33 / 92
魔王山へ
しおりを挟む
こうしてメンバーの揃った俺達は、ついに魔王山へ向かうことになった。
やっと、やっとだよ。何だか随分時間がかかった気がする。果たして姫様無事なんだろうか・・・
「昔魔王が王妃様を攫ったときはワシらが行くまで無事じゃったぞ。案外大丈夫かもしれん。焦ることはない」
ウラエヌスさんはそう教えてくれたが、今回は何もしないとは限らないのだよな。
にしてもそもそもなんで姫様を魔族は攫ったのか・・・?
そうこうして俺達は魔王山の麓までたどり着いた。
既に日が暮れ、夜行性の魔族の時間と呼ばれる時間となっていた。
「今日は野宿して、朝になってから行きますか」
そう俺が訊ねると、ウラエヌスさんはキョトンとして
「何を言っておる?このまま行くぞ」
と真顔で言った。
「は?」
俺は思わず聞き返してしまった。
魔族は夜行性だ。夜になると活性が高くなり、昼間と比較にならないほど狂暴で闘争心が高くなる。要するに夜に人間が挑むのは何のメリットもないのだ。
「それは素人の考えだ」
バリーさんはチッチッと人差し指を振って言った。
「魔族とて人間が夜を避けて行動するのを知っている。だからこそ、そこに付け入る隙があるのだ」
「何ですって?」
百戦錬磨のバリーさんが言うと説得力がありそうな話が聞けそうだが、一体どういうことだろう。
「奴らは夜は我々人間から攻撃を仕掛けてくるなんてことは全く考えていない。だからこそ、我々の奇襲は成功するのだ」
説得力・・・あるようなないような・・・
何で夜に挑まないかってのは、夜は魔物が活性化するからであって。
「奇襲が成功するかもしれない理屈はわかりましたけど、夜は敵も強くなってますよ。トータルで考えるとどうなんですか?やっぱ昼にしたほうが・・・」
「四の五の言うな!」
ウラエヌスさんが俺を一喝した。
「夜でも魔物は大して強くなってなかったわい。それよりも今は時間が大事じゃ。姫様を早く助け出したいのじゃろ?今すぐ行くぞ!」
この人、前と言ってることが違う。
魔物は大して強くなってない・・・その言葉を信じるしかないのか。経験者だし。
「行くぞっ!!」
バリーさんとウラエヌスさんにつられるように、俺とディオは魔王山へ突入した。
・・・敵はやっぱり活性が上がっていて物凄く強くて狂暴だった。
大して強くなってなかったなんて、規格外に強いこの人達の感覚を信じた俺が馬鹿だった。もしかしたらこの二人が若い冒険者たちと上手くいかなくなったのって、こういうところが原因だったんじゃ・・・
そんなことをひぃひぃ言いながら魔物と戦いながら俺は思った。
やっと、やっとだよ。何だか随分時間がかかった気がする。果たして姫様無事なんだろうか・・・
「昔魔王が王妃様を攫ったときはワシらが行くまで無事じゃったぞ。案外大丈夫かもしれん。焦ることはない」
ウラエヌスさんはそう教えてくれたが、今回は何もしないとは限らないのだよな。
にしてもそもそもなんで姫様を魔族は攫ったのか・・・?
そうこうして俺達は魔王山の麓までたどり着いた。
既に日が暮れ、夜行性の魔族の時間と呼ばれる時間となっていた。
「今日は野宿して、朝になってから行きますか」
そう俺が訊ねると、ウラエヌスさんはキョトンとして
「何を言っておる?このまま行くぞ」
と真顔で言った。
「は?」
俺は思わず聞き返してしまった。
魔族は夜行性だ。夜になると活性が高くなり、昼間と比較にならないほど狂暴で闘争心が高くなる。要するに夜に人間が挑むのは何のメリットもないのだ。
「それは素人の考えだ」
バリーさんはチッチッと人差し指を振って言った。
「魔族とて人間が夜を避けて行動するのを知っている。だからこそ、そこに付け入る隙があるのだ」
「何ですって?」
百戦錬磨のバリーさんが言うと説得力がありそうな話が聞けそうだが、一体どういうことだろう。
「奴らは夜は我々人間から攻撃を仕掛けてくるなんてことは全く考えていない。だからこそ、我々の奇襲は成功するのだ」
説得力・・・あるようなないような・・・
何で夜に挑まないかってのは、夜は魔物が活性化するからであって。
「奇襲が成功するかもしれない理屈はわかりましたけど、夜は敵も強くなってますよ。トータルで考えるとどうなんですか?やっぱ昼にしたほうが・・・」
「四の五の言うな!」
ウラエヌスさんが俺を一喝した。
「夜でも魔物は大して強くなってなかったわい。それよりも今は時間が大事じゃ。姫様を早く助け出したいのじゃろ?今すぐ行くぞ!」
この人、前と言ってることが違う。
魔物は大して強くなってない・・・その言葉を信じるしかないのか。経験者だし。
「行くぞっ!!」
バリーさんとウラエヌスさんにつられるように、俺とディオは魔王山へ突入した。
・・・敵はやっぱり活性が上がっていて物凄く強くて狂暴だった。
大して強くなってなかったなんて、規格外に強いこの人達の感覚を信じた俺が馬鹿だった。もしかしたらこの二人が若い冒険者たちと上手くいかなくなったのって、こういうところが原因だったんじゃ・・・
そんなことをひぃひぃ言いながら魔物と戦いながら俺は思った。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~
一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。
しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。
流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。
その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。
右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。
この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。
数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。
元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。
根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね?
そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。
色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。
……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
(完結)足手まといだと言われパーティーをクビになった補助魔法師だけど、足手まといになった覚えは無い!
ちゃむふー
ファンタジー
今までこのパーティーで上手くやってきたと思っていた。
なのに突然のパーティークビ宣言!!
確かに俺は直接の攻撃タイプでは無い。
補助魔法師だ。
俺のお陰で皆の攻撃力防御力回復力は約3倍にはなっていた筈だ。
足手まといだから今日でパーティーはクビ??
そんな理由認められない!!!
俺がいなくなったら攻撃力も防御力も回復力も3分の1になるからな??
分かってるのか?
俺を追い出した事、絶対後悔するからな!!!
ファンタジー初心者です。
温かい目で見てください(*'▽'*)
一万文字以下の短編の予定です!
側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。
とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」
成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。
「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」
********************************************
ATTENTION
********************************************
*世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。
*いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。
*R-15は保険です。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる