめん、悠斗くん」
という言葉が聞こえてきました。
優越感
去年一年間。学年首席の座を守り通した時ですら感じたことの無いほどの感情を私は得ていました。
想い合う二人の間に入り込んだ邪魔者。
そう罵られたとしても、私にとっては彼と共に学級委員をしたいと言う欲求がありました。
そして、私は彼に求められ、学級委員と書かれたくじを見せます。
彼は私が学級委員に相応しいかの採決を取りました。
賛成多数で可決されました。
意外なことに、一番悔しかったであろう藤崎さんが、最初に拍手をしてました。
私は桐崎くんに呼ばれ、書記を行うことになりました。
私の、学級委員としての最初の仕事です。
ふふ、胸が高鳴りますね。
そして私は黒板に
学級委員 桐崎悠斗・黒瀬詩織
と書きました。
ふふふ……
あはは……
すごくいい気持ちです……
黒板側を向いていて本当に良かった。
今の私の表情は絶対に誰にも見せられない。
私は高揚する気持ちを落ち着け、前を向きます。
たくさんのクラスメイトがこちらを見ていました。
なるほど、これが桐崎くんの風景なのですね。
彼はしっかりと音頭を取りながら、とてもスムーズに各委員を決めていきます。
このペースならロングホームルームの時間が少し余りそうですね。
そんなことを考えながらも、黒板に役職とクラスメイトの名前を記入していきました。
ふふ、初めての共同作業ですね。
そして、各委員が決まった時にはやはり少し時間が余っていました。
……もしかしたら、これは桐崎くんが意図的に、
そう思った時でした、
「皆の協力で早く委員がきまりました。なので、残った時間を使って、来週のホームルームで決める予定の『男女二名ずつの体育祭実行委員』を決めようと思います」
なるほど、桐崎くんそう来ましたか。
彼のその言葉に藤崎さんが、ハッ!!っと顔を上げました。
随分前から項垂れていたのは見えていました。
そんな藤崎さんに、桐崎くんはウィンクを飛ばしてました。
……気付いてないとでも思っているのでしょうか……
彼はまず山野先生に対して、
「来月の五月には体育祭があるので、来週には委員を決めるようです。うちのクラスは優秀なので、今週の内に決めておきましょう」
自分の発言の正当性を主張しました。
「いいぞ、桐崎。と言うか、そう切り出すという事は、もう案があるんだろ?」
と、山野先生。どうやら彼がこう言うことはわかっていたような雰囲気です。
「はい。そうですね。俺が推薦する形になりますが、クラスのみんなにはそれを承認してもらう感じですね」
桐崎くんはそう言うと、私に実行委員へ推薦するクラスメイトを記入した紙を渡してきました。
ふふ、そうですか。その為にかなり時間を巻きで委員を決めてたんですね。
「桐崎くんは……優しい人ですね……」
私は思わずそう呟きました。
そして、紙に書かれた名前を黒板に書き写します。
体育祭実行委員 武藤健・佐藤優子・桐崎悠斗・藤崎朱里
私が書き終わったのを確認し、彼が言います。
「はい。ここに記入された人に実行委員をお願いしたいと思います。ここの人達は、俺以外、『各委員に所属していない』『体育が得意』『明るくコミュニケーション能力に長けている』と実行委員に必要な能力を持ち、状況的にも恵まれてます。しかし、先程俺は言いました。『レギュラーもしくは、それに準ずる人においては自分がフォローに入る』です。言葉の責任はとりますし、数学の根岸先生曰く、俺は『健の保護者』らしいので、暴走しがちな奴のストッパーになろうと思います」
ふふ、物は言いようですね。
自分好みのメンバーで構成されたこの実行委員をさも最善策のように話す。
また、あえて自分が泥を被るような言い回しで、これが私情によるものだと気付かれにくくする。
彼にはこういう強かな面があるのですね。
桐崎くんの意外な一面を見れたことが嬉しく感じました。
学級委員を共にしていれば、今後もたくさんの、私が知らない彼の一面を知れることでしょう。
選ばれた実行委員に賛成多数の拍手が贈られます。
私も拍手をしました。
しかし、その宛先は実行委員ではなく、桐崎くんに対して、ですが。
「……ふふふ。さて、多少の言い間違いはありましたが、桐崎くんの連絡先を手にすることが出来ました」
自室のベッドの上。私は、桐崎悠斗と登録されたアドレスを眺めます。
男の人に私の連絡先を渡したのも、男の人の連絡先を登録するのも初めてです。
私はメッセージアプリを起動させ、まず最初にどんなメッセージを送ろうか考えます。
そうですね、まずは挨拶と貸していただけるらいとのべるに対して期待してます。という内容でいきますか。
まるで恋する乙女の様に、私はニマニマと笑い、はしたなく足をパタパタとさせながら、彼に対して送るメッセージを考えていたのでした。
「……ふふ、そうですか」
私はくじに書かれた文字を読み、笑みを浮かべます。
隣の藤崎さんから、小さく
「……ごめん、悠斗くん」
という言葉が聞こえてきました。
優越感
去年一年間。学年首席の座を守り通した時ですら感じたことの無いほどの感情を私は得ていました。
想い合う二人の間に入り込んだ邪魔者。
そう罵られたとしても、私にとっては彼と共に学級委員をしたいと言う欲求がありました。
そして、私は彼に求められ、学級委員と書かれたくじを見せます。
彼は私が学級委員に相応しいかの採決を取りました。
賛成多数で可決されました。
意外なことに、一番悔しかったであろう藤崎さんが、最初に拍手をしてました。
私は桐崎くんに呼ばれ、書記を行うことになりました。
私の、学級委員としての最初の仕事です。
ふふ、胸が高鳴りますね。
そして私は黒板に
学級委員 桐崎悠斗・黒瀬詩織
と書きました。
ふふふ……
あはは……
すごくいい気持ちです……
黒板側を向いていて本当に良かった。
今の私の表情は絶対に誰にも見せられない。
私は高揚する気持ちを落ち着け、前を向きます。
たくさんのクラスメイトがこちらを見ていました。
なるほど、これが桐崎くんの風景なのですね。
彼はしっかりと音頭を取りながら、とてもスムーズに各委員を決めていきます。
このペースならロングホームルームの時間が少し余りそうですね。
そんなことを考えながらも、黒板に役職とクラスメイトの名前を記入していきました。
ふふ、初めての共同作業ですね。
そして、各委員が決まった時にはやはり少し時間が余っていました。
……もしかしたら、これは桐崎くんが意図的に、
そう思った時でした、
「皆の協力で早く委員がきまりました。なので、残った時間を使って、来週のホームルームで決める予定の『男女二名ずつの体育祭実行委員』を決めようと思います」
なるほど、桐崎くんそう来ましたか。
彼のその言葉に藤崎さんが、ハッ!!っと顔を上げました。
随分前から項垂れていたのは見えていました。
そんな藤崎さんに、桐崎くんはウィンクを飛ばしてました。
……気付いてないとでも思っているのでしょうか……
彼はまず山野先生に対して、
「来月の五月には体育祭があるので、来週には委員を決めるようです。うちのクラスは優秀なので、今週の内に決めておきましょう」
自分の発言の正当性を主張しました。
「いいぞ、桐崎。と言うか、そう切り出すという事は、もう案があるんだろ?」
と、山野先生。どうやら彼がこう言うことはわかっていたような雰囲気です。
「はい。そうですね。俺が推薦する形になりますが、クラスのみんなにはそれを承認してもらう感じですね」
桐崎くんはそう言うと、私に実行委員へ推薦するクラスメイトを記入した紙を渡してきました。
ふふ、そうですか。その為にかなり時間を巻きで委員を決めてたんですね。
「桐崎くんは……優しい人ですね……」
私は思わずそう呟きました。
そして、紙に書かれた名前を黒板に書き写します。
体育祭実行委員 武藤健・佐藤優子・桐崎悠斗・藤崎朱里
私が書き終わったのを確認し、彼が言います。
「はい。ここに記入された人に実行委員をお願いしたいと思います。ここの人達は、俺以外、『各委員に所属していない』『体育が得意』『明るくコミュニケーション能力に長けている』と実行委員に必要な能力を持ち、状況的にも恵まれてます。しかし、先程俺は言いました。『レギュラーもしくは、それに準ずる人においては自分がフォローに入る』です。言葉の責任はとりますし、数学の根岸先生曰く、俺は『健の保護者』らしいので、暴走しがちな奴のストッパーになろうと思います」
ふふ、物は言いようですね。
自分好みのメンバーで構成されたこの実行委員をさも最善策のように話す。
また、あえて自分が泥を被るような言い回しで、これが私情によるものだと気付かれにくくする。
彼にはこういう強かな面があるのですね。
桐崎くんの意外な一面を見れたことが嬉しく感じました。
学級委員を共にしていれば、今後もたくさんの、私が知らない彼の一面を知れることでしょう。
選ばれた実行委員に賛成多数の拍手が贈られます。
私も拍手をしました。
しかし、その宛先は実行委員ではなく、桐崎くんに対して、ですが。
「……ふふふ。さて、多少の言い間違いはありましたが、桐崎くんの連絡先を手にすることが出来ました」
自室のベッドの上。私は、桐崎悠斗と登録されたアドレスを眺めます。
男の人に私の連絡先を渡したのも、男の人の連絡先を登録するのも初めてです。
私はメッセージアプリを起動させ、まず最初にどんなメッセージを送ろうか考えます。
そうですね、まずは挨拶と貸していただけるらいとのべるに対して期待してます。という内容でいきますか。
まるで恋する乙女の様に、私はニマニマと笑い、はしたなく足をパタパタとさせながら、彼に対して送るメッセージを考えていたのでした。
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