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まだ現役

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「行くぞ!」


バーーンと擬音を轟かせ、俺達四人は並んでビシッとポーズを取った。

これにて魔王討伐のパーティーの結成だ。

剣士×2、魔法使い、僧侶。
剣使いかぶってるな。バランス良いんだか若干悪いんだか微妙な組み合わせな気がしないでもないが、昔魔王を討伐した勇者様達である。きっと頼もしいことだろう。


昔・・・あれ、昔?

20年前に魔王を倒したんだよな・・・
今でも戦えるのだろうか?
ウラエヌスさんは結構いけそうだけど、バリーさんは?大丈夫なんだろうか。
俺がそんな心配をしていたときだった。


「ぐぉぉぉぉぉ!!」


地響きのような雄叫びが聞こえてきたと思ったら、俺達の目の前に白熊が現れた。以前俺達が倒した白熊の三倍はある大きさだった。


「すごく・・・大きいです」


茫然として思わず俺はそう漏らす。


「ははぁ、これはお主たちが倒した白熊の母熊じゃな」


ウラエヌスさんが呑気にそう言った。


「子を探して気が立っておる。怒りもあってかなりの強さじゃろうな」


白熊の殺気は今までに感じたことのないレベルのものだった。腕力も凄そうだし、油断すると一瞬でひき肉にされてしまうだろう。
俺は距離を取って魔法の詠唱を始め、ディオは剣を構える。戦闘準備だ・・・と思ったそのときだった。


シュバッ


目の前にいたバリーさんが突如として姿を消した。
否、一瞬で巨漢の白熊をも超える高さまで跳躍したのだ。
そのまま振りかぶって剣を振るうと、白熊はなんと頭から正面真っ二つになってしまった。

ズゥゥゥゥゥン

真っ二つになった白熊の肉体が地面に倒れると、その重みで雪が激しく舞った。

たったの一振りで、バリーさんは白熊を倒してしまった。これにはいつも冷静なディオも唖然としていた。
剣も凄いが、やはり何よりバリーさん自体が強いことが良くわかった。


「腕は落ちてはおらんようじゃの」


ウラエヌスさんは特に動じた様子はない。
これが彼らの、勇者達の当たり前の戦いだというのか?


「リハビリにはまずまずの相手だった」


何でもないようにバリーさんが言う。
これは・・・どうやら本当に魔王をあっさり倒してしまうかもしれない。
俺は未知なる魔王討伐の道のりに光明が差したのを感じた。
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