『濁』なる俺は『清』なる幼馴染と決別する

ゴウキ・ファミリー

ゴウキ怒りのお説教

「全員正座！！」


ゴウキがそう叫ぶと、襲撃者たちは皆弾かれたような動きで一斉に正座をした。
既にぶちのめされた人間を除き、襲撃者たちの頭には皆ゴウキのげんこつによってつけられた大きなタンコブが出来ている。
逃走した者を除き、襲撃者全員がこれで満身創痍の状態だが、当のゴウキ本人は炎の魔法を受けたばかりであるはずなのに、超回復体質によって既にほとんど外傷はない状態であった。
それを見て「やはり人間じゃないんだ・・・」と内心襲撃者たちは思い震えていた。


「で？お前らセントラルギルドで汚職してたアンドレを潰したことの腹いせに、俺を襲ったってことでいいんだな？」


ゴウキの言葉に、襲撃者たちは恐る恐る頷く。


「馬鹿か！」


瞬間、ゴウキが最寄りで正座していた襲撃者の男の顔面に張り手をくらわせた。
花火が弾けるような大きな音を轟かせ、張り手された男は地面に崩れ落ちる。今の一撃で完全に意識を失っていた。
それを見たゴウキ周辺に座っていた襲撃者たちが、「近くにいるとぶっとばされる」と考え、他の場所へ移動しようとモゾモゾ動きだしている。
ゴウキはそんな襲撃者たちを無視し、声を張り上げる。


「お前ら性根が腐りきってる！食い扶持を失ったって言ってたが、俺に報復をしたところで何にもならないことくらいわかってるだろ！？そんなことをするエネルギーがあるなら、真面目に働けばいいだろうが！！」


ゴウキの説教が夜の4区に轟いた。
先ほどの大立ち回りのこともあり、その耳をつんざくほどの声量のためにすっかり辺りにはギャラリーが湧いている。聞いているだけで竦み上がるような怒声であった。


「そんなこと言ったって・・・」


「でも・・・」


「そんなこと言えるのは・・・」


だが襲撃者たちはゴウキと目こそ合わせないものの、ただ聞いているだけでなく地面に向かって何やらふにふにと言い訳のみたいなことを呟いている。
そんな襲撃者たちを見て、更にゴウキは激昂し拳を振り上げ・・・


「やめときなよゴウキ」


・・・なかった。

そうしようと思った瞬間、ゴウキの前にスミレが立ちはだかったからだ。