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第12話 垢BANって……何だ?
【2】
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夜。酒場“ウェストホーム”の一室。
数日前に“暁の鷹”との打合せを行ったこの部屋に、“エルケーニッヒ”の面々が集まっていた。
「……ミナトちゃんのこと、なんとかならないのかな」
「なんとかって――どうすりゃいいのさ」
話題は、ミナトという少女についてだ。
「あの子のアカウントはもう停止してる。
俺達にできることなんて――」
「で、でも、あの“ゲーム”をクリアすれば、助かるんでしょ!?」
「アホか。今まで誰もクリアしたことが無い“ゲーム”だぞ」
皆、昼間は彼女についての話題を避けていた。だからこそ、だろうか。夜のこの場になると堰を切ったかのように言葉が飛び交う。
「あんなの、ただの“見せしめ”だろう。運営に逆らえばこうなるっていう」
「いっそ見せしめの方がまだマシだ。運営に従順な奴だって参加させられるって話じゃないか」
「“参加者”は完全ランダムに選出されてるって言うけど。その割に、運営関係者は出てこないのよね」
「はっ! 分かりやすい話だこって!」
話は運営への愚痴――愚痴という単語では収まりきらない程の感情が込められていたが――も混じり出す。そんな中、一人がぽつりと呟きを零した。
「アスヴェルなら――」
「え?」
「――あのNPCなら、“ゲーム”をクリアできるんじゃないか?」
「……急に、何言い出すんだ。NPCが“ゲーム”をクリアするなんてできる訳ないだろう」
もう一人の面子が否定する――が。すぐに横から別意見が飛び出した。
「いや――可能性は、あるかも」
「そうだ、アスヴェルがこのゲームの“バグ”だとするなら――」
「――運営を、出し抜けるかもしれない?」
僅かだが会話の“色”が変わった。希望、或いは期待感。
「待て待て。そもそも、NPCが参加してもいいものなのか?」
「NPC本人の了解があれば可能だった筈だぞ。召喚獣や使役モンスターを戦わせることができるし」
「だったら、ひょっとして――」
「アスヴェルを“ゲーム”に送り込めれば――」
騒めきが広がる。あのNPCを上手く使えば、少女を救えるかもしれない――通常であれば夢物語と一笑に付されるような内容を、大の大人達が真剣に語り始めた。“藁”にもすがってしまう程、彼らが切羽詰まっているとも言える。
そんな中、真っ向から反対する者が現れた。
「皆様方! 妄想も大概にして下され!!」
恰幅の良い青年ハルだ。
「仮定の話が多すぎますぞ!? アスヴェル殿が“ゲーム”をクリアできるかなぞ全く持って不明でありますし、そもそも如何なる方法でアスヴェル殿をあの“ゲーム”に参加させるおつもりでござるか!?」
「そ、それは――」
図星を突かれ、熱くなりかけていた面々が静まり返る。
「も、もう――もうっ、ミナト殿は助からないでござる!! もうどうにもならないんですよ!! このような不毛な話を続けるというのであれば、拙者は帰らせて頂く!!」
そう吐き捨てると、宣言通り青年は部屋を出て行ってしまう。
残った人々は――
「――なんだよ、あいつ。ミナトちゃんとは付き合い長かった癖に」
「だからこそ、でしょ。きっと彼が一番混乱してるはずよ」
「あいつら、仲、良かったもんな」
「だからって――」
――ハルを非難する声、同情する声、様々だ。しかし結局のところ、
「……本当、どうにかできないもんかなぁ」
そのぼやきこそが、この場に集まった人々の総意であった。
酒場からハルが飛び出してきた。涙を流し、目を赤く腫らしながら、夜の町を駆けていく。何処かへ向かおうとしている様子は無い。ただただ感情の赴くままに走っているように見えた。
――そんな彼へ、アスヴェルは声をかける。
「ハル」
「っ!?」
すぐ、ハルは足を止めてくれた。彼は泣き晴らした顔でこちらを向くと、
