『濁』なる俺は『清』なる幼馴染と決別する

はにわ

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ゴウキ・ファミリー

ドミンゴが見た伝説 その1

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「クリスタルゴーレムは俺が引きとめる!その間に何とかクリスタルウルフをやってくれ!!」


ゴウキはそう叫び、一人クリスタルゴーレムへと掴みかかっていった。


「まさか!」


それを見たドミンゴは唖然とする。
自分の何倍もある体格のクリスタルゴーレムに向かって、素手で立ち向かっていく姿は狂気の沙汰であるとしか思えなかった。


ガッ


だが実際に組み合いになり、決して力負けせずにクリスタルゴーレムの動きを止めているゴウキの姿を見て、ドミンゴは更に驚愕する。
どれだけの力持ちなんだ!あれだけの怪力の持ち主を見たことがない!!
だが、ドミンゴが驚くべきはそれだけではなかった。


ドミンゴがそこを見たのはたまたまだった。
直感で何かをする・・・そう感じたからこそを見た。
自分を守ってくれるようにクリスタルウルフの前に立ちはだかったデニス・・・その彼は目にも見えぬ速さでクリスタルウルフの胸に飛び込んだ。


「死ねやぁぁぁぁ!!」

物静かな印象を受けていたデニスが突然叫び出したことでドミンゴはビクッと体を奮わせる。


「あっ!」


デニスが腰に差した刀を抜刀することなく納刀したまま突っ込んでいくのを見てドミンゴが「剣は抜かないと」と言いかけた瞬間、クリスタルウルフたちは一度に数体がバラバラになっていた。


「は・・・?」


クリスタルウルフは剣で戦うには相性が良くない。生半可な剣と腕では、刃こぼれするだけでろくに傷を負わすこともできないのだ。だが、デニスの剣は一瞬にしてあっさりとクリスタルウルフ数体の体を切り刻んでいた。

「いつの間に抜いたんだ!?」


ドミンゴは目を凝らしてデニスの動向を伺っていたが、抜刀する瞬間を見ていなかった。気が付いたら剣を抜き終えていたのである。


「な・・・」


そしてドミンゴが驚愕している間に、残りのクリスタルウルフも全てがバラバラになっていた。そのほとんどが戦闘態勢に入る間もなく切り刻まれていた。自分達に何が起こっているのかわかってもいなかったかもしれない。


「一式、隼・・・」


デニスはぼそりと呟きながら、緩やかな動きで刀を鞘に納める。
凄いとも思ったが、斬りかかるときのテンションと終わった後のそれとで落差が大きすぎてドミンゴは困惑した。

ドミンゴはデニスのことを「煩さと静寂を併せ持つ剣豪」と記憶した。
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