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臆病者サーラ その15
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「言い忘れてたが、俺はB級からA級に上がろうとしているパーティーの前衛・・・そしてエースだ。そんな俺と本当にやりあってみるか?」
シュウと対峙する剣士は、それまで苛立たし気に会話していたのがまるで嘘のように、抑揚のない声でそう問いかけた。
これは酒に酔い、つい頭に血が上っていたのを落ち着けるためにそうしているのもあるが、シュウに対する脅しの意味合いもあった。
「言っておくが、街中だからって俺が揉めた相手に何もしないなんて思わないほうがいいぜ。ギルドの憶えもいいんで、ある程度揉め事起こしたくらいならお咎めなんて無しなのさ。実際それで何人も逆らって来たやつを潰してきたしな」
剣士の言う言葉はハッタリではなく、事実だった。
そんな剣士が威圧すると、並の冒険者なら戦意喪失し、言うがままになるはずであるが、シュウにはそれが通じない。
シュウとてライルとともに修羅場を経験しているし、目の前の剣士以上に恐ろしい敵と何度も死闘を繰り広げたことがあった。
今更いち冒険者の威圧などにビビるようなシュウではないのだ。
「サーラさんから手を引けば、私とて何もするつもりはありません・・・ですが、そうでないのなら少しばかり痛い目にあっていただくしかないでしょう」
微塵もビビらず、真っすぐに剣士を見つめながらそう言うシュウ。
剣士と魔法使いは、威圧をものともせず言い返して来たシュウに一瞬気圧されるが、すぐに怒りで眉を顰めさせる。
「お前・・・本当に神官か?言っておくか、神官だからって、俺は容赦しねぇぜ?」
剣士がずいっと前に出る。
「異教徒と化け物とムカツク相手には、暴力を振るっても良いと教わっているもので」
シュウも一歩前に出る。
「いや、この男・・・本当に神官?本当の本当に?」
神官にしてはいやに好戦的なシュウに、魔法使いが怪訝な顔をする。
身分を盾に争いごとを避けようとする神官はいくらでもいるが、シュウほど好戦的な神官は初めてみたので無理もなかった。
実際、帝都中を探してもシュウのようなタイプの神官はそうそういないだろう。
「あ、あの・・・シュウさん・・・この人は、本当に強い人なので・・・」
一触即発の空気に、ハッと我にかえってサーラはおろおろした。
そして剣士が実際に以前同じパーティーにいたときからこそ、かなりの実力者であることも知っている。だからシュウと喧嘩をさせてはいけないと思い、サーラは止めようとしたのだが・・・
しかし、シュウはそんなサーラに向けてニコリと笑って言った。
「すみません、私も仲間を侮辱されいささか腹につもるものがありまして。相手方も退くつもりはないようですし、いい機会ですので発散させていただこうかと思います。そこまで大した相手ではなさそうですから、危険もないでしょうし」
「・・・あ?」
露骨にシュウに侮られ、剣士は顔を真っ赤にさせる。
怒りが一気にゲージを振り切り、即座に行動に移っていた。
ヘラヘラ笑っている(ように見える)シュウの顔を潰してやろうと、鉄塊すら砕く拳をシュウの顔面に叩き込もうとする。
まともに当たれば運が良くて顔の形が変わる大怪我、悪ければ死ぬ攻撃だった。
が・・・
「い、いでぇぇぇ!?」
シュウに殴りかかったはずの剣士は、いつの間にか腕を捕られて床に伏せられ、無力化されていた。
「・・・え?」
殴りかかって来た剣士の腕を捕り、関節技を決めて無力化する。
シュウが剣士をねじ伏せたのは、完成された芸術のような、美しい流れる動きだった。
剣の技術だけならそれなりだと自負していたサーラでも、思わず見惚れてしまうような完成された『武』を見せられ、彼女の心臓は激しく鼓動する。
『嗚呼、やはりそうだ。この人は私の運命の人だ』
サーラが今、燃え盛るような激しい恋に落ちたことなど当のシュウは気付くはずもない。
シュウと対峙する剣士は、それまで苛立たし気に会話していたのがまるで嘘のように、抑揚のない声でそう問いかけた。
これは酒に酔い、つい頭に血が上っていたのを落ち着けるためにそうしているのもあるが、シュウに対する脅しの意味合いもあった。
「言っておくが、街中だからって俺が揉めた相手に何もしないなんて思わないほうがいいぜ。ギルドの憶えもいいんで、ある程度揉め事起こしたくらいならお咎めなんて無しなのさ。実際それで何人も逆らって来たやつを潰してきたしな」
剣士の言う言葉はハッタリではなく、事実だった。
そんな剣士が威圧すると、並の冒険者なら戦意喪失し、言うがままになるはずであるが、シュウにはそれが通じない。
シュウとてライルとともに修羅場を経験しているし、目の前の剣士以上に恐ろしい敵と何度も死闘を繰り広げたことがあった。
今更いち冒険者の威圧などにビビるようなシュウではないのだ。
「サーラさんから手を引けば、私とて何もするつもりはありません・・・ですが、そうでないのなら少しばかり痛い目にあっていただくしかないでしょう」
微塵もビビらず、真っすぐに剣士を見つめながらそう言うシュウ。
剣士と魔法使いは、威圧をものともせず言い返して来たシュウに一瞬気圧されるが、すぐに怒りで眉を顰めさせる。
「お前・・・本当に神官か?言っておくか、神官だからって、俺は容赦しねぇぜ?」
剣士がずいっと前に出る。
「異教徒と化け物とムカツク相手には、暴力を振るっても良いと教わっているもので」
シュウも一歩前に出る。
「いや、この男・・・本当に神官?本当の本当に?」
神官にしてはいやに好戦的なシュウに、魔法使いが怪訝な顔をする。
身分を盾に争いごとを避けようとする神官はいくらでもいるが、シュウほど好戦的な神官は初めてみたので無理もなかった。
実際、帝都中を探してもシュウのようなタイプの神官はそうそういないだろう。
「あ、あの・・・シュウさん・・・この人は、本当に強い人なので・・・」
一触即発の空気に、ハッと我にかえってサーラはおろおろした。
そして剣士が実際に以前同じパーティーにいたときからこそ、かなりの実力者であることも知っている。だからシュウと喧嘩をさせてはいけないと思い、サーラは止めようとしたのだが・・・
しかし、シュウはそんなサーラに向けてニコリと笑って言った。
「すみません、私も仲間を侮辱されいささか腹につもるものがありまして。相手方も退くつもりはないようですし、いい機会ですので発散させていただこうかと思います。そこまで大した相手ではなさそうですから、危険もないでしょうし」
「・・・あ?」
露骨にシュウに侮られ、剣士は顔を真っ赤にさせる。
怒りが一気にゲージを振り切り、即座に行動に移っていた。
ヘラヘラ笑っている(ように見える)シュウの顔を潰してやろうと、鉄塊すら砕く拳をシュウの顔面に叩き込もうとする。
まともに当たれば運が良くて顔の形が変わる大怪我、悪ければ死ぬ攻撃だった。
が・・・
「い、いでぇぇぇ!?」
シュウに殴りかかったはずの剣士は、いつの間にか腕を捕られて床に伏せられ、無力化されていた。
「・・・え?」
殴りかかって来た剣士の腕を捕り、関節技を決めて無力化する。
シュウが剣士をねじ伏せたのは、完成された芸術のような、美しい流れる動きだった。
剣の技術だけならそれなりだと自負していたサーラでも、思わず見惚れてしまうような完成された『武』を見せられ、彼女の心臓は激しく鼓動する。
『嗚呼、やはりそうだ。この人は私の運命の人だ』
サーラが今、燃え盛るような激しい恋に落ちたことなど当のシュウは気付くはずもない。
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