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モテ期から断罪

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「す、好きです!」


ちょっとの間迷っていた素振りを見せていたドロシーは、意を決したように目を瞑るとそう叫んだ。
そう叫んだのだ。
俺に。


俺に・・・えぇぇ?


「好きです!ショウさん」


正面から見据えて、再度名指しされて言われては聞き違いでも解釈違いでもあるまい。
俺はドロシーに告白されたのだ。

そう俺は告白された。

告白・・・えぇぇ?


「しっかりしなさい!」


バシッとアミルカが呆ける俺の肩を叩いて叱りつけてきた。
早くもお姉さん属性の発揮か?
しかし俺も情けない。あまりの急展開に脳みそがついてこなかった。


「お、俺は・・・」


ドロシーのことは嫌いではない。好感を持っているほうだ。クリフからドロシーの気持ちを聞いていくらか意識してしまっていたし。

だが、それでもやはり一線を踏み越えることはなかった。


「すまん。故郷に待たせてる人がいるんだ」


そう、ソーアがいるからだ。
確実に俺が戻れる状況になるとは限らない。普通に考えればもう二度とランドールの地を踏むことはできないだろう。
だが、ソーアは何年かかっても俺の帰国を実現させると言ってくれた。

なら、俺に出来ることは信じて待つことだけだろう。


「だから、ごめん」


そう俺は言い切った。

今の俺があるのはソーアのお陰だ。
ならば俺はソーアのことを忘れて自分一人がさっさと幸せになるわけにはいかない。


「はぁ・・・まぁこれだけ素敵な人ですもんね。やっぱりそうですよね」


ドロシーは目じりに涙を浮かべてはいたが、それでも顔は笑っていた。


「すっきりしました。これからも変わらぬ付き合いをお願いします」


さっぱりしたのか、それとも無理しているのか、少し明るめの声でそう言うドロシーに


「あぁ、よろしく頼む」


俺はそう言って手を差し出したのだった。
何か変な流れだったが、ドロシーのことはこれで終わりか。なんか少しだけもったいない気持ちもなくはないけど。






「え?じゃあどうしてショウはここにいるの?」


だが、場の流れを読まないような素っ頓狂な声でアミルカがそう言った。


「故郷に待たせてる人がいるんだよね?なのにどうして故郷に戻らないで、のんびり女の人連れ込んでるの?」


「つ、連れ込んでなんてないだろ!?」


いかん、話が変な流れになってきた。
故郷・・・というかランドールを国外追放されてるなんて流石に言えない。余計なことを言ってしまったと後悔してしまう。胸が痛んでもゲイセクシャルなので無理ですと言っておけば良かったんだろうか。


「じ、事情があるんだよ・・・」


説明したいができない。俺の身の上については元傭兵団所属だとかいろいろ考えてはいたが、女絡みとなるとまるで台本なんて用意してなかった。


「あ、怪しいですよショウさん・・・」


今しがた愛を告白してきたはずのドロシーがじと目で俺を見ている。



「ううむ・・・私の人を見る目も曇っていたのかしら・・・」


さっきまで自信満々という顔で俺の心が綺麗と言っていたアミルカは、何やら俺を疑っているようだった。
なんだこれ。モテ期からの断罪とかなんだよ。
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