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犯人捜し ~ウラエヌス目線~

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「はぁ・・・あと数日の命か・・・短い人生じゃったな」


100を超えても生きるつもりだったわしは、唐突に訪れた短い?人生の終わりの訪れに放心し、牢の中でただただ独り言つっていた。
同じ牢にいるディオもわしと同じく死刑判決を受けたらしく、死刑執行の日まで牢で何をするでもなく過ごしている。ディオは肝が据わっているというか、諦めが早いというか、もう反抗するつもりもなく死を受け入れる気がいるようであった。
元はといえばディオが国王を殺したことから始まったケチであるはずなのに、どうにもディオを憎む気になれんのはこやつの不思議な魅力のせいかもしれん。色気があるというかなんというか・・・ こんな状況でなくて男でなければ口説いていたのは間違いないだろう。・・・いや、もう男でも良くね?・・・ドキドキ





・・・・いやいやいや!


わしは頭をぶんぶん振って湧いてきた変な念を振り落とした。
どうもディオと一緒にいると変な気になってしまいそうなことがあっていかん。いっそ牢を別にしてくれれば楽なのに。

しかしディオは一体どうして国王を殺したのか?
幻覚魔術を使われていたとわしは推測するが、誰がどうしてどうやってかけたというのか。
わしほどの高位の法術使いですら諦めたほどの強力な魔力を使うはずなのだ。生半可な者には使えないはずであるし、そもそも使える人間なんて実在するのかとすら思う。
そう、幻覚魔術はそれほど高度で強力な魔術なのだ。人の感覚に侵入するというのは簡単なようで難しいのだ。



・・・うん?強力な魔術・・・?

もしかしたら・・・


「ディオ。もしかしたらお主にかけられた幻覚魔術が少しは解析できるかもしれん」


思いつきでわしが言うと、これまでずっと塞ぎ込んでいたディオが反応を示した。

これはわしの思いつきだが、強力な魔術というのはそれだけ使われた痕跡が残りやすい。例えばわしの強力な回復術は、場合によっては数か月痕跡どころか効果が残ることがあるのだ。
ディオがもし幻覚魔術をかけられたのなら、それの痕跡が残っていて誰がかけたのかくらいはわかるかもしれん。
人の魔力には特徴がある。指紋みたいなものなのだ。

しばしディオに手をかざして彼にかかったと思われる幻覚魔術の痕跡を探る。


「・・・はぁっ!?これは・・・」


ディオに残った魔力の痕跡を探ってみると、わしの知らぬ魔術の痕跡を見つけることができた。いや、正確には少しだけ知っている。かつてわしが勉強した幻覚魔術の痕跡であった。
やはりディオは幻覚を見せられ、国王を殺すはめになってしまったのだ。

では誰が・・・?
わしは慎重に痕跡を探り続けた。

・・・はぁはぁ、ディオとずっと対面していると変な気持ちになってくるわい・・・じゃなくて!集中!



「・・・これは・・・」


魔力の痕跡を探っているうちにわしは気付いた。
この幻覚魔術をかけたのは、魔王山で死んだと思われるレイツォのものであると魔力の痕跡が語っていた。


「し、信じられん・・・まさかあやつが・・・」


わしは呆然とした。ディオも同じようだった。


「こんな強力な魔術が使えるなら、最初から本気出してさっさと魔王を倒してくれても良かったじゃろ!」


怒りがわいてきた。
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