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ゴウキ・ファミリー

物価の高騰?

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「・・・え?これだけ・・・?」


クレア達はワイバーン討伐の依頼を受けるため、その準備のために手分けして商店を巡り回復薬などを買い込んだのだが、手元に残った金を見てクレアは驚愕の声を上げた。
北の国境での緊急依頼、そして魔人出現という重要な情報を提供した謝礼もあって、国王からそこそこまとまった礼金を受け取っていたクレアは、懐が温まったことで多少気が緩んだのか「前のように値上がりしている可能性もあるから」と言って買い出しをするメンバー全員に多めの金を渡していた。例えレートがつり上がっていても、用意するべき数はしっかり揃えたいと思っていたからだ。

しかし、今回の買い出しにかかった費用はクレアの想定を超え、流石にの予想外過ぎる自体に唖然としてしまう。


「どこに行っても高くて・・・」


ミリアが申し訳なさそうに俯く。


「これでも負けてもらってる、と言ってました・・・」


マリスがそう言ってスッと領収書を差し出す。


「特にインフレになる要素は聞いたことがないが、いろいろと事情があるのだろうが、まぁ仕方がない・・・よね」


口ではそう言いつつも、どこか釈然としない態度のリフト。
皆を疑っているわけではない。きちんとお願いした通り揃えて欲しい物を揃えた結果がこれなのだろう。しかしそれにしても前回の値上がりの時すら高いと思っていたそれが、さらに値上がるとは考えていなかった。多少の変動はあれど、ここまでの値上げは想定外過ぎた。


「これからも上がる可能性があると言っていました」


マリスの言葉に、クレアはフッと眩暈がしそうになる。
クレア達冒険者は遠征に出る際は、万が一の事態を想定して多めに回復アイテムの買い出しをする。となると単価が上がると一度に買い出しにかかる費用が馬鹿にならないことになるのだ。
これからも買い出しをするたびにこうした衝撃を受けることになるのかと思うと、クレアは気が重くて仕方が無かった。
以前はこうしたアイテムの購入はゴウキが担当していた。街を歩き回っている分、多少時間はかかるがゴウキなら今かかっている費用の半分以下で全てを揃えていたのだ。
この場にいる誰もが彼のことを思い出す。しかしそれは口には出さず、微妙な雰囲気が沈黙を作り出していた。


ちなみに王都において物価の高騰は起こっていない。むしろスライムジェルなどの材料の値崩れにより逆の現象が起きていると言って良い。クレア達は容易に騙せると商店間で情報が出回ってしまったので、クレアが買い出しをする正規品取り扱い店では彼女に値段を釣り上げるようになっていたのだ。
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