「あ、アスヴェル殿。奇遇ですな、こんなところで会うとは――」
「ミナトのところへ連れていってくれ」
単刀直入にこちらの目的を伝える。いきなりの内容に目の前の青年は大きく目を見開き、
「……な、何を仰っているのですかな? 拙者にはちんぷんかんぷんですぞ」
「酒場での話は聞いていた」
最初から、全て。前々から、どうも“ここの人々”は自分の前で本当のことを話さない傾向があるように感じていた。だから、隠れて様子を伺っていたのである。
「ハル――正直に答えて欲しい」
「その……せ、拙者に答えられることならば」
「ミナトは、殺されようとしているんだな?」
「うぐっ!?」
そうとしか考えられなかった。ただこの大陸に来れなくなる、自分の力が無くなる、それだけであればあんな反応はしない。あんな顔はしない。
あの時のミナトの顔は――アスヴェルが元の世界で幾度も見てきた――己の死を覚悟した人間の顔だ。
「何故だ。何故、彼女の命が奪われねばならない?」
「そ、それは……えと……その、なんと言いますか……」
「今更はぐらかすのは無しにしてくれ。もう時間は無いんだろう!?」
「あ、う、う――」
それでもハルは逡巡しているようだ。だがアスヴェルは、答えを強制するような真似をしない。彼なら大丈夫だと信じているからだ。ハルは――決して、友人を見捨てられるような人間ではない。
「――分かりました。お話します」
数分に渡り考え抜いた後、青年はそう答えてくれた。
長話になるからと、場所を移した。誰も居ない夜の公園で、2人はベンチに腰かけていた。
「アスヴェル殿は、東京をご覧になられましたかな?」
「ああ」
ハルが切り出してきた質問に、首肯で返す。
「ならば、あの“屋根”も見たことでしょう」
「見た。この街を包むような天井を」
「いえ、実際に東京という街全体を包み囲っておるのです」
巨大な屋根だったが、そこまでの代物だったか。
「アレはですな、“柵”なのでござるよ。あの街に住む人々が、逃げ出さないようにするための」
「……何故、そんなことを?」
「分かりませぬ。住人を“管理”するための一環ではないかと噂されておりますが、真相は拙者も把握しておりませぬ。誰も彼もが、この街の中のみで一生を過ごすのでござる」
「そうか……」
ミナトの話から、どういう理由で街を囲う屋根の話になったのか。それをアスヴェルは問い質さない。というより、薄々分かり始めていた。
「……ミナトは口減らしのために殺されようとしているんだな?」
「っ!! そ、その通りです」
人を一定の領域内に収め続ける場合、まず問題になるのは人口だ。食料を始めとした生活の必需品が無限に手に入ることなど無い。である以上、人が多くなりすぎたなら、数を調整する必要がある。
「……君達のところの政府は、出産数の管理を行っていないのか?」
ふと疑問に思ったので聞いてみる。人口の維持が目的なら、産まれる子供の数を調整した方が余程効率よいように思えたのだ。
「いえ、そのようなことは行っておりませぬ。その……敢えて余剰が出るように人を増やした上で不要な人間を切り捨てることで、“有用な人間”の割合を増やす、という目的のようです」
「――そうか」
納得はできた。全く持って人倫にもとるやり方だが。よくもまあ、そこまで残酷な政策を実行できるものだ。
「ミナトは、不要な人間か」
「そんなことはありません!! ミナトさんが要らない人の筈が無い!! で、でも――」
「口減らしの対象に選ばれてしまった、と」
「――はい」
ハルは俯き、震えている。感情がまだ制御できていないのだろう。彼の立場を考えれば無理のないことだが、質問は続けなければならない。
「だが、まだ助ける術があるんだな?」
「……無理です」
「あるか無いかだけ、聞かせてくれ」
「…………あり、ます」
絞り出すような声でそう答えた。
「“調整”の対象に選ばれた人には、ある“ゲーム”が課されるのです。それをクリアできたなら、その人は対象から外される……」
「察するにその“ゲーム”とやらは、必要な人材かそうでないかを最終判断する場か」
「政府はそう発表しています。でも――」
「クリアした人は、未だいない?」
「はい――あんなの、ただの謳い文句です。選別された人にも温情を示しつつ、その上で“調整”されても仕方ない――不要な人であるのだと主張するために行っているだけなんですよ。どうせ、万に一つクリアしたってもみ消されるに決まってます!」
それは――どうだろう? 非人道的な真似までして“無機質に”管理を徹底している政府が、自分達の言い出したことを撤回するなどという――“人間的な”行動をとるとは考えにくい。“ゲーム”とやらをクリアすれば、助かる算段はそれなりにあるのではないか。
「それで、その“ゲーム”の内容とはどんなものなんだ?」
「……限定されたエリア内で、特定の目的達成を目指すのででござる。目的は毎回異なり、例えば散らばっているアイテムを集めるだとか、魔物を一定数倒すだとかが、設定されておりますな」
先程からハルの口調が安定していない。それ程までに追い詰められている、ということか。余り辛いことを聞きたくは無いが――今ばかりは仕方ない。
「それだけなら、クリアはそう難しく無いように思えるな」
「左様に。ですから、難易度を上げる“仕掛け”があるのでござる。“ジャッジ”と呼ばれる者達がエリア内に出現し、参加者を妨害してくるのでござる」
「妨害とは、何をされるんだ?」
「主に……参加者の殺害を」
「ふむ」
攻略不可能とまで言われている以上、相当な強者が用意されているのだろう。だが、力づくでどうにかなるなら、アスヴェルの得意分野だ。
「その“ゲーム”はこのロードリア大陸で行われる、ということでいいんだな?」
「……はい」
幾分か迷ったものの、はっきりと肯定してくれた。
ならば話が早い。アスヴェルがその“ゲーム”に潜り込めば、それで話がつく。酒場で聞いたところによれば、NPCと呼ばれる人物――アスヴェルもそれに含まれるらしい――が参加すること自体は反則にあたらないようだし。
「そして――君は、私を“ゲーム”の開催場所へ連れていくことができる」
最後にアスヴェルは、最も肝となる質問を投げかけた。
数日前に“暁の鷹”との打合せを行ったこの部屋に、“エルケーニッヒ”の面々が集まっていた。
「……ミナトちゃんのこと、なんとかならないのかな」
「なんとかって――どうすりゃいいのさ」
話題は、ミナトという少女についてだ。
「あの子のアカウントはもう停止してる。
俺達にできることなんて――」
「で、でも、あの“ゲーム”をクリアすれば、助かるんでしょ!?」
「アホか。今まで誰もクリアしたことが無い“ゲーム”だぞ」
皆、昼間は彼女についての話題を避けていた。だからこそ、だろうか。夜のこの場になると堰を切ったかのように言葉が飛び交う。
「あんなの、ただの“見せしめ”だろう。運営に逆らえばこうなるっていう」
「いっそ見せしめの方がまだマシだ。運営に従順な奴だって参加させられるって話じゃないか」
「“参加者”は完全ランダムに選出されてるって言うけど。その割に、運営関係者は出てこないのよね」
「はっ! 分かりやすい話だこって!」
話は運営への愚痴――愚痴という単語では収まりきらない程の感情が込められていたが――も混じり出す。そんな中、一人がぽつりと呟きを零した。
「アスヴェルなら――」
「え?」
「――あのNPCなら、“ゲーム”をクリアできるんじゃないか?」
「……急に、何言い出すんだ。NPCが“ゲーム”をクリアするなんてできる訳ないだろう」
もう一人の面子が否定する――が。すぐに横から別意見が飛び出した。
「いや――可能性は、あるかも」
「そうだ、アスヴェルがこのゲームの“バグ”だとするなら――」
「――運営を、出し抜けるかもしれない?」
僅かだが会話の“色”が変わった。希望、或いは期待感。
「待て待て。そもそも、NPCが参加してもいいものなのか?」
「NPC本人の了解があれば可能だった筈だぞ。召喚獣や使役モンスターを戦わせることができるし」
「だったら、ひょっとして――」
「アスヴェルを“ゲーム”に送り込めれば――」
騒めきが広がる。あのNPCを上手く使えば、少女を救えるかもしれない――通常であれば夢物語と一笑に付されるような内容を、大の大人達が真剣に語り始めた。“藁”にもすがってしまう程、彼らが切羽詰まっているとも言える。
そんな中、真っ向から反対する者が現れた。
「皆様方! 妄想も大概にして下され!!」
恰幅の良い青年ハルだ。
「仮定の話が多すぎますぞ!? アスヴェル殿が“ゲーム”をクリアできるかなぞ全く持って不明でありますし、そもそも如何なる方法でアスヴェル殿をあの“ゲーム”に参加させるおつもりでござるか!?」
「そ、それは――」
図星を突かれ、熱くなりかけていた面々が静まり返る。
「も、もう――もうっ、ミナト殿は助からないでござる!! もうどうにもならないんですよ!! このような不毛な話を続けるというのであれば、拙者は帰らせて頂く!!」
そう吐き捨てると、宣言通り青年は部屋を出て行ってしまう。
残った人々は――
「――なんだよ、あいつ。ミナトちゃんとは付き合い長かった癖に」
「だからこそ、でしょ。きっと彼が一番混乱してるはずよ」
「あいつら、仲、良かったもんな」
「だからって――」
――ハルを非難する声、同情する声、様々だ。しかし結局のところ、
「……本当、どうにかできないもんかなぁ」
そのぼやきこそが、この場に集まった人々の総意であった。
酒場からハルが飛び出してきた。涙を流し、目を赤く腫らしながら、夜の町を駆けていく。何処かへ向かおうとしている様子は無い。ただただ感情の赴くままに走っているように見えた。
――そんな彼へ、アスヴェルは声をかける。
「ハル」
「っ!?」
すぐ、ハルは足を止めてくれた。彼は泣き晴らした顔でこちらを向くと、
「あ、アスヴェル殿。奇遇ですな、こんなところで会うとは――」
「ミナトのところへ連れていってくれ」
単刀直入にこちらの目的を伝える。いきなりの内容に目の前の青年は大きく目を見開き、
「……な、何を仰っているのですかな? 拙者にはちんぷんかんぷんですぞ」
「酒場での話は聞いていた」
最初から、全て。前々から、どうも“ここの人々”は自分の前で本当のことを話さない傾向があるように感じていた。だから、隠れて様子を伺っていたのである。
「ハル――正直に答えて欲しい」
「その……せ、拙者に答えられることならば」
「ミナトは、殺されようとしているんだな?」
「うぐっ!?」
そうとしか考えられなかった。ただこの大陸に来れなくなる、自分の力が無くなる、それだけであればあんな反応はしない。あんな顔はしない。
あの時のミナトの顔は――アスヴェルが元の世界で幾度も見てきた――己の死を覚悟した人間の顔だ。
「何故だ。何故、彼女の命が奪われねばならない?」
「そ、それは……えと……その、なんと言いますか……」
「今更はぐらかすのは無しにしてくれ。もう時間は無いんだろう!?」
「あ、う、う――」
それでもハルは逡巡しているようだ。だがアスヴェルは、答えを強制するような真似をしない。彼なら大丈夫だと信じているからだ。ハルは――決して、友人を見捨てられるような人間ではない。
「――分かりました。お話します」
数分に渡り考え抜いた後、青年はそう答えてくれた。
長話になるからと、場所を移した。誰も居ない夜の公園で、2人はベンチに腰かけていた。
「アスヴェル殿は、東京をご覧になられましたかな?」
「ああ」
ハルが切り出してきた質問に、首肯で返す。
「ならば、あの“屋根”も見たことでしょう」
「見た。この街を包むような天井を」
「いえ、実際に東京という街全体を包み囲っておるのです」
巨大な屋根だったが、そこまでの代物だったか。
「アレはですな、“柵”なのでござるよ。あの街に住む人々が、逃げ出さないようにするための」
「……何故、そんなことを?」
「分かりませぬ。住人を“管理”するための一環ではないかと噂されておりますが、真相は拙者も把握しておりませぬ。誰も彼もが、この街の中のみで一生を過ごすのでござる」
「そうか……」
ミナトの話から、どういう理由で街を囲う屋根の話になったのか。それをアスヴェルは問い質さない。というより、薄々分かり始めていた。
「……ミナトは口減らしのために殺されようとしているんだな?」
「っ!! そ、その通りです」
人を一定の領域内に収め続ける場合、まず問題になるのは人口だ。食料を始めとした生活の必需品が無限に手に入ることなど無い。である以上、人が多くなりすぎたなら、数を調整する必要がある。
「……君達のところの政府は、出産数の管理を行っていないのか?」
ふと疑問に思ったので聞いてみる。人口の維持が目的なら、産まれる子供の数を調整した方が余程効率よいように思えたのだ。
「いえ、そのようなことは行っておりませぬ。その……敢えて余剰が出るように人を増やした上で不要な人間を切り捨てることで、“有用な人間”の割合を増やす、という目的のようです」
「――そうか」
納得はできた。全く持って人倫にもとるやり方だが。よくもまあ、そこまで残酷な政策を実行できるものだ。
「ミナトは、不要な人間か」
「そんなことはありません!! ミナトさんが要らない人の筈が無い!! で、でも――」
「口減らしの対象に選ばれてしまった、と」
「――はい」
ハルは俯き、震えている。感情がまだ制御できていないのだろう。彼の立場を考えれば無理のないことだが、質問は続けなければならない。
「だが、まだ助ける術があるんだな?」
「……無理です」
「あるか無いかだけ、聞かせてくれ」
「…………あり、ます」
絞り出すような声でそう答えた。
「“調整”の対象に選ばれた人には、ある“ゲーム”が課されるのです。それをクリアできたなら、その人は対象から外される……」
「察するにその“ゲーム”とやらは、必要な人材かそうでないかを最終判断する場か」
「政府はそう発表しています。でも――」
「クリアした人は、未だいない?」
「はい――あんなの、ただの謳い文句です。選別された人にも温情を示しつつ、その上で“調整”されても仕方ない――不要な人であるのだと主張するために行っているだけなんですよ。どうせ、万に一つクリアしたってもみ消されるに決まってます!」
それは――どうだろう? 非人道的な真似までして“無機質に”管理を徹底している政府が、自分達の言い出したことを撤回するなどという――“人間的な”行動をとるとは考えにくい。“ゲーム”とやらをクリアすれば、助かる算段はそれなりにあるのではないか。
「それで、その“ゲーム”の内容とはどんなものなんだ?」
「……限定されたエリア内で、特定の目的達成を目指すのででござる。目的は毎回異なり、例えば散らばっているアイテムを集めるだとか、魔物を一定数倒すだとかが、設定されておりますな」
先程からハルの口調が安定していない。それ程までに追い詰められている、ということか。余り辛いことを聞きたくは無いが――今ばかりは仕方ない。
「それだけなら、クリアはそう難しく無いように思えるな」
「左様に。ですから、難易度を上げる“仕掛け”があるのでござる。“ジャッジ”と呼ばれる者達がエリア内に出現し、参加者を妨害してくるのでござる」
「妨害とは、何をされるんだ?」
「主に……参加者の殺害を」
「ふむ」
攻略不可能とまで言われている以上、相当な強者が用意されているのだろう。だが、力づくでどうにかなるなら、アスヴェルの得意分野だ。
「その“ゲーム”はこのロードリア大陸で行われる、ということでいいんだな?」
「……はい」
幾分か迷ったものの、はっきりと肯定してくれた。
ならば話が早い。アスヴェルがその“ゲーム”に潜り込めば、それで話がつく。酒場で聞いたところによれば、NPCと呼ばれる人物――アスヴェルもそれに含まれるらしい――が参加すること自体は反則にあたらないようだし。
「そして――君は、私を“ゲーム”の開催場所へ連れていくことができる」
最後にアスヴェルは、最も肝となる質問を投げかけた。
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