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ゴウキ・ファミリー

目の前にして

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「・・・思ったより用事が早く片付いちまったな」


ゴウキが自分が想定していたそれを遥か下回るほどの時間で、盗賊の殲滅、スライムジェルの販路の開拓、現地での商売のパートナ探し・・・全てを終わらせることが出来たことに安堵の溜息をついた。
特に盗賊の殲滅については、レジプスの正規軍すら不可能であったことだけに、長期戦になるかもしれないと考えていた。その時は盗賊を探しがてら、しばらくはスライムジェルは自分達の手で運搬しようかとさえ考えていたほどである。


「レジプスの王都まであと一時間ほどの距離です。あとひと頑張りですよ」


先頭を歩きゴウキ達を先導するムハンの声は弾んでいる。
ゴウキから売り込みたい商品の話を聞き、大きな利益になる商売になることがわかったからである。
ゴウキが行いたいスライムジェルの取引自体はレジプスでは他の商人もやっている盛んな取引だった。だが、誰もかれもが盗賊や魔物を恐れ、厳重な警備を連れた隊商を使って運搬させるため、慢性的にコストの高い取引になってしまっていた。
だが、彼が警戒していた元盗賊団そのものが運搬するならば、そのコストはグッと低くなる。盗賊も魔物も脅威から消えるからだ。

そのうちに他の商人たちも砂漠にいつの間にか盗賊が出なくなったことに気付くかもしれない。だが、彼らが気付くそれまではムハンが取り仕切る格安盗賊便による取引は、莫大な利益を叩き出す予定だった。
他の商人を出し抜いて一気に名を挙げるチャンスだ、ムハンは野心に胸を高鳴らせていた。

やがてムハンは現実にレジプスにおいて名を知らぬ者はいなくなるほどの大商人になるのだが、それはまだ少し先の話・・・



「見えますか?あれが王都です」


「おぉ・・・」


ムハンが言うように一時間ほども歩くと、やがて視界にレジプスの王都を捉えることができた。
それまでに延々と歩き続けてきただけに感動もひとしお・・・ とりあえず宿を取って楽になりたかったが、ここでムハンから待ったがかかった。


「少し待ってくださいませんか?決して悪いことになりませんから」


「は?」


王都の門を目前にして、ゴウキ達はムハンに待っていろと言われ、足止めされることになる。訝しむゴウキ達の後目に、ムハンは黄金の器を布でくるみ王都へ入っていった。
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