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大破壊の矢
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「隊長。大型船停船命令に従いません。なおも航行を継続!速度も落とすどころか上げています」
海原で水面を滑走する軽装の女水兵・・・戦女神の隊員は、隊長であるソーアに報告した。
ソーアは今、以前と同じように海上をパトロール中に、気になる商船を見つけて停船させ調べようとしたところ相手がこれを無視したために、逃げる船を追うように部隊を展開させていた。
「海賊と親密にしているドフォーレ商会の大型船だ。積み荷の確認のための停船命令すらガン無視とは、よほど誤魔化しきれないくらいのいかがわしいものをたんまり運んでいるんだろうな・・・」
やましい物があるから見せられない。他に理由などない。答えはシンプルだ。
「よし、赤玉打ち上げろ」
ソーアの出した結論もシンプルであった。ならば沈めるまで、と。
やましい船などこの海にいてはならない。
ソーアの指示により、赤色に発光する魔石のついた矢が空に向かって放たれた。
昼間でも世界が真っ赤に染まるかと思うほどの強烈な発光。これは「帰艦ヲ撃沈スル」という最後通牒である。
海賊船であってもここまでやればある程度の船は諦めて停船をする。
しかし、今回の大型船は商会の船であるというのに海軍であるソーアの指示に従わず、一向に速度を落とすことがなかった。
「ほほぅ、我々を振り切るつもりか?」
ラウバル地方でも名うての商会の船である。緊急時に外敵から身を護るための準備は整っていて、ソーア達ですら振り切れるつもりでいるのだろう。
「矢をつがえ!・・・射っ!!」
ソーアの号令とともに、ソーアを含めた5人の戦女神達が一斉に矢を放つ。
弓に付与されているそれと、隊員達それぞれの魔力による修正を受けながら、無茶苦茶な軌道を描きつつも遥か遠くで逃げ続ける商会の船に向かってしっかり飛んでいく。
この矢には爆裂魔法の魔石がついており、矢の命中とともに爆裂!頑丈な船であれば無傷ではいられないはずだった。
しかし
ドォォォォォォン
戦女神の放った矢が全部命中したはずなのだが、商会の船は無傷のままであった。
「隊長!あの船、極めて強力な防護魔術が展開されています!!爆裂矢程度ではかすり傷一つつかないかと!!」
双眼鏡で観察していた隊員が叫んだ。
「ほう、流石はドフォーレ商会。あの防護壁を展開するにはかなり効果な魔石を消費したはずだ。よっぽど船荷が大事であるようだな」
隊員の報告を聞いて、ソーアはニンマリと笑う。
船全体をあらゆる攻撃から防御する魔法を展開する魔石は非常に高価だ。しかも効果は長く続くわけではない。
しかしそれを惜しみなく使うところに、ソーアは相手が見つかれば致命傷になるほどのものを持っていると確信した。
「今日は大戦果になりそうだ。皆、私が出る。下がれ」
ソーアが一本の矢をつがえながら前にでる。
隊員達は指示に従ってすぐさまソーアの後方まで下がった。
「あちらが大盤振る舞いといくなら、こちらも相応に振る舞ってやらねばな!」
ソーアのつがえている矢は、魔石のついていないすっきりした形の普通に見える矢であった。
だがパッと見普通に見えるだけで、それは普通の矢ではなかった。この矢には細かい文字の書いてある符が巻き付けてあるのだ。
「受けるがいい!障壁貫通型爆裂矢!!」
シュバッと放たれた矢は、先ほどと同じように商会の大型船へ向かっていった。
先ほどと同じように矢を弾こうと魔法による防壁が展開されるが、矢は勢いを殺すことなく防壁を貫通。船の外壁をも突き破りそして・・・
ドォォォォォォォン
商会の大型船の大部分が爆発により吹き飛んだ。
防壁の中で起きた爆発だけあって威力が倍倍に増え、船は大規模な火災に見舞われている。
「航行を停止!」
双眼鏡で覗く隊員が言った。
「火災が発生している模様。いかがされますか?」
「私達が消火する義理はない。放っておけばいい」
