230 / 506
ゴウキ・ファミリー
ゴウキに纏わる噂
しおりを挟む
「たまには打ち上げにでも行かないか?このところ、バタバタと忙しくて出来なかっただろう?」
想像を遥かに超えて低い査定額をつけられ、意気消沈していたパーティーを活気づけるようにリフトがそう提案した。
正直クレア自身は言われた当初はそんなテンションではなかったが、しかし言われてみれば最近はきちんとしたレストランでゆっくりと食事をすることなんて無かった。こうした心の余裕の無さが巡り巡って今の不遇の引き寄せているのではないかとクリスは考え
「そうね。たまにはいいかもね」
と答えたことでリフトの提案通り、久々に勇者パーティーの打ち上げがされることになった。
遠征から帰ってきて着の身着のままであるし、移動で疲れてもいるのでセントラルギルドに隣接した冒険者が良く利用するビストロへ足を運んで席についた彼女らの耳に、隣の冒険者達の話声が入った。
「おい、聞いたかよまたゴウキがやったらしいぜ」
ゴウキーー
その名に反応して、メンバー達の体がピクリと動く。特にクレアは一際他のメンバーより集中して冒険者達の話を聞くようにした。
「決闘だっけか?」
「あぁ。今度戦った相手も再起不能だとよ。今だに病院から出てこないらしい」
「!!」
まさかゴウキがそんなことを!?とクレアの口から思わず声を出そうになるが、それを必死に堪える。
「ギブアップしても攻撃の手を止めなかったんだってよ。まさに悪魔だと見ていた連中が口にしているらしい」
「頭を掴んでブチっと胴体から引きちぎったって話を聞いたことがあるからなぁ。それくらいしてもおかしくねぇな」
「決闘開始からいきなり目から光線を出して跡形もなく焼き払ったって聞いたことがある」
「決闘、という形になるとどうしても過剰殺傷しても憲兵は見て見ぬふりしがちだからなぁ。というかそんなことするゴウキを取り締まろうとする命知らずの憲兵なんかいるわけないわな」
「しかしアイツを倒せば一気に名を上げるチャンスだからな。挑戦者は後を絶たないらしいぞ」
「おぉこわ。命あってこそだろうがよ。今のところゴウキに決闘を挑んで命のあったやつなんてほとんどいないんだろ?信じられないねぇ」
「あれでも元勇者パーティーだっけか?タガが外れて本当好き放題だな」
冒険者達は好き勝手に話をしているが、もちろん根も葉もない噂である。ゴウキに対するイメージが湾曲し、噂は形を変えに変え、すっかりファンタジーの域に達しようとしていた。
流石にここまで来ると話し半分通り越して根も葉もない噂だと呆れて聞いていたリフト達だったが、クレアだけは少し違った。全部を信じているわけではないが、それでも悪い印象になるだけのことはやったのだろうと考えた。
「ゴウキ・・・今何をしているの?」
クレアは翌日は、朝早くからゴウキを探そうと決心した。
想像を遥かに超えて低い査定額をつけられ、意気消沈していたパーティーを活気づけるようにリフトがそう提案した。
正直クレア自身は言われた当初はそんなテンションではなかったが、しかし言われてみれば最近はきちんとしたレストランでゆっくりと食事をすることなんて無かった。こうした心の余裕の無さが巡り巡って今の不遇の引き寄せているのではないかとクリスは考え
「そうね。たまにはいいかもね」
と答えたことでリフトの提案通り、久々に勇者パーティーの打ち上げがされることになった。
遠征から帰ってきて着の身着のままであるし、移動で疲れてもいるのでセントラルギルドに隣接した冒険者が良く利用するビストロへ足を運んで席についた彼女らの耳に、隣の冒険者達の話声が入った。
「おい、聞いたかよまたゴウキがやったらしいぜ」
ゴウキーー
その名に反応して、メンバー達の体がピクリと動く。特にクレアは一際他のメンバーより集中して冒険者達の話を聞くようにした。
「決闘だっけか?」
「あぁ。今度戦った相手も再起不能だとよ。今だに病院から出てこないらしい」
「!!」
まさかゴウキがそんなことを!?とクレアの口から思わず声を出そうになるが、それを必死に堪える。
「ギブアップしても攻撃の手を止めなかったんだってよ。まさに悪魔だと見ていた連中が口にしているらしい」
「頭を掴んでブチっと胴体から引きちぎったって話を聞いたことがあるからなぁ。それくらいしてもおかしくねぇな」
「決闘開始からいきなり目から光線を出して跡形もなく焼き払ったって聞いたことがある」
「決闘、という形になるとどうしても過剰殺傷しても憲兵は見て見ぬふりしがちだからなぁ。というかそんなことするゴウキを取り締まろうとする命知らずの憲兵なんかいるわけないわな」
「しかしアイツを倒せば一気に名を上げるチャンスだからな。挑戦者は後を絶たないらしいぞ」
「おぉこわ。命あってこそだろうがよ。今のところゴウキに決闘を挑んで命のあったやつなんてほとんどいないんだろ?信じられないねぇ」
「あれでも元勇者パーティーだっけか?タガが外れて本当好き放題だな」
冒険者達は好き勝手に話をしているが、もちろん根も葉もない噂である。ゴウキに対するイメージが湾曲し、噂は形を変えに変え、すっかりファンタジーの域に達しようとしていた。
流石にここまで来ると話し半分通り越して根も葉もない噂だと呆れて聞いていたリフト達だったが、クレアだけは少し違った。全部を信じているわけではないが、それでも悪い印象になるだけのことはやったのだろうと考えた。
「ゴウキ・・・今何をしているの?」
クレアは翌日は、朝早くからゴウキを探そうと決心した。
0
お気に入りに追加
303
あなたにおすすめの小説
【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
国外追放者、聖女の護衛となって祖国に舞い戻る
はにわ
ファンタジー
ランドール王国最東端のルード地方。そこは敵国や魔族領と隣接する危険区域。
そのルードを治めるルーデル辺境伯家の嫡男ショウは、一年後に成人を迎えるとともに先立った父の跡を継ぎ、辺境伯の椅子に就くことが決定していた。幼い頃からランドール最強とされる『黒の騎士団』こと辺境騎士団に混ざり生活し、団員からの支持も厚く、若大将として武勇を轟かせるショウは、若くして国の英雄扱いであった。
幼馴染の婚約者もおり、将来は約束された身だった。
だが、ショウと不仲だった王太子と実兄達の謀略により冤罪をかけられ、彼は廃嫡と婚約者との婚約破棄、そして国外追放を余儀なくされてしまう。彼の将来は真っ暗になった。
はずだったが、2年後・・・ショウは隣国で得意の剣術で日銭を稼ぎ、自由気ままに暮らしていた。だが、そんな彼はひょんなことから、旅をしている聖女と呼ばれる世界的要人である少女の命を助けることになる。
彼女の目的地は祖国のランドール王国であり、またその命を狙ったのもランドールの手の者であることを悟ったショウ。
いつの間にか彼は聖女の護衛をさせられることになり、それについて思うこともあったが、祖国の現状について気になることもあり、再び祖国ランドールの地に足を踏み入れることを決意した。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる