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ディオの脱走 ~騎士団長目線~

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私の名は・・・いや、今はもう自己紹介している場合ではない。

牢に入れて閉じ込めておいたはずのディオが脱走したという。


「脱走しただと!?魔術師団の傑作とほざいていた結界はどうしたのだ?結界だけに決壊したでは済まされないぞ!」


「うわぁ・・・(呆れ) 牢を確認した者によると、結界は破られていたそうです。現場ではディオと同じく処刑の決まっていたウラエヌスと、あと・・・教団の大聖女であるイライザ様の二人が亡くなっていたようです」


「なっ・・・ななななななんだと!?」


イライザ様が亡くなっていた・・・だと?
ま、まずいぞ。教団のVIPが我が国で不審死したとなると、下手をすると教団の怒りを買ってこの国が終わる・・・!教団は半端な国のひとつやふたつなど比較にならないほどの力を持っているというのに。


「魔術師団の連中の見立てによると、結界を破る際に二人の魔力を全力で使い果たし、それによって死に至ったのではないかと」


ほっ、良かった。ちゃんと理由あるじゃん・・・って


「ど、どうしてイライザ様がディオを助ける手伝いをするのだ?一体何が・・・」


「あの、騎士団長。今ディオが脱走して騎士団は広間にて戦闘中です。ここで話している場合ではないかと」


「あ、うん、そうだな」


私は剣を取って急いでディオが戦闘中だという広間に向かった。
牢から広間に向かう途中の通路では、何人もの兵が倒れていたが、どうやら峰打ちにとどめているようで、誰一人として死亡者はいなかった。

まぁ死んではいないが、かつてのレイツォという武闘会の決勝戦で戦った相手のように、全身の骨が砕けたかのような歪な恰好で倒れてはいたが。
死ぬほど痛そうだ。泡吹いてたし。


・・・私もそうなるのか?いや、なってたまるか。
ここでディオを正面から切り伏せでもしない限り、私の求心力は底についたままだ。

私は意を決して王城広間へと躍り出た。



「・・・・・・」



バシッ バキッ グシャッ


ディオは騎士を次から次へとちぎっては投げ、ちぎっては投げていた。
鎧を着こんだ騎士がなすすべもなくやられている。鎧の上から峰打ちして一撃でノックアウトってどういう力がかかっているのだ?

などと考えながら見ているうちにも、騎士たちはどんどん数を減らしていく。
それを見て私は剣を握りしめた。








・・・・・・・。



「行ったか?」


こそっと私は植木の影から広間を除く。
広間には死屍累々の騎士達が山積みになっていた。

結局、私は隠れてディオをやり過ごした。私にできることは、ただここで玉砕することではないはずだ。だって私にはディオに勝てないし。


「ディオはどうやら魔王山へ向かった模様です」


同じく隠れていた部下が言った。
魔王山・・・!運が良ければ、私はディオを出し抜けるかもしれない!
私はディオのあとを尾行することにした。
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