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追跡者ライルの災難 その9
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「あの・・・大丈夫ッスか?」
異様な雰囲気のサーラに、アリエスは思わず心配になって声をかけた。
つい先ほどまでアイラに違和感がと言っていた本人こそが、今は一番違和感が有る状態になっている。
サーラは顔を青ざめさせながら小さく震えているように見え、体調が悪いのかとアリエスは思った。だが、サーラは話しかけられてから僅かに間を空けた後、パッと表情を切り替え微笑を浮かべ「なんでもない」と答える。
「・・・ふーん・・・」
先ほど青ざめていたときはとてもサーラは何でもないようには見えなかったが、彼女はそれ以降いつもの調子に戻っていたので、アリエスは特に何かを言うでもなく気にしないことにした。
そうしてライル達が進行すること十数分・・・
地面に転がる魔物のものらしき骸骨は、更にその数も種類も増えていた。
「・・・さっきからなんだこれは・・・一体」
勇者パーティーとして幾多のダンジョンに潜り、数多の敵と出会い倒してきたライルですら、このような魔物の骸骨の山を見る経験は初めてだった。
マダム・テレサの悪趣味な館と似ている空気に、ライルはトラウマを少しだけ思い出して具合が悪くなる。
「気持ち悪・・・」
いつも涼しい顔をしているレーナですら、この異様な光景に口元に手を添え眉を顰めて言う。その言葉が聞こえたアリエスも、言葉にこそしなかったが同感だった。
「・・・?」
そこでアリエスはふと気付く。
先ほどまで普通に歩いていたサーラが、いつの間にかまた顔を青くして俯いていることに。
先ほどと同じように身体を僅かに縮こませて歩いているのを見て、アリエスはピンと来た。
「もしかして・・・怖いんスか?」
ソッとサーラの耳元でそうアリエスが囁くと、サーラはビクッと体を露骨に震わせる。
アタリだ。
この異常事態の中だと言うのに、アリエスは少しだけ楽しくなってきた。
普段は怖い者知らずとばかりに強がっているサーラが、まるで借りてきた猫のように大人しくなっているのを見て、ちょっぴりだけ揶揄ってみたくなった。
「そんなに怖いのなら、私の体にしがみ付いても良いッスよ?フフッ・・・」
意地悪く笑いながらアリエスがそう言うと、サーラはその言葉通り本当にアリエスの腕にしがみ付いて来た。
それも全力で。
「ちょ!?痛い痛い痛い!腕が折れるッス!!のぉぉぉぉ!!?」
メキメキメキ・・・
剛腕のサーラが、気遣うことなく全力で細腕にしがみ付いてくることで、アリエスは腕の骨にヒビが入るくらいの激痛を味わった。
「離して!離してほしいッス!!」
半泣きでそう訴えるアリエスだが、サーラは聞き入れてはくれず、全く離そうとしない。
「なんだあいつら?こんなところで盛りやがって」と言わんばかりの冷たい視線をライルから浴びるが、あまりの急展開にアリエスはそれを気にする余裕がない。
「離して!離してぇぇ!!」
あまりの激痛にアリエスが訴えるが、サーラは「一人に、私を一人にしないでくれ・・・」と呟き続けるだけで腕の力を緩めてはくれない。
結局、アリエスは「せめてもう少し力を緩めてほしいっす」と妥協案を提示することで、この場は収まったのだった。
(まさかこの人がこんなに怖がりだったなんて・・・)
見慣れぬ魔物の骸骨の山は確かに不気味であるが、サーラがそれにここまで恐怖を感じて竦んでしまうなどとは全くの予想外のことで、パーティーメンバー達は唖然とする。
出陣からまだ間もないというのに、既にイレギュラーがいろいろと起きているが、こんなものはまだ序章でしかなかった。
異様な雰囲気のサーラに、アリエスは思わず心配になって声をかけた。
つい先ほどまでアイラに違和感がと言っていた本人こそが、今は一番違和感が有る状態になっている。
サーラは顔を青ざめさせながら小さく震えているように見え、体調が悪いのかとアリエスは思った。だが、サーラは話しかけられてから僅かに間を空けた後、パッと表情を切り替え微笑を浮かべ「なんでもない」と答える。
「・・・ふーん・・・」
先ほど青ざめていたときはとてもサーラは何でもないようには見えなかったが、彼女はそれ以降いつもの調子に戻っていたので、アリエスは特に何かを言うでもなく気にしないことにした。
そうしてライル達が進行すること十数分・・・
地面に転がる魔物のものらしき骸骨は、更にその数も種類も増えていた。
「・・・さっきからなんだこれは・・・一体」
勇者パーティーとして幾多のダンジョンに潜り、数多の敵と出会い倒してきたライルですら、このような魔物の骸骨の山を見る経験は初めてだった。
マダム・テレサの悪趣味な館と似ている空気に、ライルはトラウマを少しだけ思い出して具合が悪くなる。
「気持ち悪・・・」
いつも涼しい顔をしているレーナですら、この異様な光景に口元に手を添え眉を顰めて言う。その言葉が聞こえたアリエスも、言葉にこそしなかったが同感だった。
「・・・?」
そこでアリエスはふと気付く。
先ほどまで普通に歩いていたサーラが、いつの間にかまた顔を青くして俯いていることに。
先ほどと同じように身体を僅かに縮こませて歩いているのを見て、アリエスはピンと来た。
「もしかして・・・怖いんスか?」
ソッとサーラの耳元でそうアリエスが囁くと、サーラはビクッと体を露骨に震わせる。
アタリだ。
この異常事態の中だと言うのに、アリエスは少しだけ楽しくなってきた。
普段は怖い者知らずとばかりに強がっているサーラが、まるで借りてきた猫のように大人しくなっているのを見て、ちょっぴりだけ揶揄ってみたくなった。
「そんなに怖いのなら、私の体にしがみ付いても良いッスよ?フフッ・・・」
意地悪く笑いながらアリエスがそう言うと、サーラはその言葉通り本当にアリエスの腕にしがみ付いて来た。
それも全力で。
「ちょ!?痛い痛い痛い!腕が折れるッス!!のぉぉぉぉ!!?」
メキメキメキ・・・
剛腕のサーラが、気遣うことなく全力で細腕にしがみ付いてくることで、アリエスは腕の骨にヒビが入るくらいの激痛を味わった。
「離して!離してほしいッス!!」
半泣きでそう訴えるアリエスだが、サーラは聞き入れてはくれず、全く離そうとしない。
「なんだあいつら?こんなところで盛りやがって」と言わんばかりの冷たい視線をライルから浴びるが、あまりの急展開にアリエスはそれを気にする余裕がない。
「離して!離してぇぇ!!」
あまりの激痛にアリエスが訴えるが、サーラは「一人に、私を一人にしないでくれ・・・」と呟き続けるだけで腕の力を緩めてはくれない。
結局、アリエスは「せめてもう少し力を緩めてほしいっす」と妥協案を提示することで、この場は収まったのだった。
(まさかこの人がこんなに怖がりだったなんて・・・)
見慣れぬ魔物の骸骨の山は確かに不気味であるが、サーラがそれにここまで恐怖を感じて竦んでしまうなどとは全くの予想外のことで、パーティーメンバー達は唖然とする。
出陣からまだ間もないというのに、既にイレギュラーがいろいろと起きているが、こんなものはまだ序章でしかなかった。
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