52 / 92
災難 ~ウラエヌス目線~
しおりを挟む
失うものがありながらも魔王を倒してきた我々は一先ず報告のためにルーチェ城へやってきた。
国王は報告を聞いて微妙な表情を浮かべたが、それでもわしらを気遣い城で休めと言ってくれた。ディオは騎士団と話合い、明日には姫の捜索をするようだ。魔王がいないのなら、ディオもついていることだし捜索隊にわしが加わるまでもあるまい。また元の生活に戻るとしようか。
わしはそんなことを考えながら与えられた客室の上等なベッドで横になっていた。
しかし尿意が近いわしはトイレを探しに部屋を出る。歳をとるといかんのぅ~ 10年ほど前にまだ冒険者をやっていた頃は年甲斐もなくパーティーの若い子をバンバン頂いちゃったりして「ウラエヌスさん凄い~全然まだ若い~」などと言わせていたものなのだが。
「ファッ!?」
トイレを済ませ、少しばかり部屋に戻るのに迷っていると、そこでわしはとんでもないものを見つけてしまった。
それは玉座の間でディオが国王を斬り伏している場面だった。うぇぇ、モロに見てしまったわい気持ち悪い。
国王を見ると腸をぶちまけて床に血だまりを作って動かなくなっている。完全に死んでいるのがわかった。わしでも治すことの出来ぬ即死だった。
「一体どうしたんじゃディオ!」
わしに襲い掛かってこないよね?恐る恐る近づいてディオに呼びかける。ディオは何やら放心していて持つ剣を床に落としていた。明らかに普通の状態ではなかった。てっきり最初は義父である国王と仲が悪いのかのぅなどと思っていたが、どうやらそうではないらしい。
そこでわしは聞いた。魔王がいたと。すぐそこに魔王がいて、それを倒したら一瞬で姿を消し、そこには代わりに国王の死体があったと。
「幻覚魔術か?」
わしも知っている高度で禁忌なる魔術が頭に思い浮かんだ。昔怖いもの知らずだったわしも、女の子にちょっと悪戯したくて覚えようとしたことがあった。だが、あまりに高度であり消費する魔力量も莫大であるために使いこなせる気がしなかったので諦めたのだった。
ディオは恐らくその幻覚魔術にかかっていたのではないかとわしは推理した。しかし誰が?
そんな風に考えを巡らせているとき、衛兵がやってきた。わしは慌てて起きたことを説明しようとすると
「貴様らが王を殺したのか!」
早とちりした兵がわしも共犯だと決めつけた。
馬鹿な!やったのはディオだけじゃ!わしは無関係じゃと説明したが聞く耳を持たず、わしは拘束されてしまった。寝ぼけた老人のふりをして無関係を装おうとしたが駄目だった。
こうしてわしはディオと仲良く牢にぶち込まれてしまった。
国王は報告を聞いて微妙な表情を浮かべたが、それでもわしらを気遣い城で休めと言ってくれた。ディオは騎士団と話合い、明日には姫の捜索をするようだ。魔王がいないのなら、ディオもついていることだし捜索隊にわしが加わるまでもあるまい。また元の生活に戻るとしようか。
わしはそんなことを考えながら与えられた客室の上等なベッドで横になっていた。
しかし尿意が近いわしはトイレを探しに部屋を出る。歳をとるといかんのぅ~ 10年ほど前にまだ冒険者をやっていた頃は年甲斐もなくパーティーの若い子をバンバン頂いちゃったりして「ウラエヌスさん凄い~全然まだ若い~」などと言わせていたものなのだが。
「ファッ!?」
トイレを済ませ、少しばかり部屋に戻るのに迷っていると、そこでわしはとんでもないものを見つけてしまった。
それは玉座の間でディオが国王を斬り伏している場面だった。うぇぇ、モロに見てしまったわい気持ち悪い。
国王を見ると腸をぶちまけて床に血だまりを作って動かなくなっている。完全に死んでいるのがわかった。わしでも治すことの出来ぬ即死だった。
「一体どうしたんじゃディオ!」
わしに襲い掛かってこないよね?恐る恐る近づいてディオに呼びかける。ディオは何やら放心していて持つ剣を床に落としていた。明らかに普通の状態ではなかった。てっきり最初は義父である国王と仲が悪いのかのぅなどと思っていたが、どうやらそうではないらしい。
そこでわしは聞いた。魔王がいたと。すぐそこに魔王がいて、それを倒したら一瞬で姿を消し、そこには代わりに国王の死体があったと。
「幻覚魔術か?」
わしも知っている高度で禁忌なる魔術が頭に思い浮かんだ。昔怖いもの知らずだったわしも、女の子にちょっと悪戯したくて覚えようとしたことがあった。だが、あまりに高度であり消費する魔力量も莫大であるために使いこなせる気がしなかったので諦めたのだった。
ディオは恐らくその幻覚魔術にかかっていたのではないかとわしは推理した。しかし誰が?
そんな風に考えを巡らせているとき、衛兵がやってきた。わしは慌てて起きたことを説明しようとすると
「貴様らが王を殺したのか!」
早とちりした兵がわしも共犯だと決めつけた。
馬鹿な!やったのはディオだけじゃ!わしは無関係じゃと説明したが聞く耳を持たず、わしは拘束されてしまった。寝ぼけた老人のふりをして無関係を装おうとしたが駄目だった。
こうしてわしはディオと仲良く牢にぶち込まれてしまった。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢にざまぁされた王子のその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。
その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。
そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。
マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。
人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。
大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います
騙道みりあ
ファンタジー
魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。
その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。
仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。
なので、全員殺すことにした。
1話完結ですが、続編も考えています。
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
【完結】二度目の転生は一度目の転生で俺が作ったメイドロボットでしかも人妻だった件
神谷モロ
ファンタジー
一度目の転生で俺は勇者となり魔王を倒した。
ついでに自分を転生させた神も倒した。
その後は人里離れて過ごし、魔王を復活させたり、メイドロボットを作った。
俺の生涯に悔いなしと思っていたが最後に心残りがあった。恋愛くらいしとけばよかったと。
まさか二度目の転生がおこるとは思わなかった。しかも自分が作ったメイドロボットで魔王の嫁になっていたと……。これからどうしたものやら。
※本作品は『異世界勇者と幼稚な神』『リッチさんと僕』『幼稚な神様、スタディ中』と世界を共通にしています。
ぽっちゃり女子の異世界人生
猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。
最強主人公はイケメンでハーレム。
脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。
落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。
=主人公は男でも女でも顔が良い。
そして、ハンパなく強い。
そんな常識いりませんっ。
私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。
【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】
貴方の子どもじゃありません
初瀬 叶
恋愛
あぁ……どうしてこんなことになってしまったんだろう。
私は眠っている男性を起こさない様に、そっと寝台を降りた。
私が着ていたお仕着せは、乱暴に脱がされたせいでボタンは千切れ、エプロンも破れていた。
私は仕方なくそのお仕着せに袖を通すと、止められなくなったシャツの前を握りしめる様にした。
そして、部屋の扉にそっと手を掛ける。
ドアノブは回る。いつの間にか
鍵は開いていたみたいだ。
私は最後に後ろを振り返った。そこには裸で眠っている男性の胸が上下している事が確認出来る。深い眠りについている様だ。
外はまだ夜中。月明かりだけが差し込むこの部屋は薄暗い。男性の顔ははっきりとは確認出来なかった。
※ 私の頭の中の異世界のお話です
※相変わらずのゆるゆるふわふわ設定です。ご了承下さい
※直接的な性描写等はありませんが、その行為を匂わせる言葉を使う場合があります。苦手な方はそっと閉じて下さると、自衛になるかと思います
※誤字脱字がちりばめられている可能性を否定出来ません。広い心で読んでいただけるとありがたいです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる