371 / 449
ゴブリン その2
しおりを挟む
「あ・・・あああ」
手首が従来からあり得ない角度まで捻じ曲げら得たリーダー格の男は、声にならない声を上げようと口を大きく開いた。
その瞬間
「おおっと」
リーガー格の男が掴みかかったのとは別の小柄の男が、その口を背後から塞ぐ。
そして素早く首に腕を回すと、そのままキュッと鮮やかにリーダー格の男を絞め落としてしまった。
「えっ・・・」
残された二人の神官の男達は、あまりに早い展開に唖然としてしまう。
自分達よりも遥かに小柄で弱く、憂さ晴らしをさせてもらう存在だと思っていた相手に、一瞬にしてリーダー格の男がやられてしまったのだから。
「悪く思うなよ。先に手を出したのはソッチだからよ」
「!?」
残った二人の耳元に、いつの間にか小柄の男達の一人が立って囁いた。
声に反応して二人とも思わず振り向こうとするが、先ほどの同じように素早く首元に腕を回され、そして呆気なく絞め落とされる。
この間、最初にリーダー格の男が絡んでから十数秒。
三人の酔っ払いどもは、自ら絡んだ小柄の男達になすすべもなく返り討ちに遭っていた。それも物音をろくに立てることもなく、実に鮮やかな手腕によってだ。
元より酒場には人が多くは無かったが、他の客は誰一人として荒事があったことに気付いていない。
「・・・人が便所に行ってる間に、何やってんだお前ら?」
そこへやってきたのは、スキンヘッドの男だった。
年齢は30代後半ほどで、小柄の男達と同じような体格だが、右耳に複数にピアスをつけており、首筋にタトゥーが入っている厳つい見た目をしている。
眼光は鋭く、他の小柄の男達に比べて風格があった。
「いやね、ヘッド。こいつらが俺らに絡んできたんスよ。正当防衛っす」
「酒場にいると多いっすよねホント。見た目で判断してすぐ喧嘩売ってくるやつ」
男達の言い分を聞き、ヘッドと呼ばれた男はチラリと気絶した男達を見た後、はぁと小さく溜め息をついた。
「お前らな、これから大仕事だって時に問題起こしてんじゃねぇぞ」
ヘッドの言葉に、男達は肩を窄める。
「けどねヘッド。大仕事前だからこそ、スッキリしておきたくもなるじゃないですか」
「へへっ、男娼もいいが、やっぱイキの良いやつをヤルのが良いんすよ」
ヘッドは呆れ顔で再度溜め息をついてから「目立たねぇようにやれよ」とだけ言い、踵を返した。
「流石ヘッド。話がわかるぜ」
後に残った男達は歓喜しながら、気絶した三人の神官達を運び、街の隅へと消えていく。
それを後ろ目で見ながら
「まさか皇族御用達の特殊部隊が、ゲイで強姦癖があるなんて・・・こんなん知られたら国がひっくり返る大騒ぎだな・・・」
と、ヘッドは頭を振って呟いた。
このヘッドも、小柄の男達も、街のゴロツキではない。帝国ドレークの皇族直属の特殊部隊である。
小柄の男のみで編成される特殊部隊『ゴブリン』は、このヘッドによって統括されているが、皇族の命を受け暗躍する部隊でありながら、隊員の素行がいささか悪いのがネックだった。
だが、その素行の悪さを加味しても、皇族が利用するだけの十分な実力と実績が彼らにはある。
そんな『ゴブリン』達は、ルドルフの命令でシュウ襲撃のためにアンドレアまでやってきていた。
手首が従来からあり得ない角度まで捻じ曲げら得たリーダー格の男は、声にならない声を上げようと口を大きく開いた。
その瞬間
「おおっと」
リーガー格の男が掴みかかったのとは別の小柄の男が、その口を背後から塞ぐ。
そして素早く首に腕を回すと、そのままキュッと鮮やかにリーダー格の男を絞め落としてしまった。
「えっ・・・」
残された二人の神官の男達は、あまりに早い展開に唖然としてしまう。
自分達よりも遥かに小柄で弱く、憂さ晴らしをさせてもらう存在だと思っていた相手に、一瞬にしてリーダー格の男がやられてしまったのだから。
「悪く思うなよ。先に手を出したのはソッチだからよ」
「!?」
残った二人の耳元に、いつの間にか小柄の男達の一人が立って囁いた。
声に反応して二人とも思わず振り向こうとするが、先ほどの同じように素早く首元に腕を回され、そして呆気なく絞め落とされる。
この間、最初にリーダー格の男が絡んでから十数秒。
三人の酔っ払いどもは、自ら絡んだ小柄の男達になすすべもなく返り討ちに遭っていた。それも物音をろくに立てることもなく、実に鮮やかな手腕によってだ。
元より酒場には人が多くは無かったが、他の客は誰一人として荒事があったことに気付いていない。
「・・・人が便所に行ってる間に、何やってんだお前ら?」
そこへやってきたのは、スキンヘッドの男だった。
年齢は30代後半ほどで、小柄の男達と同じような体格だが、右耳に複数にピアスをつけており、首筋にタトゥーが入っている厳つい見た目をしている。
眼光は鋭く、他の小柄の男達に比べて風格があった。
「いやね、ヘッド。こいつらが俺らに絡んできたんスよ。正当防衛っす」
「酒場にいると多いっすよねホント。見た目で判断してすぐ喧嘩売ってくるやつ」
男達の言い分を聞き、ヘッドと呼ばれた男はチラリと気絶した男達を見た後、はぁと小さく溜め息をついた。
「お前らな、これから大仕事だって時に問題起こしてんじゃねぇぞ」
ヘッドの言葉に、男達は肩を窄める。
「けどねヘッド。大仕事前だからこそ、スッキリしておきたくもなるじゃないですか」
「へへっ、男娼もいいが、やっぱイキの良いやつをヤルのが良いんすよ」
ヘッドは呆れ顔で再度溜め息をついてから「目立たねぇようにやれよ」とだけ言い、踵を返した。
「流石ヘッド。話がわかるぜ」
後に残った男達は歓喜しながら、気絶した三人の神官達を運び、街の隅へと消えていく。
それを後ろ目で見ながら
「まさか皇族御用達の特殊部隊が、ゲイで強姦癖があるなんて・・・こんなん知られたら国がひっくり返る大騒ぎだな・・・」
と、ヘッドは頭を振って呟いた。
このヘッドも、小柄の男達も、街のゴロツキではない。帝国ドレークの皇族直属の特殊部隊である。
小柄の男のみで編成される特殊部隊『ゴブリン』は、このヘッドによって統括されているが、皇族の命を受け暗躍する部隊でありながら、隊員の素行がいささか悪いのがネックだった。
だが、その素行の悪さを加味しても、皇族が利用するだけの十分な実力と実績が彼らにはある。
そんな『ゴブリン』達は、ルドルフの命令でシュウ襲撃のためにアンドレアまでやってきていた。
10
お気に入りに追加
201
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
催眠アプリで恋人を寝取られて「労働奴隷」にされたけど、仕事の才能が開花したことで成り上がり、人生逆転しました
フーラー
ファンタジー
「催眠アプリで女性を寝取り、ハーレムを形成するクソ野郎」が
ざまぁ展開に陥る、異色の異世界ファンタジー。
舞台は異世界。
売れないイラストレーターをやっている獣人の男性「イグニス」はある日、
チートスキル「催眠アプリ」を持つ異世界転移者「リマ」に恋人を寝取られる。
もともとイグニスは収入が少なく、ほぼ恋人に養ってもらっていたヒモ状態だったのだが、
リマに「これからはボクらを養うための労働奴隷になれ」と催眠をかけられ、
彼らを養うために働くことになる。
しかし、今のイグニスの収入を差し出してもらっても、生活が出来ないと感じたリマは、
イグニスに「仕事が楽しくてたまらなくなる」ように催眠をかける。
これによってイグニスは仕事にまじめに取り組むようになる。
そして努力を重ねたことでイラストレーターとしての才能が開花、
大劇団のパンフレット作製など、大きな仕事が舞い込むようになっていく。
更にリマはほかの男からも催眠で妻や片思いの相手を寝取っていくが、
その「寝取られ男」達も皆、その時にかけられた催眠が良い方に作用する。
これによって彼ら「寝取られ男」達は、
・ゲーム会社を立ち上げる
・シナリオライターになる
・営業で大きな成績を上げる
など次々に大成功を収めていき、その中で精神的にも大きな成長を遂げていく。
リマは、そんな『労働奴隷』達の成長を目の当たりにする一方で、
自身は自堕落に生活し、なにも人間的に成長できていないことに焦りを感じるようになる。
そして、ついにリマは嫉妬と焦りによって、
「ボクをお前の会社の社長にしろ」
と『労働奴隷』に催眠をかけて社長に就任する。
そして「現代のゲームに関する知識」を活かしてゲーム業界での無双を試みるが、
その浅はかな考えが、本格的な破滅の引き金となっていく。
小説家になろう・カクヨムでも掲載しています!
性欲排泄欲処理系メイド 〜三大欲求、全部満たします〜
mm
ファンタジー
私はメイドのさおり。今日からある男性のメイドをすることになったんだけど…業務内容は「全般のお世話」。トイレもお風呂も、性欲も!?
※スカトロ表現多数あり
※作者が描きたいことを書いてるだけなので同じような内容が続くことがあります
3年振りに帰ってきた地元で幼馴染が女の子とエッチしていた
ねんごろ
恋愛
3年ぶりに帰ってきた地元は、何かが違っていた。
俺が変わったのか……
地元が変わったのか……
主人公は倒錯した日常を過ごすことになる。
※他Web小説サイトで連載していた作品です
【R18】僕の筆おろし日記(高校生の僕は親友の家で彼の母親と倫ならぬ禁断の行為を…初体験の相手は美しい人妻だった)
幻田恋人
恋愛
夏休みも終盤に入って、僕は親友の家で一緒に宿題をする事になった。
でも、その家には僕が以前から大人の女性として憧れていた親友の母親で、とても魅力的な人妻の小百合がいた。
親友のいない家の中で僕と小百合の二人だけの時間が始まる。
童貞の僕は小百合の美しさに圧倒され、次第に彼女との濃厚な大人の関係に陥っていく。
許されるはずのない、男子高校生の僕と親友の母親との倫を外れた禁断の愛欲の行為が親友の家で展開されていく…
僕はもう我慢の限界を超えてしまった… 早く小百合さんの中に…
幼馴染の彼女と妹が寝取られて、死刑になる話
島風
ファンタジー
幼馴染が俺を裏切った。そして、妹も......固い絆で結ばれていた筈の俺はほんの僅かの間に邪魔な存在になったらしい。だから、奴隷として売られた。幸い、命があったが、彼女達と俺では身分が違うらしい。
俺は二人を忘れて生きる事にした。そして細々と新しい生活を始める。だが、二人を寝とった勇者エリアスと裏切り者の幼馴染と妹は俺の前に再び現れた。
女を肉便器にするのに飽きた男、若返って生意気な女達を落とす悦びを求める【R18】
m t
ファンタジー
どんなに良い女でも肉便器にするとオナホと変わらない。
その真実に気付いた俺は若返って、生意気な女達を食い散らす事にする
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる