傍観していたい受付嬢

天族と国

助け

二人を警戒しながら、一秒でも多く時間稼ぎをする。もうすぐ、もうすぐ、レオディオが来てくれる。
すでに魔力は底をつくギリギリ、立っているのも奇跡な位だ。でも、それを二人に知られれば一気に方を付けられることは目に見えている。

「なぜ、私に構うの？」
一定の距離を保ちながら、時間稼ぎのために話しかける。上手く行けば、事の理由もわかるかもしれない。
ゴクリ、と唾を飲み込んで二人に問う。
「ムラサキ、どうしますか？……いっその事言ってしまえば協力してくれるかもしれませんよ？」

私の思った通り、イゼフはまんまと罠にかかった。しかし、ムラサキはそうはいかなかった。
「教えてやってもいいけど……、イマはダメ！時間かかるからネ。」
「チッ。」
上手く行ったと思ったのに……！

「けど、そんな事聞いてくるってコトは……もしかして、立ってるのも辛いんじゃなぁい？」
ニタリ、としてやったりとでも言いたげにムラサキは笑った。マズイ。
「そんなわけ無いわっ！……なんなら、試してみます？」
右手に持っている氷の刀を二人に向けて、挑発するように笑ってやる。
早く、早く、レオディオ！









「ミッシェル！！」
ズドン、と大きく建物が揺れてフワリと体が浮いた。目の前が白いマントで覆われたが、不安は感じない。
このマントは、見慣れている。
「レオディオっ……！」
そのまま抱きかかえられて、マントに包まれる。
「逃げんぞっ！【転___「させないよ？【転移防止】」
逃げる予定でいたのか、転移をしようとするがあと一歩のところで止められた。

イゼフとムラサキ相手に、レオディオ一人…。しかも、横には私というお荷物がいる。
「ミッシェル、一回下ろすぞ。」
「ええ。」
耳打ちされて、壁際に下ろしてもらえばすきを狙って来たイゼフが走ってきた。

ｶﾞｷﾝｯ______
短剣でレオディオごが止めると、驚いた様に二人は目を見開いた。
「俺は今、怒ってんだよ……。早いとこ、蹴りつけんぞ。」
ヒュ、と風が吹いたかと思うと二人の剣が真っ二つに割れた。
「なっ！？」
「っ……、ナルホド未だ健在ナンだ。二つ名である『嵐鬼』サンは。」
二人を見ながら、段々とまぶたが重くなってきてドサリと地面に横向きに倒れる。
「ミッシェルっ！……大丈夫か！？おいっ！」
駆け寄ってきたレオディオが、私の体を揺さぶるが睡魔には勝てそうもない。
恐らく私の魔力が切れたんだろう。


「ご、めん……。すこし、ねか、し…て……。」
そう言って、私は意識を手放した。