上 下
156 / 164
第2章 後編

最終話 ~永久と凛音の戦い・決戦の中間テスト~ その⑪

しおりを挟む
 最終話  その⑪



 永久視点



「お疲れ様。永久ちゃん。良く我慢したね」

 凛音さんと霧都が教室を出て行ったあと、私に桐崎さんがそう言葉をかけてくれました。

「ありがとうございます、桐崎さん。ですが、あそこまでされたら霧都が凛音さんの家に行くのを止めるなんて出来ませんからね」
「あはは……確かにそうだよね。でも、あそこまでやってくるもは思わなかったよ……」

「でも、南野さん的にも親御さんが来るのは予想外だったみたいだよ?」

 そう言って会話に参加してきたのは星くんです。

「南野さんの様子を少し見てたけど、親御さんが来てるって話が出た時に、すごい驚いてたからね。あれは知っててやってたことではなかったと思うよ」
「やっぱりそうだったんだね。と言うか家族ぐるみでやってきてるってのに寒気を覚えるよ……」
「向こうもそれだけ本気ってことだね。ここまで来たら霧都を信じて待つしかないよね」

 星くんのその言葉に、桐崎さんは小さく首を縦に振りました。
 そして、私の方を向いて言葉を放ちました。

「もしかしたら永久ちゃんが目を覆いたくなるようなことが、桜井くんに起こるかもしれない。でもそれは彼が自分から望んで引き起こしたことじゃないってことを、永久ちゃんだけは信じてあげて欲しいかな」
「当然です。ここまで向こう側が策略をめぐらせているんです。何事もなく霧都が帰ってくる。そんなことはありえないと思ってますからね」

 彼がどんなに気をつけていたとしても、きっと何かしらの『被害』にあうのは目に見えています。
 つまり、私がしなければならないことは……

「どんなことがあっても霧都を信じてあげること。そして、何らかの被害にあって傷付いた彼を癒してあげること。これが私のすることですからね」
「あはは。私が言わなくても永久ちゃんはわかっててくれていたね……」

 そう言ってくれた桐崎さんに、私は言葉を返しました。

「ですが、わかっていても辛くなることはあると思います……」
「永久ちゃん……」
「北島さん……」

 心配そうに言葉をかけてくれた二人に、私は少しだけ笑いながら答えます。

「その時は……泣き言を言うので助けてくださいね?」
「当然だよ永久ちゃん!!」
「愚痴くらいならいくらでも付き合うし、霧都のフォローも俺の方でもするからね!!俺と雫さんは二人の味方だよ!!」
「ありがとうございます。『雫』さんに『流』さん」

 二人のことを名前で呼ぶと、少しだけ驚いたような表情をしました。
 そして笑いながら言葉を返してくれました。

「初めて名前で呼んでくれたね!!ありがとう永久ちゃん!!」
「あはは……何だか霧都に悪い気もするけどね……」
「お二人には感謝をしてますから。名字では他人行儀だと思ったので……」

「私は全然構わないよ!!とても嬉しいよ」
「そう思ってくれてるなら受け入れるよ。霧都も許してくれると思うかな」
「ありがとうございます、雫さんに流さん」

 私はそう言って、二人に頭を下げました。

 本当に頼もしい。二人が居なかったら私は不安で潰れていたと思います……
 ありがとうございます……雫さんに流さん。

「それじゃあこの後はサイセリアでご飯を食べながらもう少しお話をしようか」
「雫さんはお兄さんと一緒じゃなくて平気なのかな?」
「おにぃは朱里さんと詩織さんとよろしくやるだろうから気にしないでいいと思うかな!!私たちは私たちで仲を深めようよ!!」

 桐崎さんのその言葉に、私と流さんは首を縦に振って了承を示しました。

「もしかしたら霧都から何か連絡があるかもしれないからね。とりあえずご飯を食べたら、お店の迷惑にならないレベルで長居を出来るようにしようか」
「駅前にはカラオケもあるからね。私の美声を聞かせてあげようかな!!」
「あはは。それは楽しみだね。アニソンなら俺も歌えるからカラオケも悪くないね」
「わ、私は少し歌には自信が無いのですが……」

「おやおやー?もしかして永久ちゃんは『音痴』なのかな?」
「意外な欠点が北島さんにはあるのかな。まぁでも無理に歌わなくてもいいからね?」
「いえ!!多少は恥ずかしい思いはしますが、これも経験です!!カラオケに行きましょう!!」

 こうして私たちは教室を出たあとは三人でサイセリアへと向かいご飯を食べて、ポテトを摘みながらドリンクバーで時間を潰しました。
 そしてそのあとはカラオケへと向かい、三時間ほど歌を歌うことになりました。

 雫さんは最近流行りのJPOPをとても上手に歌ってました。
 流さんも今や昔のアニソンがとても上手でした。

 そ、その……私は二人に比べると……恥ずかしいレベルでしたが、桐崎さんと流さんと楽しい時間を過ごせました。


 ……そして、夕方まで三人で過ごしましたが、霧都からの連絡はありませんでした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

パンツを拾わされた男の子の災難?

ミクリ21
恋愛
パンツを拾わされた男の子の話。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

落ち込んでいたら綺麗なお姉さんにナンパされてお持ち帰りされた話

水無瀬雨音
恋愛
実家の花屋で働く璃子。落ち込んでいたら綺麗なお姉さんに花束をプレゼントされ……? 恋の始まりの話。

父が再婚してから酷い目に遭いましたが、最終的に皆罪人にして差し上げました

四季
恋愛
母親が亡くなり、父親に新しい妻が来てからというもの、私はいじめられ続けた。 だが、ただいじめられただけで終わる私ではない……!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...