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ゴウキ・ファミリー

ゴウキ・ファミリー、考えるとき

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「兄弟は大きなことをやりたがるくせに、自分がその立場に立とうとするのは嫌がる。それはちょっと虫が良いんじゃねぇか?」


ぐさりとディックはゴウキの胸に刺さることを言った。


「思い出せよ。俺達が昔、どうしてギャングを結成したのかをよ」


「・・・」


ゴウキ達孤児は、王都のスラムである4区で生きるために、大切な人を守るために理不尽な暴力からの抑止力を持とうとした。それがギャングを結成した理由だった。

暴力には暴力を。
悪意には悪意を。

ゴウキ達が力と数に物を言わせ、徹底して4区で自分達に害する者を押さえつけ続けた結果、彼らの身内の安全は守られることになった。報復が何より恐ろしいと敵対勢力から恐れられたからだ。

敵対するやつの目を潰したこともある。股間のモノを切り取ったこともある。
悪意にはそれ以上の悪意を持って返した。恨みには恨みが重なり、普通なら泥沼の報復合戦が始まろうものだが、実際にはそうはならなかった。

それはゴウキがあまりに強すぎたからである。

素手でありながら圧倒的な戦闘力を持つゴウキは、殺し屋ですら返り討ちにするほどの力と存在感を持っていた。
そしてそんな彼が率いるギャングは、絶対に逆らうべきではないとされ、仲間が増えこそすれ敵対する者は増えなかった。結果、4区では彼らのギャングは高い地位を誇ったのである。


「兄弟が抜けた後は俺達もそこそこ苦労したこともあったけど、結果として今のところうまくいってる。俺のところはもう大丈夫だ。でも兄弟は兄弟で、また新しく組織を作る必要があると俺は思うね。兄弟がやりたいことを阻害されないような、そんな力を持つ組織を」


「組織・・・ね」


ゴウキは昔を思い出しながら呟く。
確かに元は個人の力では叶えられないことを叶えるためにディックと結成したのがギャングだった。

ここ最近ゴウキは確かに本来個人の力では成しえないはずのことを成してきた。
だが、それはディックの言葉を借りるならたまたまだとゴウキも感じてはいた。
勢いで行動したのはいいが、実際は失敗して目も当てられなかった結果になったことだってあったはずなのだ・・・ディックに言われ、ゴウキはそう考えた。


「ま、別に今すぐどうとかって話じゃねーよ。俺だって兄弟の力になるし、頼ってくれていい。けど、兄弟が今のままでいるなら、いつかは絶対に兄弟独自の組織が必要になるぜって話だ。セントラルギルドの圧力だって続くんだろうしな・・・そういうのを跳ね除けるだけの力が必要だってことさ」


「・・・」


「さ、兄弟。説教はこれで終わりだ。飲み直そうぜ」


「・・・」


「兄弟・・・?」


ゴウキはディックの言葉も耳に入らず、深く考え込んでしまっていた。
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