ソーアは燃え下がる商船をただ距離を取って眺めているだけ。
その目には何の感情もなかった。
海原で水面を滑走する軽装の女水兵・・・戦女神の隊員は、隊長であるソーアに報告した。
ソーアは今、以前と同じように海上をパトロール中に、気になる商船を見つけて停船させ調べようとしたところ相手がこれを無視したために、逃げる船を追うように部隊を展開させていた。
「海賊と親密にしているドフォーレ商会の大型船だ。積み荷の確認のための停船命令すらガン無視とは、よほど誤魔化しきれないくらいのいかがわしいものをたんまり運んでいるんだろうな・・・」
やましい物があるから見せられない。他に理由などない。答えはシンプルだ。
「よし、赤玉打ち上げろ」
ソーアの出した結論もシンプルであった。ならば沈めるまで、と。
やましい船などこの海にいてはならない。
ソーアの指示により、赤色に発光する魔石のついた矢が空に向かって放たれた。
昼間でも世界が真っ赤に染まるかと思うほどの強烈な発光。これは「帰艦ヲ撃沈スル」という最後通牒である。
海賊船であってもここまでやればある程度の船は諦めて停船をする。
しかし、今回の大型船は商会の船であるというのに海軍であるソーアの指示に従わず、一向に速度を落とすことがなかった。
「ほほぅ、我々を振り切るつもりか?」
ラウバル地方でも名うての商会の船である。緊急時に外敵から身を護るための準備は整っていて、ソーア達ですら振り切れるつもりでいるのだろう。
「矢をつがえ!・・・射っ!!」
ソーアの号令とともに、ソーアを含めた5人の戦女神達が一斉に矢を放つ。
弓に付与されているそれと、隊員達それぞれの魔力による修正を受けながら、無茶苦茶な軌道を描きつつも遥か遠くで逃げ続ける商会の船に向かってしっかり飛んでいく。
この矢には爆裂魔法の魔石がついており、矢の命中とともに爆裂!頑丈な船であれば無傷ではいられないはずだった。
しかし
ドォォォォォォン
戦女神の放った矢が全部命中したはずなのだが、商会の船は無傷のままであった。
「隊長!あの船、極めて強力な防護魔術が展開されています!!爆裂矢程度ではかすり傷一つつかないかと!!」
双眼鏡で観察していた隊員が叫んだ。
「ほう、流石はドフォーレ商会。あの防護壁を展開するにはかなり効果な魔石を消費したはずだ。よっぽど船荷が大事であるようだな」
隊員の報告を聞いて、ソーアはニンマリと笑う。
船全体をあらゆる攻撃から防御する魔法を展開する魔石は非常に高価だ。しかも効果は長く続くわけではない。
しかしそれを惜しみなく使うところに、ソーアは相手が見つかれば致命傷になるほどのものを持っていると確信した。
「今日は大戦果になりそうだ。皆、私が出る。下がれ」
ソーアが一本の矢をつがえながら前にでる。
隊員達は指示に従ってすぐさまソーアの後方まで下がった。
「あちらが大盤振る舞いといくなら、こちらも相応に振る舞ってやらねばな!」
ソーアのつがえている矢は、魔石のついていないすっきりした形の普通に見える矢であった。
だがパッと見普通に見えるだけで、それは普通の矢ではなかった。この矢には細かい文字の書いてある符が巻き付けてあるのだ。
「受けるがいい!障壁貫通型爆裂矢!!」
シュバッと放たれた矢は、先ほどと同じように商会の大型船へ向かっていった。
先ほどと同じように矢を弾こうと魔法による防壁が展開されるが、矢は勢いを殺すことなく防壁を貫通。船の外壁をも突き破りそして・・・
ドォォォォォォォン
商会の大型船の大部分が爆発により吹き飛んだ。
防壁の中で起きた爆発だけあって威力が倍倍に増え、船は大規模な火災に見舞われている。
「航行を停止!」
双眼鏡で覗く隊員が言った。
「火災が発生している模様。いかがされますか?」
「私達が消火する義理はない。放っておけばいい」
ソーアは燃え下がる商船をただ距離を取って眺めているだけ。
その目には何の感情もなかった。
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