傍観していたい受付嬢

湖里

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探すのはモノ?ヒト?

恐怖

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長机に肘をおいて、座っている男。
目はひと目で高級だとわかる白いリボンで目隠しされている。服装は、上級貴族の着ている服装だが、戦闘時にも対応できるように身軽。

何よりも、さっきまではあそこに人は居なかった。
「……あら、どちら様?」
余程の強者。それも、暗闇などの視界を頼れない場所において私と相性の悪いタイプ。さっきの壁のような魔力もこの座っているリボン男によるものと考えていい。

「やめてやぁ、リボン男なんて……。」
「勝手に御女の心を土足で入り込まないでくださる?不躾ですわ。」
話してもいないのに、ペラペラと会話をしてくるリボン男。私のきつい言いようにも喜ぶかのようにニコリと笑った。
「ごめんね?気になる方の事は何でも知りたくなっちゃうんやぁ。」
無害だよ、とでも言うように見せられた手のひら。道化師のような滑稽さとほんの少しの恐怖をはらんでいる。

「シェリア、と申します。……失礼ですが、お_______「駄目やで、嘘ついちゃ。」」
間髪入れずに言われて、思わず黙る。
席を立った男はユラユラとこちらに向かって、歩いてくる。明らかに私の敵。それなのに、攻撃をしてくる気配はない。だからこそ、恐怖を覚える。
先の見えないほど怖いものはない。

「【銀の盃】の受付嬢で、かつてはクリスタ王国の最難関高等学校を女子主席で卒業やろ。その後すぐ、男子主席のレオディオと総合主席のコーリドの三人でギルド建設。唯一の受付嬢ってわけや。個人ランクもSSSやな。すごいなぁ。まだ、25才にも成ってないのに!それに、魔法の創作も一時期行ってたよな。高度だった水魔法と風魔法の混合魔法を簡略化に成功して、今では世界中で活用されているし、僕は水魔法が使えないから残念やけど……、他に作った光魔法と風魔法の混合魔法なら使えるやぁ。もともとは平民出身みたいやけど、おかしいよな?ボクには君の知らないことなんて何一つないのにさ、16才迄の君の過去の記録について何一つ見つからへん。ずっと探してたんやけど、一欠片も出てこないんよ。もしかして、隠してはる?ミッシェル=ニルちゃん。……それとも_____

_____________明石あけいし 海絵みえって呼んだほうがいいのかな?」
恐怖で私は逃げた。
「え、何で逃げるん?」
ガシリ、と肩を持たれて、すばやく腰に手を回される。
その勢いのまま、勢いよく引き寄せられて視界はリボン男の顔いっぱいとなった。
「んふふ、嬉しぃなぁ。幸せやなぁ。喜ばしいことやなぁ。」
「は、離してっ!」
男の腕から逃げようともがくが、意味がないらしい。ニコニコと未だに笑っている。
「【荒波となって、巻き込め、水竜】」
「【すべてを冷やせ、冷凍】」

魔法を遣って逃げようとしても、阻止される。
何より、滅多に見られない亜種属性の氷魔法。


寒さと恐怖で身体がガタガタと震えだした。
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