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ダグラス・ルーベルトの変化 その6

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歪なほどにプライドの高かったダグラスだったが、いや、そうだったからこそ、彼は時間とともにキアラに負けた事実に押しつぶされ、耐えきれなくなり、一線から身を引くことを決めた。


「なんとも実に身勝手なことだ」


呆れた目でダグラスを見ていたチェスターは思わずそう呟いていた。
言われたことを十分自覚しているのか、ダグラスは気まずそうに目を伏せる。

己の思うがままに進み、先代が取り決めた重大な婚約を破棄しようと画策し、挙句親戚一同からそっぽを向かれ、にっちもさっちも行かなくなったうえに心が砕かれたからといって全責任を放り出して引責する。
ダグラスとキアラの間に何があったのかはチェスターは詳しくは知らないが、現状では誰が見てもダグラスの言動は完全に自業自得の自分勝手極まりない行いであった。


「これまで散々好きなようにやっておいて、どうしようもないほどに勝手なのは承知している・・・しかし、今の私では既に償うことすらできない」


チェスターの言葉を受け、ダグラスは力なく笑ってそう答えた。


「・・・そのようだな」


全く覇気のなくなったダグラスを見て、チェスターは諦めたように小さく溜め息をついて言った。責める気にもならぬほど張り合いのないダグラスを見ていると、チェスターの心に複雑なものが浮かんでいた。


「学校の運営については、既に私の思う最適だと思う人間に交代しようと思っている。公爵位だけでなくそちらの引継ぎも終われば、私がやることは終わりだ」


「ほとんど・・・?」


「あぁ、私には謝罪すべき相手がいることであるしな」


「・・・なるほど、話はわかった」


チェスターはすっかり冷めた紅茶のカップに手に取った。
自業自得ではあるし、ダグラスの後始末をする義理はないと最初は考えていたが、それでも魔法使い学校への教材の供給を取り辞めたり、今のダグラスを作り出してしまったことの要因は自分にもあるとも思うようになった。


「キアラに話をし、公爵位を継ぐというのなら私はそのバックアップをしよう。継がないというのなら、そのとき一緒に考えよう。それで良いかね?」


チェスターは現ルーベルト家当主の最後の後始末を手伝うと約束をした。
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