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ルーチェ昔話その4 ~バリー目線~

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魔王討伐から3年が経過した。
は王都から少し離れたところにあった家を買い、ウラエヌスとはパーティを解散して冒険者もやめてそこに住んでいた。毎月国からそこそこの特別年金が支給されるので、冒険者を引退したところで生活には全く困らない。むしろ贅沢が出来るくらいだ。
だが私は楽隠居を決め込むつもりはなかった。『勇者』としての責務があるからだ。

「勇者様、郊外にある畑で魔物が出たのです」

「私に任せなさい」

「勇者様!どうか自分に稽古をつけてください!」

「私のパンチを受けてみろ!」

「勇者様、冒険に出るのですが、ついてきてもらうことはできますか?いろいろ教えてほしくて・・・」

「私で良ければ」


魔王を倒したところで魔族が一斉にいなくなる・・・なんてことはなかった。活動は一気に縮小したが、それでも何もないということはない。私は何度も助けを求められ、それに応じてきた。
王国の騎士団も行動をしているが、それでもやはり実力不足は否めない。私がどうしても出張らなくてはいけない事態もあった。

私は王に「魔王がいない今こそ大規模な魔族征討をするべきでは」と具申した。魔王山に乗り込んで、騎士団で魔族を根絶やしにするべきであると。だが、王は首を縦に振らなかった。万が一にも征討がうまくいかず、騎士団に大きな損害が出てしまったら・・・とリスクを恐れての決断であるというのが表向きの理由だったが、私は何か他に理由があるのではと勘ぐった。

だが、それはどうでもよくなった。それなら自分は自分で出来ることをやって国に貢献すれば良いだけなのだと。
正直王は暗愚だと思ったが、そうした人たちに変わって私のような出来る人間がやるべきことをやればいいのだと。私はそう考えていた。

人は私を頼る。騎士団ではなく私を。
王が暗愚だと騎士団もそれに倣う。だからそれは仕方が無いと思った。

人は私に縋る。冒険者ではなく私を。
はっきりと言えば私やウラエヌスのような例外を除いて、冒険者にはそうそう抜きん出た力を持つ者はいない。出来る冒険者がいても、それは騎士団の連中よりマシであるといった程度である。
私やウラエヌスは特別力を持った存在なのだ。だから魔王を倒し、勇者となることができた。

人は私を崇める。王ではなく私を。
王が暗愚であることは一般人にもわかっているようだった。当然だ。ルーチェに平和をもたらしたのは王ではなく私なのだから。私は政治には縁がないが、それでも人を自分なりに導き、守らねばならない。それは勇者である私にしか出来ないことだ。



こうして、勇者として称えられることで私は慢心し、いつしか他人を見下すようになっていた。
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