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監視する者 その3

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シュウが魔物じじいの家を訪ねてからしばらくすると、魔物じじいとフローラが二人で外出したのをグレース隊は確認した。魔物じじいの買い出しの時である。


「シュウは出てきていませんね・・・どうされますか?」


グレース隊の任務はシュウの監視であり、フローラは監視対象に含まれていない。
だから放っておいても良かったのだが、シュウが魔物じじいを訪ねた正確な目的が把握できていなかったグレースは、シュウの監視とは別に数人ほどフローラ達にも監視をつけることにした。
監視していれば何か情報を拾えるかもしれないと思ったからである。


数時間かして、グレースの元にフローラ達の監視につけた隊員が戻って来た。


「なんか酒場で暴れてましたよ」


「凄いことになってましたぜ」


魔物じじいのぼったくり酒場での大暴れの話を聞き、グレースは唖然とするが、それ以上に衝撃を受けたのはその後の言葉だった。


「魔物じじいの方は、こちらの監視に気付いていたようですぜ。元聖女のほうは全然でしたけど」


「ほお、流石その身一つで魔物の研究のために危険を冒すと言われた男・・・」


グレース隊の気配を殺すスキルは、野生動物のそれに近いレベルである。だからこれまでもシュウ達にグレース達が監視していることを悟られることはなかった。
だが、そんなグレース隊の尾行に魔物じじいは気付いた。これにはグレースも感心せざるを得ない。


「・・・って、感心してる場合じゃないな。我々の存在が向こうに知られたとなれば、任務の続行が不可能になる・・・!」


1テンポ置いて、グレースはちょっとまずい事になったことに気が付いた。
魔物じじいがグレース達に気付いたということは、シュウ達にも知られるということだ。そうなれば、シュウ達に知られずして監視するという任務が果たせなくなってしまう。
焦りを見せるグレースに、隊員は更に続けた。


「それともう一つ。我々以外に監視しているやつがいるようで」


「・・・なにぃ?」


「向こうもまた我々に気付いてます。・・・どうします?」


グレースの悩みの種が増えた。
監視対象がバッティングするなど、まるで想定外だったからだ。


「それも二組いますぜ。モテモテですなぁシュウは」


「二組!?」


片方はクローザの配下、もう片方はまた別の組織がシュウ達の動向を嗅ぎまわっていた。これに更にグレース達が加わり、シュウは今、三つの組織からその身を監視されていることになる。


「い、一体何が・・・」


アンドレアに来てから、自分の知らないところで何やら一気にわけのわからない事が進んでいる・・・
グレースは何かとんでもないことに首を突っ込んでしまったのではないかと、冷や汗をかいた。
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