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(使命感)

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「ば、バリーさん!?一体何が・・・」


「いや・・・」


心配した俺にバリーさんは首を横に振って、何もないとだけ言った。何も無いわけあるかい!


「お主、病に侵されておるのか」


「・・・」


治療術専門のウラエヌスさんに言われると誤魔化しきれないのか、バリーさんは押し黙った。


「その様子だと、随分と前からあるみたいじゃの」


「・・・・・・」


金がないから治療出来ていなかったんだったりして・・・と思ったが、そういう空気ではないので口は挟まなかった。


「これが、私に出来る最後の冒険・・・そして国への奉公になるだろう」


そういうバリーさんの瞳には決意のようなものが感じられた。
病気でここまで強行突破できるだけの戦闘力があるなんて、つくづく化け物だなと思う。


「さぁ、行こう。魔王の部屋はもうすぐだ」


バリーさんは話は終わりだとばかりにそう言った。確かに病気だからといってこれから戻って入院しましょうなんて流れにはならないだろう。
自分が病魔に侵されていても、それでも勇者として責務を果たそうとしている・・・
凄いなと、ただただ俺はそう思った。俺はそこまでの使命感を持ってこの救出に関わっているわけではない。
なにしろ情けないことに理由をざっくりまとめると「母親に行けと言われたから」だ。

大元はディオに恩を売っておけば今度の生活が安泰であると、そういう理由からだが、重いまでの強烈な使命感で動いているバリーさんら勇者様方が本当に眩しく見える。

あくまで自分のため、利益のため、実際のところ俺はそのためだけに戦っているに過ぎない。そんな俺が魔法を倒すなんて使命を勇者たちとともに果たそうとしているなんて、なんて不思議な縁なのだろうか。


「ここだ。ここが魔王の部屋の扉だ」


そういう考えているうちに、俺達はついに魔王の部屋と思わしきところまでやってきた。
攻略されてしまった20年前と構造が全く同じだなんてここのセキリュティーはどうなってるんだろう。まぁ楽できていいのは確かなんだが。


「あの・・・ところで、この扉開いたら罠ってことはないですよね?」


一応、気になったことだけ口にした。
20年前攻略されたときと同じ構造・・・と思わせて扉を開けたら罠があるとか、俺なら最低でもそれくらいのことはするけどなと。


「何を言っておるレイツォ」


「ウラエヌスさん」


「そんなことあるわけないわい。きっと大丈夫じゃ」


そう言って奇襲()のときと同じく、脳筋ノープランな勇者たちは全く怯むことなく扉を開けた。
やっぱりこの人たちが若い冒険者と合わなかったのはこういうところのせいだと思った。
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