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第2章
第二十五話 ~渾身の夕飯と俺の気持ちを美凪に話して、仲直りが出来た件~
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第二十五話
「こ、これが隣人さんの本気……ですか……」
「そうだな。美凪に美味しいって言ってもらうために、全力で腕を振るわせてもらったよ」
風呂場から出て、ドライヤーで美凪の髪の毛を乾かし終えた頃。カレードリアを作っていたオーブンから、調理が終わったとアラームが鳴った。
カレーとチーズが焦げる暴力的な匂いが居間の方から漂ってくるのを感じていた。
「や、ヤバいくらい良い匂いがします。一体何を作ったんですか?」
「カレードリアとコンソメスープだよ。椅子に座って待っててくれ」
洗面所から居間へとやって来た俺と美凪。
美凪を椅子に座らせて、俺はミトンを着けた手でグラタン皿を掴んでテーブルへと移す。
そしてカップにコンソメスープを注ぎ入れてドリアの隣に置く。
美凪は我慢できなかったのか、スプーンを用意していつでも食べられるように準備を進めていた。
「早く食べたいです!!隣人さん、いただきますをしましょう!!」
「ははは。そうだな、俺もお腹がすいたよ」
俺と美凪は「いただきます」と声を揃えて言った後に、カレードリアをスプーンでひと口掬って、息を吹きかけてから口に入れた。
「…………あぁ。美味い。これは自画自賛していいレベルだな」
一晩寝かせたカレーと大量に入れたチーズ。
そしてしっかりと手を加えたライスが絡まり合い、暴力的なおいしさを演出していた。
「うん。コンソメスープの具材もしっかりと柔らかくなってるし、味付けも悪くない。カレードリアが濃いめの味付けだから、こっちを薄めにしたのも正解だったな」
「どうだ、美凪。俺としては完璧だと思ってるけど……」
そして、美凪の様子を見た俺は心臓が止まるかと思うほどに驚いた。
「本当に……本当に……とても美味しいです」
今まで見た中で、一番の笑顔で美凪は俺の料理に対して『美味しい』と言ってくれた。
「…………そ、そうか。そう言ってくれると嬉しいよ」
俺はそう言って、カレードリアの続きを口にする。
「……私は少しだけ、拗ねてたんですよ」
「……え?」
スプーンを置いて、俺は美凪の言葉に耳を傾ける。
「貴方の目の前にはこんなにも可愛い女の子が居るのに。なんで他の人を見てるんだこの人は!!って」
「そんなつもりはなかったんだけどな。ってのは言い訳だな」
俺がそう言うと、美凪は笑って言葉を返した。
「あはは。私も余裕が無かったんですよ。だって、貴方は気が付いていないとは思いますけど、今日だって色々な女性が隣人さんのことを見てましたよ?」
「そうか。全く気が付かなかったな」
誰かに見られてる。何てのは全く気に求めてなかった。
寧ろ視線を集めていたのは美凪の方だと思ってしまう。
一体どれだけの男がこいつに視線を向けてたのか、数えるのすらバカバカしいレベルだと思ってしまう。
「自分がこんなにも独占欲が強い人間だってことを、今日は初めて知りましたよ」
美凪はそう言って恥ずかしそうに笑ったあと、カレードリアを口に運んだ。
「まぁ……この言葉をどう捉えるかは美凪に任せる」
「…………え?」
俺はそう言って前置きをしたあと、彼女に向けて言葉を放つ。
「俺はお前以外の女と恋人になろうとか、そういう気持ちを持つことは今後一切無いと言っておく」
「り、隣人さん……そ、それって……」
俺が言ったその言葉に、彼女は目を丸くする。
「だから……もう少し待っててくれないか?」
「…………え?」
あの日。美凪が言った言葉を俺の口から彼女に向けて放つ。
「必ず。俺がお前を幸せにする。そのための準備や仕込みを今はしているんだ。その過程でお前には不安な思いをさせたり、嫌な気持ちにさせたりするかも知れない」
「……そ、それは私に話して良いことなんですか?」
本当はダメだろうな。だけど、隠しすぎてこの女を不安にさせるのも嫌だ。
待ってて欲しい。と伝えるためにも、ある程度のことは話しておこうと思った。
「本当は全部隠したまま、サプライズにしようと思ってたんだけどな。あまり隠しすぎても、美凪が不安になると思ったからな」
「そ、そうですか……」
そこまで話したところで、俺は美凪に笑いかける。
「少しはお前の不安な気持ちを無くすことは出来たか?」
俺がそう言うと、美凪はふわりと笑って言葉を返してきた。
「ふふーん。わかりましたよ、隣人さん。この美凪優花ちゃんは待てる女の子ですからね!!貴方の言う仕込みを楽しみにしていてあげますよ!!」
「あはは。そうか、ありがとう」
そういう俺の目を見ながら、美凪は言う。
「貴方を信じていいんですね?」
「もちろんだ。俺はお前を裏切らない」
その視線をしっかりと受け止めて、俺は言葉を返した。
「了解です!!私は隣人さんを信じます!!」
美凪はそう言うと、残っていた最後のコンソメスープを飲み干した。
「ご馳走様でした!!とても美味しかったです!!」
それと同時に俺も最後のコンソメスープを飲み干した。
「お粗末さまでした。それじゃあ食器を洗って、少しのんびりしたら歯を磨いて寝ようか」
「そうですね!!それでは一緒に食器を洗って行きましょう」
こうして仲直りをした俺と美凪は、仲良く食器を洗った後に、食後の麦茶飲みながらテレビのバラエティを見て時間を過ごした。
「こ、これが隣人さんの本気……ですか……」
「そうだな。美凪に美味しいって言ってもらうために、全力で腕を振るわせてもらったよ」
風呂場から出て、ドライヤーで美凪の髪の毛を乾かし終えた頃。カレードリアを作っていたオーブンから、調理が終わったとアラームが鳴った。
カレーとチーズが焦げる暴力的な匂いが居間の方から漂ってくるのを感じていた。
「や、ヤバいくらい良い匂いがします。一体何を作ったんですか?」
「カレードリアとコンソメスープだよ。椅子に座って待っててくれ」
洗面所から居間へとやって来た俺と美凪。
美凪を椅子に座らせて、俺はミトンを着けた手でグラタン皿を掴んでテーブルへと移す。
そしてカップにコンソメスープを注ぎ入れてドリアの隣に置く。
美凪は我慢できなかったのか、スプーンを用意していつでも食べられるように準備を進めていた。
「早く食べたいです!!隣人さん、いただきますをしましょう!!」
「ははは。そうだな、俺もお腹がすいたよ」
俺と美凪は「いただきます」と声を揃えて言った後に、カレードリアをスプーンでひと口掬って、息を吹きかけてから口に入れた。
「…………あぁ。美味い。これは自画自賛していいレベルだな」
一晩寝かせたカレーと大量に入れたチーズ。
そしてしっかりと手を加えたライスが絡まり合い、暴力的なおいしさを演出していた。
「うん。コンソメスープの具材もしっかりと柔らかくなってるし、味付けも悪くない。カレードリアが濃いめの味付けだから、こっちを薄めにしたのも正解だったな」
「どうだ、美凪。俺としては完璧だと思ってるけど……」
そして、美凪の様子を見た俺は心臓が止まるかと思うほどに驚いた。
「本当に……本当に……とても美味しいです」
今まで見た中で、一番の笑顔で美凪は俺の料理に対して『美味しい』と言ってくれた。
「…………そ、そうか。そう言ってくれると嬉しいよ」
俺はそう言って、カレードリアの続きを口にする。
「……私は少しだけ、拗ねてたんですよ」
「……え?」
スプーンを置いて、俺は美凪の言葉に耳を傾ける。
「貴方の目の前にはこんなにも可愛い女の子が居るのに。なんで他の人を見てるんだこの人は!!って」
「そんなつもりはなかったんだけどな。ってのは言い訳だな」
俺がそう言うと、美凪は笑って言葉を返した。
「あはは。私も余裕が無かったんですよ。だって、貴方は気が付いていないとは思いますけど、今日だって色々な女性が隣人さんのことを見てましたよ?」
「そうか。全く気が付かなかったな」
誰かに見られてる。何てのは全く気に求めてなかった。
寧ろ視線を集めていたのは美凪の方だと思ってしまう。
一体どれだけの男がこいつに視線を向けてたのか、数えるのすらバカバカしいレベルだと思ってしまう。
「自分がこんなにも独占欲が強い人間だってことを、今日は初めて知りましたよ」
美凪はそう言って恥ずかしそうに笑ったあと、カレードリアを口に運んだ。
「まぁ……この言葉をどう捉えるかは美凪に任せる」
「…………え?」
俺はそう言って前置きをしたあと、彼女に向けて言葉を放つ。
「俺はお前以外の女と恋人になろうとか、そういう気持ちを持つことは今後一切無いと言っておく」
「り、隣人さん……そ、それって……」
俺が言ったその言葉に、彼女は目を丸くする。
「だから……もう少し待っててくれないか?」
「…………え?」
あの日。美凪が言った言葉を俺の口から彼女に向けて放つ。
「必ず。俺がお前を幸せにする。そのための準備や仕込みを今はしているんだ。その過程でお前には不安な思いをさせたり、嫌な気持ちにさせたりするかも知れない」
「……そ、それは私に話して良いことなんですか?」
本当はダメだろうな。だけど、隠しすぎてこの女を不安にさせるのも嫌だ。
待ってて欲しい。と伝えるためにも、ある程度のことは話しておこうと思った。
「本当は全部隠したまま、サプライズにしようと思ってたんだけどな。あまり隠しすぎても、美凪が不安になると思ったからな」
「そ、そうですか……」
そこまで話したところで、俺は美凪に笑いかける。
「少しはお前の不安な気持ちを無くすことは出来たか?」
俺がそう言うと、美凪はふわりと笑って言葉を返してきた。
「ふふーん。わかりましたよ、隣人さん。この美凪優花ちゃんは待てる女の子ですからね!!貴方の言う仕込みを楽しみにしていてあげますよ!!」
「あはは。そうか、ありがとう」
そういう俺の目を見ながら、美凪は言う。
「貴方を信じていいんですね?」
「もちろんだ。俺はお前を裏切らない」
その視線をしっかりと受け止めて、俺は言葉を返した。
「了解です!!私は隣人さんを信じます!!」
美凪はそう言うと、残っていた最後のコンソメスープを飲み干した。
「ご馳走様でした!!とても美味しかったです!!」
それと同時に俺も最後のコンソメスープを飲み干した。
「お粗末さまでした。それじゃあ食器を洗って、少しのんびりしたら歯を磨いて寝ようか」
「そうですね!!それでは一緒に食器を洗って行きましょう」
こうして仲直りをした俺と美凪は、仲良く食器を洗った後に、食後の麦茶飲みながらテレビのバラエティを見て時間を過ごした。
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