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ようやく始まる

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「私たちは間違え、それに気付き立ち止まった。また歩けと言うのか?」

「そうじゃ。わしらは間違えたもん同士だ。だが、そんなわしらでも動かねばならぬほど、今この国は窮地に陥っておる」

バリーさんとウラエヌスさんは見つめあって二人の世界に入って語り合う。


「あっ、ようやく回想から帰ってきたんですね」


ようやく二人の回想が終わって、ついホッとしてそう洩らしてしまった。
まぁ二人に現場に来てもらうほどのことは当初は求めてなかったけど、何だかついてきそうな流れになっている。
この先楽になるならまぁそれでいいかと俺もこの流れに乗ることにした。


「敵は強大です。それに時間が経てば姫の御身も危ういかもしれません。どうか助けていただけると・・・」


二人の空気の邪魔をしないようにしながら、おずおずと俺は申し出た。


「確かに魔王は強力だ。私などの手助けでも必要になるかもしれない」


お、乗ってきた!


「だが、やはり駄目なのだ」


と思ったら違った。ずっこけそうになった。


「私は愛剣のブライアントを手放してしまったのだ。これでは大して力になれないどころか、足を引っ張ってしまうだろう」


借金の肩にしてしまったという名剣のことか。
それを聞いてウラエヌスが手に持ったをバリーさんの目の前に差し出した。


「お主の墓(仮)にあったものじゃ。雪に埋もれておったがの」


大事に布で梱包された長物。布を開くと、美しい長剣が姿を現した。


「こ、これはブライアント!借金の肩に持っていかれたはずなのに、どうして・・・?」


借金の肩に持っていかれたはずの愛剣が、目の前に姿を現したことでバリーさんは驚愕していた。


「借金取りとやらが世間的に死んだお主への手向けとして置いて行ったのではないか?」


「なっ・・・!あの元勇者が!?」


「死んだままならそのまま。だがもし再び蘇り、墓(仮)を処分しようとしたらお主に気付くようにしたのではないかと思う」


「元勇者・・・」


バリーさん、元仲間なのにその人の名前覚えてないんか。

バリーさんはブライアントを手にとって俯いた。


「まだ私に期待を寄せていた者がいるのなら、再び剣を取るべきか・・・」


先ほどまでと違い、バリーさんの目は輝いていた。
そうか。誰か一人でも自分を期待しているのなら、信じていてくれるのなら、この人は頑張れる人なのか。
これが本物の『勇者』というやつなのか。

こうして俺達はいつの間にか伝説の勇者達に同行してもらって姫を助けに向かうことになったのだった。


・・・なんだかよくわからんけど、ここまで行くのに随分時間がかかった気がする。
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