上 下
89 / 94
第2章

美凪side ③ 後編 その①

しおりを挟む
 美凪side ③  後編 その①




 隣人さんを抱きしめていて、一時間程経った頃でしょうか。
 少しだけ私も落ち着いてきて、まぁ許してあげようかな?
 なんて思っていた時でした。

 隣の部屋からゴソゴソと身支度を整える音が聞こえてきました。
 あれから何度も女性の嬌声は聞こえてきましたが、私はその度に彼の身体を抱きしめることで我慢してあげることにしてました。

 これでようやく落ち着いて本を読むことが出来ますかね。
 なんて思っていた時でした。

 ちょうど顔を上げると、隣人さんは少し残念そうな表情で隣の部屋を見ているような気がしました。

 ……ふーん……へぇ……


「……そんなに、隣の人が気になるんですか?」

 私が彼にそう問いかけると、隣人さんは少しだけ焦ったような声で言葉を返しました。

「い、いや……そういう訳じゃないんだけど……」
「貴方の目の前にはこんなに可愛い女の子が居るのに、どこの誰ともわからないような女の方が良いと言うんですか?」

 私がそう言うと、隣人さんは少しだけ視線を逸らしました。

「そ、そんなことは無いんだけど……」

 そうですね。思い出しましたよ。
 貴方は『年上の女性がコスプレをしてる姿』が好きな人でしたね。

「あぁ……そう言えば隣人さんは『大人の女性が女子高校生のコスプレをしてる姿』が好きな人でしたね?年上の女性が好みですか?」
「い、いや……同年代の女の子が好きです……」

 あぁそうでしたね。隣人さんは『同年代の女性と教室でえっちなことをする』ってのが好きな人でしたね。

「そうでした。隣人さんは教室でするのが好みでしたね?」
「こ、好みという訳じゃないんだけど……」

 この期に及んでまだ言い訳をする隣人さん。
 もう……なんでこんな気持ちにならないといけないんですか……
 私はこんなにも貴方しか見てないのに……


「…………隣人さんの……ばか……私が満足まで……許してあげません」
「そ、その……どうしたら良いでしょうか……」

 そんなことを言ってくる隣人さん。
 少しは私のことを考えてください。

「……自分で考えてください」
「は、はい……」

 私がそう言うと、隣人さんは私のことをぎゅっと抱き締めてくれました。
 そして、そっと頭を撫でてくれました。
 ふ、ふふーん。まぁ……悪くないんじゃないでしょうか……

 そう思いながら、私は残りの時間を過ごしていきました。


 そして、この部屋に来てから二時間程の時間が経ちました。

 結局。一冊も漫画を読まなかったです。

 私が用意したソフトクリームも完全に解けてしまって液体になってます。


「その……美凪さん。二時間がたったと思うんだけど……」

 二時間程の間。私の頭を撫でてくれたり、髪の毛を梳いてくれていた隣人さんはそう言ってきました。

「…………そうですか。では続きは家ですることにします」
「そ、そうか…………」

 ……何ですか、その表情は。
 これほどの美少女が貴方のことを抱きしめてるんですよ。
 光栄に思ってください!!

 そして、私と隣人さんはカウンターで利用料金の支払いを済ませてからお店の外に出ました。

 あとは帰宅するだけですが、私はその間も彼の腕を抱きしめていました。


「なぁ、美凪。その……いつまでこうしてるつもりなんだ?」
「……なんですか、隣人さん。嫌なんですか?」

 私がそう言いながら視線を向けると、隣人さんは少しだけ苦笑いを浮かべながら言葉を返しました。

「いや……その、別に嫌なわけじゃ」
「ならば良いでは無いですか」

 私はそう言葉を返すと、彼の腕を強く抱き寄せました。
 周りの人からはとても視線を集めていますが、気にしないことにしています。

 隣人さんは私だけの人です!!誰にも渡しませんからね!!


 そして、時刻は夕方から夜に変わる頃になりました。

 辺りも暗くなってきて来た時間帯ですね。私と隣人さんはマンションへと辿り着きました。

「家に着いたな。その……今日も楽しかったな、美凪」

 何となく気まずそうな表情の彼に、私は微笑みながら言葉を返しました。

「そうですね。色々な隣人さんが見れてとても収穫の多かったデートだったと思いますよ」
「あはは……」

 そんな会話をしたあと、私たちはエレベーターを使って部屋の前に行きました。
 そして、私はお財布から部屋の合鍵を取り出しました。

 玄関の扉を解錠したあと部屋の中に入ります。

「ただいま」
「ただいまです」

『お邪魔します』と言おうかとも思いましたが、流石にそれは意地悪過ぎると思ったので辞めました。

 私と隣人さんは洗面所で手を洗い、うがいをしたあとに居間へと向かいました。

 隣人さんが麦茶を取りに冷蔵庫に向かったのが見えました。ですので私はコップを二つ手に取ってテーブルの上に置きました。

「ありがとう」
「いえ、このくらいはしますよ」

 私がそう答えると、隣人さんは少しだけ寂しそうな表情をしてました。
 はぁ……あまりこういう態度を続けるのも可哀想ですね。

 それに、彼とは楽しく過ごしたいです。

 こうしてツンケンし続けるのもイヤですからね

 隣人さんは私の用意したコップに麦茶を注いだ後、それを一口飲みました。
 私も一口麦茶を口に含みました。

 軽く隣人さんに視線を向けると、彼は真剣な目で私を見ていました。

 ……なるほど。きちんと謝ってくれるみたいですね。
 私が拗ねてるだけ。とも取れるような事柄ですけど、彼はキチンと謝ってくれるみたいです。

「美凪優花さん」
「……はい。なんですか、海野凛太郎さん」

 フルネームで呼ばれたので、私も彼をそう呼び返しました。

「お前とのデートの最中に、他の女性に意識を向けるような真似をして申し訳こざいません」
「…………はぁ。わかりました。謝罪を受け入れます」

 しっかりと頭を下げて彼は私に謝ってくれました。
 ですので私は許してあげることにしました。

「ほ、本当か!!」

 安堵の表情を浮かべる隣人さんに、私は微笑みを向けました。

「ずっとプンプンしてるのも疲れましたからね」

 そう言ったあと、私は彼に言葉を続けました。

「それでも私はまだまだ怒ってます。なので今夜は私と一緒に寝てもらいます」
「……わ、わかったよ」

 ふふーん。こうしてすんなり了承を示してくれたのは初めてですね!!

「すんなり了承をしてくれたのは初めてですね」
「まぁ受け入れる道しかないからな」

 そう言って麦茶を口にした彼に、私は笑いながら言葉を返しました。

「本当はお風呂も一緒に入ってもらおうかと思いましたが、それは勘弁してあげることにしました」
「……配慮してくれて助かったよ」

 隣人さんはそう言うと、椅子から立ち上がって台所の方へと歩いて行きました。
 私も椅子から立ち上がってそれに続きます。

「それではお米の準備をしたらお風呂に入って少しのんびりしたらご飯にすることにしましょう」
「そうだな。それに明日から学校だ。今日は早めに寝ることにしようか」

 そうですね。二連休もあっという間に終わってしまいました。

「そうですね。それでは私はお米の準備をしてきますので、お風呂の準備をお願いします」
「了解だ。明日の弁当の分も含めて三合炊いておいてくれ」
「はい。了解です!!」

 今日の夕飯は昨日のカレーです!!
 二日目のカレーはとても美味しいですからね。今からとても楽しみです!!

 私はウキウキした気持ちでご飯の準備を進めました。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

運命の歯車が壊れるとき

和泉鷹央
恋愛
 戦争に行くから、君とは結婚できない。  恋人にそう告げられた時、子爵令嬢ジゼルは運命の歯車が傾いで壊れていく音を、耳にした。    他の投稿サイトでも掲載しております。

公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-

猫まんじゅう
恋愛
 そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。  無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。  筈だったのです······が? ◆◇◆  「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」  拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?  「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」  溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない? ◆◇◆ 安心保障のR15設定。 描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。 ゆるゆる設定のコメディ要素あり。 つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。 ※妊娠に関する内容を含みます。 【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】 こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)

美少女だらけの姫騎士学園に、俺だけ男。~神騎士LV99から始める強くてニューゲーム~

マナシロカナタ✨ラノベ作家✨子犬を助けた
ファンタジー
異世界💞推し活💞ファンタジー、開幕! 人気ソーシャルゲーム『ゴッド・オブ・ブレイビア』。 古参プレイヤー・加賀谷裕太(かがや・ゆうた)は、学校の階段を踏み外したと思ったら、なぜか大浴場にドボンし、ゲームに出てくるツンデレ美少女アリエッタ(俺の推し)の胸を鷲掴みしていた。 ふにょんっ♪ 「ひあんっ!」 ふにょん♪ ふにょふにょん♪ 「あんっ、んっ、ひゃん! って、いつまで胸を揉んでるのよこの変態!」 「ご、ごめん!」 「このっ、男子禁制の大浴場に忍び込むだけでなく、この私のむ、む、胸を! 胸を揉むだなんて!」 「ちょっと待って、俺も何が何だか分からなくて――」 「問答無用! もはやその行い、許し難し! かくなる上は、あなたに決闘を申し込むわ!」 ビシィッ! どうやら俺はゲームの中に入り込んでしまったようで、ラッキースケベのせいでアリエッタと決闘することになってしまったのだが。 なんと俺は最高位職のLv99神騎士だったのだ! この世界で俺は最強だ。 現実世界には未練もないし、俺はこの世界で推しの子アリエッタにリアル推し活をする!

転生したら地味ダサ令嬢でしたが王子様に助けられて何故か執着されました

古里@10/25シーモア発売『王子に婚約
恋愛
皆様の応援のおかげでHOT女性向けランキング第7位獲得しました。 前世病弱だったニーナは転生したら周りから地味でダサいとバカにされる令嬢(もっとも平民)になっていた。「王女様とか公爵令嬢に転生したかった」と祖母に愚痴ったら叱られた。そんなニーナが祖母が死んで冒険者崩れに襲われた時に助けてくれたのが、ウィルと呼ばれる貴公子だった。 恋に落ちたニーナだが、平民の自分が二度と会うことはないだろうと思ったのも、束の間。魔法が使えることがバレて、晴れて貴族がいっぱいいる王立学園に入ることに! しかし、そこにはウィルはいなかったけれど、何故か生徒会長ら高位貴族に絡まれて学園生活を送ることに…… 見た目は地味ダサ、でも、行動力はピカ一の地味ダサ令嬢の巻き起こす波乱万丈学園恋愛物語の始まりです!? 小説家になろうでも公開しています。 第9回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作品

【完結】殿下、自由にさせていただきます。

なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」  その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。  アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。  髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。  見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。  私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。  初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?  恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。  しかし、正騎士団は女人禁制。  故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。  晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。     身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。    そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。  これは、私の初恋が終わり。  僕として新たな人生を歩みだした話。  

処理中です...