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ドロシーへの礼
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ドロシーが呪術についての残滓を慎重に追った結果、呪術を実際に行っていると思われる場所を絞り込むことに成功した。
行きついたそこは、ルーデル領の黒の森の入口らへんにある、数軒ある空き家の一つだった。
「あぁ、なるほどな・・・」
オミトは望遠鏡でその空き家を見ながら、納得したように呟いた。
「わからないようにだが、ほんの数人ほど見張りと思わしき連中がいるな。少なくともあそこには外部からの人間の侵入を警戒するべき何かがあるということは確定だ」
呪術の現場を見つけたオミトだが、すぐさま突入することはせず、まずは裏付けと下調べに取り掛かった。
リュートはともかく、ブラホードは呪いも死人の種の密輸も主犯格なので、相応の警戒をしていると思ったのだ。
「じゃあ、突入するならしっかり準備をしないといけないということですね」
オミトの隣で聞いていたドロシーが言った。
オミトは彼女の言葉に頷く。
「あぁ、だが、ここまで来ればあと一息だ。ブラホードとリュートからは呪術の残滓があるんだろう?ならば、奴らが再びあの現場に行くことはわかっている。次に奴らがあそこに現れたときが、勝負を仕掛ける時だ」
呪術そのものは禁忌ではないが、呪術でタルカスを狙ったと分かれば逮捕、拘束、処刑と好きなように処分できる名分となる。それはリュートであっても同じだった。臣下を、それも国防の要職である辺境伯騎士団の団長を殺そうとするなど、貴族であっても許されないからだ。
ドロシーによると呪術をかけている現場に行けば、その展開されている呪術が誰をターゲットにされているかわかるため、それを証拠にすることが出来るという。
呪術でブラホード達をつるし上げることが出来れば、死人の種についての密輸についても根絶することができる。
オミトは後一歩でこの大きな問題が解決できそうなことに、興奮を覚えていた。
「ドロシーには本当に世話になった。ありがとう。最後に呪術の現場に一緒に行ってもらうことになるが、それさえ終われば大体のことは片付く。そうしたら、あと少しで全て終わりだ」
「そのときは、何かオミトさんにお礼をお願いしても良いですか?」
感謝を述べるオミトにドロシーは悪戯っぽく微笑んでそう言った。
「あぁ、なんでも言ってくれ。俺に出来ることなら何でもしよう」
テンションがやや上がっていたオミトは、ついそんなことを軽く答えてしまう。それを聞いたドロシーは笑みを深めて言った。
「それじゃあ、そのときは私と一緒になってくれますか?そうでなくても、せめて恋人から始めるとか、そういうので・・・」
行きついたそこは、ルーデル領の黒の森の入口らへんにある、数軒ある空き家の一つだった。
「あぁ、なるほどな・・・」
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リュートはともかく、ブラホードは呪いも死人の種の密輸も主犯格なので、相応の警戒をしていると思ったのだ。
「じゃあ、突入するならしっかり準備をしないといけないということですね」
オミトの隣で聞いていたドロシーが言った。
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「あぁ、なんでも言ってくれ。俺に出来ることなら何でもしよう」
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