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違和感と予感
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「本日は取材にご協力いただきまして、ありがとうございます」
「いえ、こちらこそ光栄なことです」
エーペレスの言った取材の時間になると、ソーアは読書から解放されて詰め所の応接室で新聞記者の取材を受けることになった。
定期的にソーアの話題を広く提供することで、彼女の認知度と影響力を維持しそうとエーペレスがメディアの関係者の知り合いに取り上げてもらうよう頼み込んではいるが、最近はそうせずとも国内外から取材の申し込みがそこそこあった。
しかしこれに満足してはいかない。
もっと民主からのカリスマを得なければいけない。民主からの絶大な支持は、邪な権力の介入を弾く力になる。
ショウはそれが及ばずに追い落とされた。
もうあのような屈辱は味わうまいーーー
エーペレスはそう思いながら、ソーアの隣に腰を掛けて紅茶に口をつけていた。
「昨日は大商会の密輸船を撃沈したとのことですが、そのことについてお話を伺っても?」
「あぁ、昨日のことか。あれは撃沈というより轟沈、もしくは爆沈というか・・・ふふ、どちらにせよ少し派手にやってしまったな」
記者の取材に微笑しながらそう答えるソーアを見て、エーペレスはどこか違和感を感じた。
ソーアは何度も何度もメディアからの取材を受けているが、いまだに慣れないのかいつも取材中は常に緊張しており、表情は引きつった笑顔で硬直しているし、受け答えもややぎこちない様であったのだ。
しかし今のソーアは違う。
微笑を浮かべた表情は緊張どころかリラックスさえしているように見えるし、受け答えもスムーズだ。
いつもは緊張しすぎて青ざめている顔も、今はむしろ紅潮しているように見える。
なんだ?なんだこれは・・・ただの気合の入れ方の違いでこんなことになるとは思えないが・・・
やがてエーペレスの疑問を解消する糸口が、僅かに彼女の鼻につく。
(これは・・・!)
ーーーーーーーーーー
一方、ソーアの寝泊まりしている隊長室では二人の隊員達が部屋の掃除をしていた。
「元は物をあまり置かない人なのに、今は本でいっぱいね」
「エーペレスさんに厳命されてノルマ課せられてるらしいわよ。で、こなせなくて積み上がってると」
「仕事の合間に読書に取材に社交に、本当にいろいろと大変ねぇ」
「・・・あれ?珍しいわね」
隊員の一人がテーブルの上に置いてあるものに気が付いた。
「それは・・・ブランデー?」
「隊長はお酒うんと弱いから一口でも酔っちゃうのに、どうして置いてあるのかな」
「気付けに飲んだとか?」
「うーん、確かに一口分くらいだけ減ってるような・・・」
「隊長、取材は緊張して全然慣れないとか言ってたものねぇ。一口だけ飲んでリラックスしたかったのかもね」
「リラックスを通り越してなきゃいいけど・・・取材で変な失言なんてしたりして」
「えー?いやでもまさか一口でそこまではいかないでしょ」
「まぁ、そうよね」
隊員達は笑いあった。
しかし彼女らの予感は的中しようとしていた。
「いえ、こちらこそ光栄なことです」
エーペレスの言った取材の時間になると、ソーアは読書から解放されて詰め所の応接室で新聞記者の取材を受けることになった。
定期的にソーアの話題を広く提供することで、彼女の認知度と影響力を維持しそうとエーペレスがメディアの関係者の知り合いに取り上げてもらうよう頼み込んではいるが、最近はそうせずとも国内外から取材の申し込みがそこそこあった。
しかしこれに満足してはいかない。
もっと民主からのカリスマを得なければいけない。民主からの絶大な支持は、邪な権力の介入を弾く力になる。
ショウはそれが及ばずに追い落とされた。
もうあのような屈辱は味わうまいーーー
エーペレスはそう思いながら、ソーアの隣に腰を掛けて紅茶に口をつけていた。
「昨日は大商会の密輸船を撃沈したとのことですが、そのことについてお話を伺っても?」
「あぁ、昨日のことか。あれは撃沈というより轟沈、もしくは爆沈というか・・・ふふ、どちらにせよ少し派手にやってしまったな」
記者の取材に微笑しながらそう答えるソーアを見て、エーペレスはどこか違和感を感じた。
ソーアは何度も何度もメディアからの取材を受けているが、いまだに慣れないのかいつも取材中は常に緊張しており、表情は引きつった笑顔で硬直しているし、受け答えもややぎこちない様であったのだ。
しかし今のソーアは違う。
微笑を浮かべた表情は緊張どころかリラックスさえしているように見えるし、受け答えもスムーズだ。
いつもは緊張しすぎて青ざめている顔も、今はむしろ紅潮しているように見える。
なんだ?なんだこれは・・・ただの気合の入れ方の違いでこんなことになるとは思えないが・・・
やがてエーペレスの疑問を解消する糸口が、僅かに彼女の鼻につく。
(これは・・・!)
ーーーーーーーーーー
一方、ソーアの寝泊まりしている隊長室では二人の隊員達が部屋の掃除をしていた。
「元は物をあまり置かない人なのに、今は本でいっぱいね」
「エーペレスさんに厳命されてノルマ課せられてるらしいわよ。で、こなせなくて積み上がってると」
「仕事の合間に読書に取材に社交に、本当にいろいろと大変ねぇ」
「・・・あれ?珍しいわね」
隊員の一人がテーブルの上に置いてあるものに気が付いた。
「それは・・・ブランデー?」
「隊長はお酒うんと弱いから一口でも酔っちゃうのに、どうして置いてあるのかな」
「気付けに飲んだとか?」
「うーん、確かに一口分くらいだけ減ってるような・・・」
「隊長、取材は緊張して全然慣れないとか言ってたものねぇ。一口だけ飲んでリラックスしたかったのかもね」
「リラックスを通り越してなきゃいいけど・・・取材で変な失言なんてしたりして」
「えー?いやでもまさか一口でそこまではいかないでしょ」
「まぁ、そうよね」
隊員達は笑いあった。
しかし彼女らの予感は的中しようとしていた。
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