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運命の分かれ道

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「やった・・・!ついに魔王を倒したのか・・・!」


思わず俺は歓喜の声を上げていた。まぁ俺は何も魔王にダメージを与えていない役立たずですけどね。


「手ごわかったが、どうにか片付いたか」


そう言ってウラエヌスさんが溜め息をつく。
出ましたね役立たず二号さん。


「そうだ、ディオ!」


俺がデッドレールを放って膝をつくディオの元に駆け寄った。
デッドレールを放ったバリーさんは技の後遺症で脱力して雌になってしまっていたが、ディオは大丈夫だろうか?

ディオは少し息は荒かったが、それでも技の後遺症はバリーさんほどではないようだ。
ないようだ・・・が・・・なんだか少し弱っているからというか、元から美形なディオが女に見えてしまう。このまま見ていると心奪われてしまうような・・・そんな魅力が・・・


「って、いかん!」


俺は頭を振って変な気持ちを吹き飛ばした。


「バリー!しっかりせんか!!」


ウラエヌスさんの声でバリーさんのことを思い出した。
そういえばディオがデッドレールを撃つ直前まで魔王の攻撃を受けていたのだった。あれはディオの動きに気付いて、陽動していたのだと今ならわかる。
かなりダメージを受けていたようだが、大丈夫だろうか。


「ふ・・・もはやここまでのようだ」


あ、駄目みたいですね。


「元々死病に侵されていたのだ。最後の奉公のつもりで臨んだ戦いだったが、ディオのような有望な男がこの国にいるのなら、もう私は思い残すことはない・・・」


そう言うバリーさんの顔は本当に晴れやかだった。これから死ぬというのに、全く微塵も未練など無さそうであった。


「私達の後継者たる者がいないのに、時代が変わるからと排除されることに悔しさを感じていた・・・若いだけの無能どもがと若者を見下していた・・・だが、ディオのような逸材が現れたのなら、私は心置きなく消えることができる。最後くらい勇者らしくいられたかな・・・?」

そう言ってバリーさんは震える手で自身が持っていた名剣ブライアントをディオへ差し出した。


「良かったら使ってくれ・・・」


ディオはブライアントを受け取ると、しっかりと頷いた。
それを見届けるとバリーさんは満足げに笑みを浮かべてそのまま帰らぬ人となった。


ディオはバリーさんの手を握ったまま動かず、ウラエヌスさんは僧侶としてバリーさんが昇天できるように祈っていた。忘れていたけど僧侶だったなあの人。

俺は、こういう湿っぽい空気は苦手なので、なんとなく彼らから目を逸らしてうろうろしていた。

だがそのとき俺は、とある石像の台座のところに何やら隠し扉のようなギミックがあるのを発見する。
この発見がこそがこの先の俺の運命の分かれ道であった。
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