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臆病者サーラ その5
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サーラが入団してから一週間ほど、『光の戦士達』はスケジュールの関係で帝都で滞在し続けていた。だからまだサーラはこの新しいパーティーでの冒険はしていない。
その間は、サーラは今度こそ実戦で役に立てるようにと、自由時間の時には必死で剣の鍛錬に明け暮れていた。
役立たずだとシュウに落胆されたくなかったし、そうでなくても『光の戦士達』を追放されることになれば、シュウと会うことは叶わなくなるからだ。
これまでもサーラはせっかく加入させてくれたパーティーから追放されないために頑張っては来たが、このときの入れ込み様はそれらの比ではないほどのものだった。
「ふっ!」
これ以上に無いほどの集中力でサーラは鍛錬に臨む。
何時間も一心不乱に剣を振るい続け、仮想敵を何千何百と斬り伏せる。
一振りするたびに剣風が巻き起こり、気が付いたときには周囲は嵐が吹き荒れたかのような惨状になっていることもしばしばだ。
しかし、ただ激しいだけではない。
サーラが剣を振るう様は非常に美しい。
重心のブレがなく、『斬る』ために必要最低限の無駄のない動き。
研ぎ澄まされた剣術は、むしろまるで演舞のように見る者を魅了する。
『光の戦士達』の仲間であるライルとシュウは、サーラのその鍛錬風景に目を向けていた。
「凄いね」
「ええ」
感嘆の声を上げる二人だが、二人とも見ているものは同じでも、思うところは微妙に違っている。
(なんという胸の揺れ。凄い)
ライルが見ているのはサーラの剣ではなく、素振りによって揺れ動くサーラの豊満な胸である。当然、賛美の言葉も胸に対してである。
それはライルがサーラのことを戦力よりも、むしろハーレムの対象として見ているせいである。剣技は確かに素晴らしいと思うが、ライルはそもそもサーラが『剣神』と呼ばれていたのが勧誘した理由の一つであって、彼女が戦力として十二分に通用するのは当たり前のことであり、特別に評価することではないと考えていた。ある意味で大物である。
ライルが邪な目を向けている横で、シュウはサーラのその剣術に注視していた。
武を嗜む者として、サーラの完成された芸術品のような剣は見ていて惚れ惚れするし参考になった。
軸の動きから何から、どうにか自分の体術に転用できないかと模索する。
(素晴らしい。どうにかあの動きを取り入れたいものだが・・・)
必死に・・・そう、必死にそう真面目に考えるようにしていた。
(しかし本当に素晴らしい。あの素晴らしい揺れ・・・じゃなくて!)
シュウも男である。それも情欲の強い男である。ライルと同じように、どうしてもサーラの豊満な胸の動きには目がいっていた。
だが、レウス司教の言いつけによりパーティー内で男女関係で邪なトラブルを起こすことは絶対に許されない。
だから必死でシュウはそちらの方へは気を向けず、純粋に剣技そのものについて考えていたのだ。
しかし、どうしても剣術についての洞察が一段落すると、余計なところに目がいってしまう。
(くっ・・・我慢だ、我慢。そうだ、こういうときは司教の裸を想像して数を数えればいいんだ!司教の裸が一つ、司教の裸が二つ、司教の裸が三つ・・・うげっ)
訳の分からない情欲の収め方をしながら、シュウはどうにかその場を乗り切る。
昂った情欲のままサーラに接し、万が一にも余計な問題を起こしたものならタダでは済まない。
シュウはその夜、皆が寝静まったらこっそりと娼館に行こうと思った。
どうにかパーティーに居続けるために、鬼気迫るほどの集中力で鍛錬に励むサーラは、そんな二人の存在に気付くはずもなかった。
その間は、サーラは今度こそ実戦で役に立てるようにと、自由時間の時には必死で剣の鍛錬に明け暮れていた。
役立たずだとシュウに落胆されたくなかったし、そうでなくても『光の戦士達』を追放されることになれば、シュウと会うことは叶わなくなるからだ。
これまでもサーラはせっかく加入させてくれたパーティーから追放されないために頑張っては来たが、このときの入れ込み様はそれらの比ではないほどのものだった。
「ふっ!」
これ以上に無いほどの集中力でサーラは鍛錬に臨む。
何時間も一心不乱に剣を振るい続け、仮想敵を何千何百と斬り伏せる。
一振りするたびに剣風が巻き起こり、気が付いたときには周囲は嵐が吹き荒れたかのような惨状になっていることもしばしばだ。
しかし、ただ激しいだけではない。
サーラが剣を振るう様は非常に美しい。
重心のブレがなく、『斬る』ために必要最低限の無駄のない動き。
研ぎ澄まされた剣術は、むしろまるで演舞のように見る者を魅了する。
『光の戦士達』の仲間であるライルとシュウは、サーラのその鍛錬風景に目を向けていた。
「凄いね」
「ええ」
感嘆の声を上げる二人だが、二人とも見ているものは同じでも、思うところは微妙に違っている。
(なんという胸の揺れ。凄い)
ライルが見ているのはサーラの剣ではなく、素振りによって揺れ動くサーラの豊満な胸である。当然、賛美の言葉も胸に対してである。
それはライルがサーラのことを戦力よりも、むしろハーレムの対象として見ているせいである。剣技は確かに素晴らしいと思うが、ライルはそもそもサーラが『剣神』と呼ばれていたのが勧誘した理由の一つであって、彼女が戦力として十二分に通用するのは当たり前のことであり、特別に評価することではないと考えていた。ある意味で大物である。
ライルが邪な目を向けている横で、シュウはサーラのその剣術に注視していた。
武を嗜む者として、サーラの完成された芸術品のような剣は見ていて惚れ惚れするし参考になった。
軸の動きから何から、どうにか自分の体術に転用できないかと模索する。
(素晴らしい。どうにかあの動きを取り入れたいものだが・・・)
必死に・・・そう、必死にそう真面目に考えるようにしていた。
(しかし本当に素晴らしい。あの素晴らしい揺れ・・・じゃなくて!)
シュウも男である。それも情欲の強い男である。ライルと同じように、どうしてもサーラの豊満な胸の動きには目がいっていた。
だが、レウス司教の言いつけによりパーティー内で男女関係で邪なトラブルを起こすことは絶対に許されない。
だから必死でシュウはそちらの方へは気を向けず、純粋に剣技そのものについて考えていたのだ。
しかし、どうしても剣術についての洞察が一段落すると、余計なところに目がいってしまう。
(くっ・・・我慢だ、我慢。そうだ、こういうときは司教の裸を想像して数を数えればいいんだ!司教の裸が一つ、司教の裸が二つ、司教の裸が三つ・・・うげっ)
訳の分からない情欲の収め方をしながら、シュウはどうにかその場を乗り切る。
昂った情欲のままサーラに接し、万が一にも余計な問題を起こしたものならタダでは済まない。
シュウはその夜、皆が寝静まったらこっそりと娼館に行こうと思った。
どうにかパーティーに居続けるために、鬼気迫るほどの集中力で鍛錬に励むサーラは、そんな二人の存在に気付くはずもなかった。
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