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強引な願い

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「ま、いろいろ話したけど、結局のところ結論としては『これから大変なことが起こる』よ」


ローザはそう言って飲み干した紅茶のカップを置き、スッと立ち上がった。


「順当に行けばロクフェル属する保守派がこれから巻き返して、革新派は追い込まれるでしょうね。それが終わるのは一年か、二年か・・・ いずれにせよ、私達がどうこう出来るレベルの話じゃないわ。下手に首を突っ込んでも、ろくなことにならないしね」


目を細めて、ふぅと溜め息をつくローザ。
アルス教団の上層部のほうで戦争があるというのなら、確かに下手に首を突っ込まないほうがいいだろう。と言っても、俺の場合は現段階で知ったと知られたら首を刎ねられるような機密を聞いてしまっているような気がするが。


「アミルカは・・・これからどうなる?革新派が迫ってくるってことはないのか?」


俺は気になることを聞いてみた。
彼女はどちらかというなら保守派に位置することだろう。革新派がもし報復に出てきた場合、アミルカの身に危険が及ばないかが気になった。


「アミルカは多分安全よ。聖女というのは、派閥関係なく絶対的な存在だから。革新派からしても『死人の種の管理論』には、聖女の存在が必要不可欠なのよ。だから変なことは絶対にしない。・・・まぁ、多分だけどね」


ローザのその答えを聞いて、とりあえず俺はホッと胸を撫でおろす。
そうして帰ろうとするローザを見送ろうとしていると


「ただ・・・ロクフェルの動向にだけは注意し続けないと駄目よ。アイツはそのときどきで身の振りを変える男だから」


最後に部屋を扉を上げる手を止めて、ローザが振り返って言った。


「・・・例えば彼が保守派にいるとは限らないと?」


「そうよ。元は保守でも革新でもない、日和見派だった。だけど大局を見て、自分の利になるところへコロっと移動する・・・だから、アイツだけは信用しちゃダメ。自分のためなら、アミルカだってどうするかわからない。だから・・・」


そこまで言ってローザは口を噤むが、やや間を置いて続きを言った。


「私やドレッドに何かあったりしたら、アミルカのことを連れ出してでも、彼女のことを守ってほしいの。お願いよ」


「おい・・・」


勝手にそう言い切ったかと思うと、ローザは俺の返事を聞かずしてそのまま俺の部屋から出て行ってしまった。
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