347 / 449
監視する者 その3
しおりを挟む
シュウが魔物じじいの家を訪ねてからしばらくすると、魔物じじいとフローラが二人で外出したのをグレース隊は確認した。魔物じじいの買い出しの時である。
「シュウは出てきていませんね・・・どうされますか?」
グレース隊の任務はシュウの監視であり、フローラは監視対象に含まれていない。
だから放っておいても良かったのだが、シュウが魔物じじいを訪ねた正確な目的が把握できていなかったグレースは、シュウの監視とは別に数人ほどフローラ達にも監視をつけることにした。
監視していれば何か情報を拾えるかもしれないと思ったからである。
数時間かして、グレースの元にフローラ達の監視につけた隊員が戻って来た。
「なんか酒場で暴れてましたよ」
「凄いことになってましたぜ」
魔物じじいのぼったくり酒場での大暴れの話を聞き、グレースは唖然とするが、それ以上に衝撃を受けたのはその後の言葉だった。
「魔物じじいの方は、こちらの監視に気付いていたようですぜ。元聖女のほうは全然でしたけど」
「ほお、流石その身一つで魔物の研究のために危険を冒すと言われた男・・・」
グレース隊の気配を殺すスキルは、野生動物のそれに近いレベルである。だからこれまでもシュウ達にグレース達が監視していることを悟られることはなかった。
だが、そんなグレース隊の尾行に魔物じじいは気付いた。これにはグレースも感心せざるを得ない。
「・・・って、感心してる場合じゃないな。我々の存在が向こうに知られたとなれば、任務の続行が不可能になる・・・!」
1テンポ置いて、グレースはちょっとまずい事になったことに気が付いた。
魔物じじいがグレース達に気付いたということは、シュウ達にも知られるということだ。そうなれば、シュウ達に知られずして監視するという任務が果たせなくなってしまう。
焦りを見せるグレースに、隊員は更に続けた。
「それともう一つ。我々以外に監視しているやつがいるようで」
「・・・なにぃ?」
「向こうもまた我々に気付いてます。・・・どうします?」
グレースの悩みの種が増えた。
監視対象がバッティングするなど、まるで想定外だったからだ。
「それも二組いますぜ。モテモテですなぁシュウは」
「二組!?」
片方はクローザの配下、もう片方はまた別の組織がシュウ達の動向を嗅ぎまわっていた。これに更にグレース達が加わり、シュウは今、三つの組織からその身を監視されていることになる。
「い、一体何が・・・」
アンドレアに来てから、自分の知らないところで何やら一気にわけのわからない事が進んでいる・・・
グレースは何かとんでもないことに首を突っ込んでしまったのではないかと、冷や汗をかいた。
「シュウは出てきていませんね・・・どうされますか?」
グレース隊の任務はシュウの監視であり、フローラは監視対象に含まれていない。
だから放っておいても良かったのだが、シュウが魔物じじいを訪ねた正確な目的が把握できていなかったグレースは、シュウの監視とは別に数人ほどフローラ達にも監視をつけることにした。
監視していれば何か情報を拾えるかもしれないと思ったからである。
数時間かして、グレースの元にフローラ達の監視につけた隊員が戻って来た。
「なんか酒場で暴れてましたよ」
「凄いことになってましたぜ」
魔物じじいのぼったくり酒場での大暴れの話を聞き、グレースは唖然とするが、それ以上に衝撃を受けたのはその後の言葉だった。
「魔物じじいの方は、こちらの監視に気付いていたようですぜ。元聖女のほうは全然でしたけど」
「ほお、流石その身一つで魔物の研究のために危険を冒すと言われた男・・・」
グレース隊の気配を殺すスキルは、野生動物のそれに近いレベルである。だからこれまでもシュウ達にグレース達が監視していることを悟られることはなかった。
だが、そんなグレース隊の尾行に魔物じじいは気付いた。これにはグレースも感心せざるを得ない。
「・・・って、感心してる場合じゃないな。我々の存在が向こうに知られたとなれば、任務の続行が不可能になる・・・!」
1テンポ置いて、グレースはちょっとまずい事になったことに気が付いた。
魔物じじいがグレース達に気付いたということは、シュウ達にも知られるということだ。そうなれば、シュウ達に知られずして監視するという任務が果たせなくなってしまう。
焦りを見せるグレースに、隊員は更に続けた。
「それともう一つ。我々以外に監視しているやつがいるようで」
「・・・なにぃ?」
「向こうもまた我々に気付いてます。・・・どうします?」
グレースの悩みの種が増えた。
監視対象がバッティングするなど、まるで想定外だったからだ。
「それも二組いますぜ。モテモテですなぁシュウは」
「二組!?」
片方はクローザの配下、もう片方はまた別の組織がシュウ達の動向を嗅ぎまわっていた。これに更にグレース達が加わり、シュウは今、三つの組織からその身を監視されていることになる。
「い、一体何が・・・」
アンドレアに来てから、自分の知らないところで何やら一気にわけのわからない事が進んでいる・・・
グレースは何かとんでもないことに首を突っ込んでしまったのではないかと、冷や汗をかいた。
10
お気に入りに追加
201
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
催眠アプリで恋人を寝取られて「労働奴隷」にされたけど、仕事の才能が開花したことで成り上がり、人生逆転しました
フーラー
ファンタジー
「催眠アプリで女性を寝取り、ハーレムを形成するクソ野郎」が
ざまぁ展開に陥る、異色の異世界ファンタジー。
舞台は異世界。
売れないイラストレーターをやっている獣人の男性「イグニス」はある日、
チートスキル「催眠アプリ」を持つ異世界転移者「リマ」に恋人を寝取られる。
もともとイグニスは収入が少なく、ほぼ恋人に養ってもらっていたヒモ状態だったのだが、
リマに「これからはボクらを養うための労働奴隷になれ」と催眠をかけられ、
彼らを養うために働くことになる。
しかし、今のイグニスの収入を差し出してもらっても、生活が出来ないと感じたリマは、
イグニスに「仕事が楽しくてたまらなくなる」ように催眠をかける。
これによってイグニスは仕事にまじめに取り組むようになる。
そして努力を重ねたことでイラストレーターとしての才能が開花、
大劇団のパンフレット作製など、大きな仕事が舞い込むようになっていく。
更にリマはほかの男からも催眠で妻や片思いの相手を寝取っていくが、
その「寝取られ男」達も皆、その時にかけられた催眠が良い方に作用する。
これによって彼ら「寝取られ男」達は、
・ゲーム会社を立ち上げる
・シナリオライターになる
・営業で大きな成績を上げる
など次々に大成功を収めていき、その中で精神的にも大きな成長を遂げていく。
リマは、そんな『労働奴隷』達の成長を目の当たりにする一方で、
自身は自堕落に生活し、なにも人間的に成長できていないことに焦りを感じるようになる。
そして、ついにリマは嫉妬と焦りによって、
「ボクをお前の会社の社長にしろ」
と『労働奴隷』に催眠をかけて社長に就任する。
そして「現代のゲームに関する知識」を活かしてゲーム業界での無双を試みるが、
その浅はかな考えが、本格的な破滅の引き金となっていく。
小説家になろう・カクヨムでも掲載しています!
性欲排泄欲処理系メイド 〜三大欲求、全部満たします〜
mm
ファンタジー
私はメイドのさおり。今日からある男性のメイドをすることになったんだけど…業務内容は「全般のお世話」。トイレもお風呂も、性欲も!?
※スカトロ表現多数あり
※作者が描きたいことを書いてるだけなので同じような内容が続くことがあります
3年振りに帰ってきた地元で幼馴染が女の子とエッチしていた
ねんごろ
恋愛
3年ぶりに帰ってきた地元は、何かが違っていた。
俺が変わったのか……
地元が変わったのか……
主人公は倒錯した日常を過ごすことになる。
※他Web小説サイトで連載していた作品です
【R18】僕の筆おろし日記(高校生の僕は親友の家で彼の母親と倫ならぬ禁断の行為を…初体験の相手は美しい人妻だった)
幻田恋人
恋愛
夏休みも終盤に入って、僕は親友の家で一緒に宿題をする事になった。
でも、その家には僕が以前から大人の女性として憧れていた親友の母親で、とても魅力的な人妻の小百合がいた。
親友のいない家の中で僕と小百合の二人だけの時間が始まる。
童貞の僕は小百合の美しさに圧倒され、次第に彼女との濃厚な大人の関係に陥っていく。
許されるはずのない、男子高校生の僕と親友の母親との倫を外れた禁断の愛欲の行為が親友の家で展開されていく…
僕はもう我慢の限界を超えてしまった… 早く小百合さんの中に…
幼馴染の彼女と妹が寝取られて、死刑になる話
島風
ファンタジー
幼馴染が俺を裏切った。そして、妹も......固い絆で結ばれていた筈の俺はほんの僅かの間に邪魔な存在になったらしい。だから、奴隷として売られた。幸い、命があったが、彼女達と俺では身分が違うらしい。
俺は二人を忘れて生きる事にした。そして細々と新しい生活を始める。だが、二人を寝とった勇者エリアスと裏切り者の幼馴染と妹は俺の前に再び現れた。
女を肉便器にするのに飽きた男、若返って生意気な女達を落とす悦びを求める【R18】
m t
ファンタジー
どんなに良い女でも肉便器にするとオナホと変わらない。
その真実に気付いた俺は若返って、生意気な女達を食い散らす事にする
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる