運び屋兄弟の異世界爆走日記

旅虎

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第1章

1-5.依頼

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 ブリクスをバイクに乗せ王様に会いにリオーリック王国に向かって走り出した天海兄弟、なんか楽しんでいる真琴とは裏腹に雷の顔は険しいしていた。

(全く、何があるか分かったもんじゃねーのに何であんなに楽しそうなんだよ兄貴の奴)

 だが、真琴に言われたようにあのまま森をさまようよりかはブリクスについて行って王様を尋ねるのがいいと言う事は分かっていた。
 今までの人生でこういう時は大体厄介事に発展すると言う事になると経験しているからこその思いが強いらしい。

「なんじゃ雷?、おめーなんか考え事か?、あんま運転中に考えとると事故るでー」

 そんな雷を見て気づいたのか真琴が雷に話しかけてきた。
 そこら辺は流石兄弟と言うべきか、お互いの顔を見ただけで互いの心境の大体はわかる。

「まぁ、気にしても仕方ねーな」

「そうじゃそうじゃ、とりあえず急ぐでー」

「おうよ」

ブォォォォォン。

 そう会話を交わすと二人は一気にスロットルを回すと、バイクは速度を上げた。

数十分後。

「うむ、そなた達が異世界から来たと言う者達であるか?、我はこのリオーリック王国の国王をしているヘルグランド・ヨルガンと申す」

 リオーリック王国についた二人はブリクスの案内で王国のでっかい城の中にへと招かれた。
 広い空間に連れられ目の前には王様が座るであろう椅子があった。

「はい!、ついさっき私が山賊に襲われた所を助けて頂きました!」

「おお!、それは誠か?」

「まぁ、たまたま見かけて助けただけだ、大したことじゃねーよ」

「そうじゃな、困った時はお互い様って言葉があるぐらいじゃけん気にすんなや」

 王様が言ってきたことに適当に答える兄弟。
 因みにバイクは城に入る前の門付近に止めてある、ここに来る途中色々な人からの目線を集めていた、まるでこの世で見た事のないものを見てしまった様に。

「ブリクスから事情は聞いている、些細な事であろうと我の国の者を助けていただいたのは感謝せねばならん」

「いいっていいってー、俺らは気に食わないヤローを見ると腸が煮えくり返るけん、あーゆうのをぶちのめしたくなるんや」

「まぁ、間違ってねーなー」

 王様の感謝も適当に流していた、そんな兄弟に向かってある提案を王様が持ちかけた。

「ならお礼と言っては何じゃが、お主らが居たいだけここに住んで良いぞ」

「あー、それを頼もうかと思とったんじゃけど先言われてもーたな」

「まぁ、そこん所は遠慮なくいさせてもらうけどよー、なんか俺らに頼みでもあんのか?」

 王様のお礼を聞き雷がその質問をした、理由は簡単だ、王様の顔にそう書いてあるからだ、真琴もそれはわかっているらしい。
 今まで運び屋の仕事をしてきた二人、当然の事ながら様々な人が依頼をしてきた、依頼費が高いなどと言う人もいれば、報酬を増やすから追加の依頼を頼むと、そんな感じの人が少なくないからだ。
 その時の依頼主の顔を二人は覚えているらしい。

「よく分かっておるな、実は最近山賊らしき者どもに国民が襲われると言う事件が発生してな、調査しても一向に手掛かりがないんじゃ」

「ふーん、それは大変苦労してんだろうな」

「衣食住を提供する代わりに俺らにはその盗賊を探し出して捕まえてくれって事か」

「その通りじゃ」

 心の中を察せられた王様は二人が言った事に頷いた。

「それはええんじゃが、俺らはここには来たばかりでそこらへんの地形とか分からへんで」

 真琴が手を挙げながら質問を投げかけた。

「それは心配いらんそこにいるブリクスを連れて行ってくれ」

「「?」」

「よろしくお願いします(ペコ)」

 ヘルグランドが指を指した方を二人が見る、そこには頭を下げていたブリクスがいた。

「確かに、あの子なら俺らとも親しみやすいしな、いいんじゃねーのか」

「まぁそうじゃな、よろしくなブリクス!」

「はい!」

 ブリクスがついて行くのに同意をし、真琴がブリクスに挨拶をすると元気よく返事をした。

「では、早速だが君たちの部屋を案内しよう.....」

「お待ちください!」

「「「?」」」

 ヘルグランドが二人の部屋へとブリクスに案内させようとすると、それを阻止する声がした。
 声のする方に目線をやると、あるひとつの通路から鎧を着たいかにも騎士っぽい女が歩いてきた。

「これはロギング騎士団長、どうかなされたか??

 その女に向かってヘルグランドが要件を尋ねた。

「国王様、この様な得体のしれない者どもに山賊共の調査を依頼するのは危険です、どうかお考え直しくださいませ」

「うーん、じゃがのぉー」

 ロギングと言う女騎士に天海兄弟が山賊調査を考え直すよう言われると、ヘルグランドがどもってしまった。

「そもそも!、この者達が予言で出た異世界から来たと言う者達であるのかわかりませぬ、そんな者達に私達の代わりなど務まりませぬ」

「む、むー」

 女騎士の圧に圧倒されてしまう国王様、この国王大丈夫なのだろうか?。

「陛下!」

「...............」

 さらに女騎士に圧倒され、縮こまってしまう国王様、ほんとに大丈夫なのか?。

「あのー」

 そんな光景を見ていたブリクスが手を挙げながら口を開いた。

「なんでしょうブリクス様」

((うん?、様?))

「はい、ロギング騎士団長はお二人が得体の知れない人であり、実力も把握出来ていないので調査に出したくないと?」

「はっ、その通りでございます」

「でしたら、真琴様、雷様の実力が把握できるようにロギング騎士団長とこの二人のどちらかが模擬戦をして実力を見るのはどうでしょう?、それで問題が無ければ調査に参加させて頂くと言うことで」

「は?!」

 ブリクスの提案に女騎士は驚いた表情を見せた、真琴や雷は状況を察したのか顔がニヤついていた。

「なるほどなぁー、それはええ考えじゃ」

「まぁ、それでいいんなら俺も文句はねーな」

「え、いや.....あの.....」

「それでよろしいですかお父様?」

「あ、あぁ、なら早速訓練場に向かおうではないか」

 いきなりの事で女騎士はあたふたしている所をほかの騎士に連れられていくのを追っていくように王様や兄弟も訓練場に向かった。

「うん?、さっきなんか変じゃなかったか?」

「何がじゃ?」

 歩いていると雷が真琴に疑問を投げかけた。

「いやー、あの女騎士がブリクスの事を様を付けて呼んでいたからさ.....しかも国王をお父様って呼んでたよな?」

「え、ま、まさかーブリクスがそんな訳ねーじゃろーー(汗)」

「だ、だよな~(汗)」

 二人は心配そうに肩を落としながら歩いてついて行った。
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