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ゴウキ・ファミリー

全部ゴウキのせい

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「ゴウキに・・・恋人・・・?」


ミリアは呆然として新聞を手に持ったままへたり込んだ。


「『か?』って書いてあるから・・・まぁ、良くあるいい加減なゴシップ記事よ」


最初の最初にショックを受けてから時間が少し経過したせいか、一足早く気を取り直したクレアは落ち着いた風を装ってそう言う。


「・・・けど、同じパーティーを組んで、同じ拠点で生活しているみたいですよ。そういうことになってもおかしくはないですよね」


ミリアの手からバルジ国報を取り上げて読んだマリスは、どうでも良さそうに思ったままを口にした。その言葉にクレアとミリアの二人がビクッと肩を震わせる。


「いや・・・別にゴウキさんに本当に恋人が出来たところで、どうでもいいことじゃないですか」


二人の反応を見てマリスが不思議そうな顔をしてそう言うと、クレアは俯いて押し黙り、ミリアも目を閉じて何か考え込むような仕草を見せる。


「それは・・・そうだけど」


「そう・・・よね。私はリフトさんと婚約しているし、気にすることではない・・・はずよね」


二人してブツブツ言っている横で、リフトは他の新聞を全て読み終わってから憤慨していた。


「クリスタルダンジョンのことが書いてある!バーレン侯爵はどうしてゴウキに何か依頼を出したんだ!?僕達が依頼を失敗したことだって漏れてるじゃないか!!」


リフトは勇者パーティーが依頼を失敗したことを恥になるから内緒にしてくれとバーレン侯爵に泣きついていた。だが、こう新聞にでかでかと取り上げられてしまっては、自分達が王都に帰ってからギルドにも冒険者にも見せられる顔がない。
情報を洩らしたのはバーレン侯爵か、セントラルギルドか・・・恥を表沙汰にした者が許せないという怒りとともに、リフトの胸の中を絶望感が満たしていく。


「王都に戻ったら、すぐさま侯爵とギルドに抗議しよう。そして依頼失敗についてどうにか誤魔化して名誉の回復に努めないと・・・」


焦燥感のあまり、リフトは目がグルグル目になって思考も混乱し始めていた。


「リフトさん、落ち着いてください。新聞屋はどこからでもかぎつけますし、紙面に載ったからには今さらどうにもなりませんよ・・・」


マリスはそんなリフトを心配そうな顔で見ながら、やんわりと諭す。


「あ・・・あ・・・あああああああ!全部、全部ゴウキが悪い!!」


マリスの言葉の意味を理解し、リフトは半ば発狂して叫び出した。


リフトが怒り狂い、クレアがミリアが呆然とし、マリスが呆れ返る。
そんな勇者パーティーを御者は「大丈夫かいな?このパーティー」と可哀想な者を見る目で眺めていたのだった。
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