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魔王戦

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「グォォォォォォォォォォォォ!!」


扉を開けた瞬間、巨大で禍々しいオーラを持つ怪物が襲い掛かってきた。人型に近いが、人間より遥かに大きく、筋骨隆々といったような感じだ。
どうやら待ち伏せしていたようだ。俺達はすんでのところで魔物の突撃を避けた。


「おぉ、こいつは・・・」


これまで戦ったどの魔物よりも強い・・・それが肌で感じてわかった。


「久しぶりじゃの魔王!」


「えっ?」


ウラエヌスさんが魔物のことを魔王と呼んだ。


「今度も倒す!それが私の使命だ!!」


バリーさんもそう言って剣を構えた。


「えっ、もしかしてこれが魔王なんですか??」


部屋に入ったら突然襲いかかってくるなんて、なんて情緒の無い!
魔王なのになんというか間を読まないというか安っぽいというか・・・
強いのはわかるけど、それ以外はまるっきり普通の魔物みたいでなんだかイメージと違うような。
もっと会話があったり、もったいぶってからの戦いとかそういうのないのかなぁ?なんか幻滅なんだけど・・・


「グォォォォォ!!」


特に言葉も話さないし、知能が低いようにも感じる。えぇ・・・なんだか本当に幻滅なのだが。
だがっ!


「あだばっ」


一瞬で間合いを詰めてきた魔王の腕を振る横なぎの一撃で、俺は壁に叩きつけられてしまった。


「がはっ・・・!」


魔術を使おうにも詠唱ができないほどに、ダメージを受けていた。
程度の低そうな魔物だが、どうやら実力は本物のようだ。本物の魔王だ!なんかイメージと違うけど。


「ちばぁ!」


次はウラエヌスさんが攻撃を受け、同じように壁に叩きつけられていた。ウラエヌスさんも詠唱が出来そうにないようだった。
回復役を潰された?まずい!

今戦えるのはディオとバリーさんだけだった。二人は魔王の繰り出す攻撃をうまく避けたり受けながら、少しずつ剣撃を与えていく。


「ごぉぉぉぉぉ!」


固そうに見える魔王も、流石に一流剣士二人の攻撃を受けて平気ではいられないようだ。だが痛みによる怒りのせいか、手数が多くなりディオ達も攻撃をしのぐのがいっぱいいっぱいになってきた感じだった。


「あっ!」


ついにディオが攻撃により吹き飛ばされる。
これで後はバリーさん一人になってしまった。
俺はまだ詠唱できそうにないし、ウラエヌスさんも同様のようで回復ができない。
あ・・・これ詰んだ・・・
俺はそう覚悟をした。

だが、そうではなかった。
見るとバリーさんは何やら構えを見せていた。


「ディオ、ありがとう。隙を作ってくれて」


バリーさんがそう言う。
どうやらバリーさんの大技を使うために、わざと隙を作るように攻撃を受けたようだった。

バリーさんの体からオーラが溢れ出る。彼は渾身の大技を出そうとしていた。


「これで終わりだ魔王!『デッドレール』!!」
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