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監視する者
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シュウとフローラが魔物じじいのところで世話になることは、アンドレアの支配者の一人であるマダム・クローザの耳にも入った。
・・・と言うより、シュウ達の動向は配下を使って事細かにチェックさせていた。
「あぁ、魔物じじいのところへ行ったのシュウ。残念・・・私に会いに来たわけじゃないんだ」
報告を聞き、残念と言いつつも、口元に笑みを浮かべるクローザ。
「で、どうしてシュウは魔物じじいの所へ行ったのかしら?それはわかる?」
「残念ながら」
クローザの質問に、側近の男は首を振る。
「ま、仕方ないわね。あそこのセキリュティーは半端ないから」
クローザは溜め息をつきながら、報告書に目を通す。
「相変わらずねぇ魔物じじいは。またぼったくり店を一つ潰したの?この町の浄化をしてくれるのはいいけど、無茶するんだから・・・あら?」
報告書を見ていたクローザが、ふと眉を顰める。
「シュウと同行していた少女と一緒に飲みに行っていた・・・の?珍しいわね・・・あのじいさん。滅多なことじゃ他人と飲みになんて行かないのに」
「報告によると、移動中もそこそこに会話をしていたそうです」
「嘘でしょ・・・?」
側近の言葉に、クローザはこめかみを手で押さえた。
彼女の知る魔物じじいは、非常に偏屈で簡単に他人を信用せず、大概の人間は満足に会話も成立しない。それが報告によれば、シュウと同行していた少女・・・フローラとまずまず打ち解けた様子で会話をしていたという。クローザにしてみれば超がつくほどの驚愕のニュースであった。
「フローラ・・・か。帝都からシュウと駆け落ち中と言われている元聖女ね・・・シュウとのことを別にしても、ちょっと興味が湧いてきたわね」
クローザはシュウが町に来ていることを知ってから、即座に彼らの近況については調べをつけていた。フローラの正体についても既に知っている状態である。
「監視を続けますか?」
「もちろん。むしろ人を増やして頂戴。彼女のこと、いろいろ知りたいわぁ。それとシュウ達近辺で動きがあればどんなことであれ、報告すること」
「そのことですが、我々以外にもシュウ達を監視している者がいます」
「あら?誰かしら」
「まずは余所から来た正体不明の集団です。諜報に慣れているようで、動きも素人のそれではありません」
側近が言っているのは、グレース隊のことであった。
グレース隊はアンドレアに入ったシュウ達の監視を続けているが、同じく監視しているクローザの配下達とバッティングする形になっている。
「まぁシュウ達は今追われてる身みたいだしね。追手の類かもしれないわね。そちらは今は放っておきなさい」
「・・・もう一つは、教会の連中です。教会の影がシュウ達の監視をしている模様です」
「あら・・・?」
側近の言葉に、クローザは表情を強張らせる。
それまでどんな報告を聞いてもどこか余裕のある振る舞いであったが、教会の名が出た瞬間にクローザから余裕は消え、ピリッと空気が固まった。
「それ、ちょっと注意して見ておきなさい。いざというときのために、戦闘要員も監視メンバーに加えること。すぐにお願い。いいわね?」
「はっ。ただちにそのように伝えます」
側近はそう言って、早足に部屋を後にする。
残ったクローザは、爪を噛みながら忌々し気に呟いた。
「ちっ、あの豚が・・・」
・・・と言うより、シュウ達の動向は配下を使って事細かにチェックさせていた。
「あぁ、魔物じじいのところへ行ったのシュウ。残念・・・私に会いに来たわけじゃないんだ」
報告を聞き、残念と言いつつも、口元に笑みを浮かべるクローザ。
「で、どうしてシュウは魔物じじいの所へ行ったのかしら?それはわかる?」
「残念ながら」
クローザの質問に、側近の男は首を振る。
「ま、仕方ないわね。あそこのセキリュティーは半端ないから」
クローザは溜め息をつきながら、報告書に目を通す。
「相変わらずねぇ魔物じじいは。またぼったくり店を一つ潰したの?この町の浄化をしてくれるのはいいけど、無茶するんだから・・・あら?」
報告書を見ていたクローザが、ふと眉を顰める。
「シュウと同行していた少女と一緒に飲みに行っていた・・・の?珍しいわね・・・あのじいさん。滅多なことじゃ他人と飲みになんて行かないのに」
「報告によると、移動中もそこそこに会話をしていたそうです」
「嘘でしょ・・・?」
側近の言葉に、クローザはこめかみを手で押さえた。
彼女の知る魔物じじいは、非常に偏屈で簡単に他人を信用せず、大概の人間は満足に会話も成立しない。それが報告によれば、シュウと同行していた少女・・・フローラとまずまず打ち解けた様子で会話をしていたという。クローザにしてみれば超がつくほどの驚愕のニュースであった。
「フローラ・・・か。帝都からシュウと駆け落ち中と言われている元聖女ね・・・シュウとのことを別にしても、ちょっと興味が湧いてきたわね」
クローザはシュウが町に来ていることを知ってから、即座に彼らの近況については調べをつけていた。フローラの正体についても既に知っている状態である。
「監視を続けますか?」
「もちろん。むしろ人を増やして頂戴。彼女のこと、いろいろ知りたいわぁ。それとシュウ達近辺で動きがあればどんなことであれ、報告すること」
「そのことですが、我々以外にもシュウ達を監視している者がいます」
「あら?誰かしら」
「まずは余所から来た正体不明の集団です。諜報に慣れているようで、動きも素人のそれではありません」
側近が言っているのは、グレース隊のことであった。
グレース隊はアンドレアに入ったシュウ達の監視を続けているが、同じく監視しているクローザの配下達とバッティングする形になっている。
「まぁシュウ達は今追われてる身みたいだしね。追手の類かもしれないわね。そちらは今は放っておきなさい」
「・・・もう一つは、教会の連中です。教会の影がシュウ達の監視をしている模様です」
「あら・・・?」
側近の言葉に、クローザは表情を強張らせる。
それまでどんな報告を聞いてもどこか余裕のある振る舞いであったが、教会の名が出た瞬間にクローザから余裕は消え、ピリッと空気が固まった。
「それ、ちょっと注意して見ておきなさい。いざというときのために、戦闘要員も監視メンバーに加えること。すぐにお願い。いいわね?」
「はっ。ただちにそのように伝えます」
側近はそう言って、早足に部屋を後にする。
残ったクローザは、爪を噛みながら忌々し気に呟いた。
「ちっ、あの豚が・・・」
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