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ゴウキ・ファミリー
ドレークの完敗
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ドレークは傭兵団出身だった。
少年時代、傭兵団がたまたま立ち寄ったバルジ王国の王都を気に入り、そのまま傭兵団を抜け出して今に至る。
特別強力なスキルを持たないドレークの戦闘スタイルは「暗器使い」だった。
傭兵時代に力ない少年だったドレークが屈強な大人たちに紛れて戦をしていくうちに覚えたスキルである。
爆弾、毒、刃物、状況と相手に合わせ、多様な武器を使い分けるこの戦闘スタイルは、面白いほどにドレークにピタリとハマった。強力な魔法も剣技も持たぬドレークだったが、使う道具一つで本来己よりも格上の相手を倒すことが出来、ドレークの冒険者ランクはもう少しでAに上がるところだった。
策さえ用いれば、自分ならば誰であっても倒せる。そういう自負があった。
しかしーー
「ぐふぅっ」
ゴウキの横殴りの拳がドレークの脇腹にめり込む。
腹部がまるまる吹き飛んで消えていったかのように錯覚するほどの衝撃が走った。
「がはっ」
ドレークは悶絶して転がりまわる。
格上の相手からの攻撃を躱す、受け流すといったことの鍛錬は積んできたつもりだった。相手の攻撃を受けながらも極力無効化し、反撃の機会とする・・・そうした戦闘スタイルを得意とし、ドレークはこれまでに圧倒的な力を持つ相手をも倒してきた。
(こいつは・・・駄目だ)
蹲り、胃の中にあるものを全て吐き出す。
たった一撃。
たった一撃でドレークはゴウキとの圧倒的な力の差というものを察してしまう。頭の悪いバルドーと違い、すぐにドレークはそのことに気付いた。
これまでにできたような、小細工でひっくり返すなど到底かなわぬような相手であることを知る。巨象をフォークで仕留めるようなものだ。
戦う気力は既に無かった。しかし逃げようとしても体が動かない。逃げることも、反撃に転ずることも出来ない。
ただ体に走るダメージが抜けるのを待つだけだ。
「・・・!」
だが、ゴウキはダメージが抜けるのを悠長に待ってはくれなかった。
ドレークの目に氷のように冷たい目で自分を見下ろすゴウキが映る。ゴウキはドレークに馬乗りになり、岩のような拳をドレークの顔面に叩きつける。
鼻が折れ、
歯が折れ、
顎が砕かれ、
そして最後は意識を飛ばされた。
最後にドレークの目に映ったのは、拳を血に染めながらただただ無表情に自分を殴り続けるゴウキ。
小細工では本物の暴力には通用しない。
慈悲など存在しない、ただ歯向かってきた存在を潰すといった圧倒的強者の持つ貫禄と、底知れぬ恐ろしさを味わい、ドレークは意識を手放した。
後に相手がかつて勇者パーティーに属していた有名なゴウキであると知り、彼は己の不勉強さと迂闊さを恨む。
少年時代、傭兵団がたまたま立ち寄ったバルジ王国の王都を気に入り、そのまま傭兵団を抜け出して今に至る。
特別強力なスキルを持たないドレークの戦闘スタイルは「暗器使い」だった。
傭兵時代に力ない少年だったドレークが屈強な大人たちに紛れて戦をしていくうちに覚えたスキルである。
爆弾、毒、刃物、状況と相手に合わせ、多様な武器を使い分けるこの戦闘スタイルは、面白いほどにドレークにピタリとハマった。強力な魔法も剣技も持たぬドレークだったが、使う道具一つで本来己よりも格上の相手を倒すことが出来、ドレークの冒険者ランクはもう少しでAに上がるところだった。
策さえ用いれば、自分ならば誰であっても倒せる。そういう自負があった。
しかしーー
「ぐふぅっ」
ゴウキの横殴りの拳がドレークの脇腹にめり込む。
腹部がまるまる吹き飛んで消えていったかのように錯覚するほどの衝撃が走った。
「がはっ」
ドレークは悶絶して転がりまわる。
格上の相手からの攻撃を躱す、受け流すといったことの鍛錬は積んできたつもりだった。相手の攻撃を受けながらも極力無効化し、反撃の機会とする・・・そうした戦闘スタイルを得意とし、ドレークはこれまでに圧倒的な力を持つ相手をも倒してきた。
(こいつは・・・駄目だ)
蹲り、胃の中にあるものを全て吐き出す。
たった一撃。
たった一撃でドレークはゴウキとの圧倒的な力の差というものを察してしまう。頭の悪いバルドーと違い、すぐにドレークはそのことに気付いた。
これまでにできたような、小細工でひっくり返すなど到底かなわぬような相手であることを知る。巨象をフォークで仕留めるようなものだ。
戦う気力は既に無かった。しかし逃げようとしても体が動かない。逃げることも、反撃に転ずることも出来ない。
ただ体に走るダメージが抜けるのを待つだけだ。
「・・・!」
だが、ゴウキはダメージが抜けるのを悠長に待ってはくれなかった。
ドレークの目に氷のように冷たい目で自分を見下ろすゴウキが映る。ゴウキはドレークに馬乗りになり、岩のような拳をドレークの顔面に叩きつける。
鼻が折れ、
歯が折れ、
顎が砕かれ、
そして最後は意識を飛ばされた。
最後にドレークの目に映ったのは、拳を血に染めながらただただ無表情に自分を殴り続けるゴウキ。
小細工では本物の暴力には通用しない。
慈悲など存在しない、ただ歯向かってきた存在を潰すといった圧倒的強者の持つ貫禄と、底知れぬ恐ろしさを味わい、ドレークは意識を手放した。
後に相手がかつて勇者パーティーに属していた有名なゴウキであると知り、彼は己の不勉強さと迂闊さを恨む。
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