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始まり
四天王に挨拶
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「すーいーまーせーんー。だーれーかーいーまーせーんーかー!」
奥へ奥へと進んでいく中、一向に生き物の気配がしない。ランプ出回りを見ても、岩、岩、岩。
本当にここに居るのかな?
小人達を疑う訳ではないけど、こんなに奥まで来たのにまだ会えないって中々に引き篭もりな魔族だね。
と言っても、このままほっとく訳にもいかないので、奥の手を使おうと思う。
奥だけにってね。
「___やめよう。虚しくなるだけだ。」
改めて私の魔力を水が広がるみたいに地面へと広げていく。こうする事で、魔力が網になり誰がどこに居るのかが簡単にわかるのである。
「あ…。さっきの分かれ道の方か。」
魔族の反応があったのでビンゴだ。あのまま進んでいたら、骨折り損になってたよ。危ない、危ない。
分かれ道の先に行くと、1つの明かりが見えた。
影からして、一人の少女に見えるけどどうしようか。取り敢えず、声を掛けてから考えよ。
「すいません、魔族ですか?」
「ヒック…ヒック……グズッ………。だあれ?」
よし、会話はできるし警戒もされてない。なんで泣いてるのかは分からないけど。取り敢えずは、意思疎通が出来るので合格点だね。
「こんにちは?……暗いから、こんばんはかな。私はミッシェル=ニル。【銀の盃】で受付嬢をやってるの。」
近くまでいって、しゃがみこんでいる少女と目を合わせる様に私もしゃがめば目がしっかりあった。
「ヒック……ユユは、ユユ。四天王の一人だけど。独りぼっちなの。グズッ、ヒック……、お友達、いないの。」
黒髪に赤目で、ユユという名前……。確か文献に載っていた"操り師ユユ"本人でいいかな。
「独り、嫌なのに。……小人は、悪口言う。」
そう言ってまた、メソメソと涙を流し始めた。
魔族は何回か見たことがあるけど、四天王は初めて見た。やっぱり、本で聞いたこととは全く違うな。
このまま、見捨てておくわけにもいかないし。
「他の魔族は、ユユちゃんのこと迎えに来ないの?」
他の四天王のことも知れるので、質問をしてみるとさっきより激しく泣き出した。え、ミスった?
「私が最初に起きたの。まだ、誰も起きてないの。ヒック、ヒック、…ズズッ。」
もう嫌だとでも、拒絶するように私との会話を終わらせてまた涙を流して、目で擦る。
「ユユちゃん。私と一緒に来ない?」
ピクッ、とユユの体が揺れた。涙も止まり私の目をじっと見てくる。
嘘を言ったら見透かされそうだな。仕方ないので、考えていたことをすべて話すか…。
「私の国と魔族の架け橋になってもらいたいわ。ユユちゃんは、四天王だしそうしたら独りぼっちでも無くなる。」
どう?と聞いてみると、私に抱き付いてきた。
「い"っじょに、づい"でぐぅー。」
今度は嬉しさのあまりに泣き始めた。確か、タオルを持ってたと思うんだけどな。
カバンの中を漁れば、案の定見つかった。
取り敢えず、涙でグチャグチャの顔を丁寧に拭く。このタオル、絞れそう。
「ん……。ありがとう、…えっとミッセル。あ、ミッシェルさん。」
名前を噛んだあたり、まだ身体は子供だと思っていいのかな。
「シェルでいいよ。その方がユユちゃんも言いやすいでしょ?」
許可をすれば、嬉しそうに笑ってくれた。そして、自分から立ち上がると私を引っ張り始めた。
「ユユのことも、ユユでいいよ!私、シェルさんと一緒に行く。独りぼっちはいやだもん。」
グイグイと私の手を引きながら出口へ向かう。そのまま、小人に挨拶をしてギルドへといった。
小人は、魔族が居なくなってホッとしたようだが独りぼっちじゃなくなったユユは、小人のことを敵対視していた。
魔族と小人の仲は悪いというよりは、元々相性が悪いのでは…と疑問が生まれた。
奥へ奥へと進んでいく中、一向に生き物の気配がしない。ランプ出回りを見ても、岩、岩、岩。
本当にここに居るのかな?
小人達を疑う訳ではないけど、こんなに奥まで来たのにまだ会えないって中々に引き篭もりな魔族だね。
と言っても、このままほっとく訳にもいかないので、奥の手を使おうと思う。
奥だけにってね。
「___やめよう。虚しくなるだけだ。」
改めて私の魔力を水が広がるみたいに地面へと広げていく。こうする事で、魔力が網になり誰がどこに居るのかが簡単にわかるのである。
「あ…。さっきの分かれ道の方か。」
魔族の反応があったのでビンゴだ。あのまま進んでいたら、骨折り損になってたよ。危ない、危ない。
分かれ道の先に行くと、1つの明かりが見えた。
影からして、一人の少女に見えるけどどうしようか。取り敢えず、声を掛けてから考えよ。
「すいません、魔族ですか?」
「ヒック…ヒック……グズッ………。だあれ?」
よし、会話はできるし警戒もされてない。なんで泣いてるのかは分からないけど。取り敢えずは、意思疎通が出来るので合格点だね。
「こんにちは?……暗いから、こんばんはかな。私はミッシェル=ニル。【銀の盃】で受付嬢をやってるの。」
近くまでいって、しゃがみこんでいる少女と目を合わせる様に私もしゃがめば目がしっかりあった。
「ヒック……ユユは、ユユ。四天王の一人だけど。独りぼっちなの。グズッ、ヒック……、お友達、いないの。」
黒髪に赤目で、ユユという名前……。確か文献に載っていた"操り師ユユ"本人でいいかな。
「独り、嫌なのに。……小人は、悪口言う。」
そう言ってまた、メソメソと涙を流し始めた。
魔族は何回か見たことがあるけど、四天王は初めて見た。やっぱり、本で聞いたこととは全く違うな。
このまま、見捨てておくわけにもいかないし。
「他の魔族は、ユユちゃんのこと迎えに来ないの?」
他の四天王のことも知れるので、質問をしてみるとさっきより激しく泣き出した。え、ミスった?
「私が最初に起きたの。まだ、誰も起きてないの。ヒック、ヒック、…ズズッ。」
もう嫌だとでも、拒絶するように私との会話を終わらせてまた涙を流して、目で擦る。
「ユユちゃん。私と一緒に来ない?」
ピクッ、とユユの体が揺れた。涙も止まり私の目をじっと見てくる。
嘘を言ったら見透かされそうだな。仕方ないので、考えていたことをすべて話すか…。
「私の国と魔族の架け橋になってもらいたいわ。ユユちゃんは、四天王だしそうしたら独りぼっちでも無くなる。」
どう?と聞いてみると、私に抱き付いてきた。
「い"っじょに、づい"でぐぅー。」
今度は嬉しさのあまりに泣き始めた。確か、タオルを持ってたと思うんだけどな。
カバンの中を漁れば、案の定見つかった。
取り敢えず、涙でグチャグチャの顔を丁寧に拭く。このタオル、絞れそう。
「ん……。ありがとう、…えっとミッセル。あ、ミッシェルさん。」
名前を噛んだあたり、まだ身体は子供だと思っていいのかな。
「シェルでいいよ。その方がユユちゃんも言いやすいでしょ?」
許可をすれば、嬉しそうに笑ってくれた。そして、自分から立ち上がると私を引っ張り始めた。
「ユユのことも、ユユでいいよ!私、シェルさんと一緒に行く。独りぼっちはいやだもん。」
グイグイと私の手を引きながら出口へ向かう。そのまま、小人に挨拶をしてギルドへといった。
小人は、魔族が居なくなってホッとしたようだが独りぼっちじゃなくなったユユは、小人のことを敵対視していた。
魔族と小人の仲は悪いというよりは、元々相性が悪いのでは…と疑問が生まれた。
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