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ゴウキ・ファミリー
馬鹿に担がれる暴走神輿
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(まったく、これだから低能は・・・)
アンドレは商談室にゴルドーを置いていくと、ふぅと小さく溜め息をついて自分のデスクに戻ってきた。
気を取り直して同僚達から押し付けられた書類に手を付ける。
(さて、情報収集の時間だ)
アンドレはこの書類仕事を苦には感じていなかった。ここは王都で一番の冒険者ギルド・・・こうして書類仕事をするだけで、ありとあらゆる情報が入ってくる。
(これを生かさないなんて彼らは馬鹿だ)
自分に仕事を押し付けてきた同僚達を心の中で見下す。
アンドレからすれば目の前の書類の山はまさに宝の山そのものだ。金になる情報が山になっている。
勤務時間中に賃金を貰いながら、更なる金の種となるギルドでしか知りえない貴重な情報を時間たっぷり閲覧できる。これをむざむざ他人に手渡し、金儲けに使えない連中は本当に馬鹿だとアンドレは思っていた。
(ふむ、あそこのパーティーはあの優秀な斥候を追放したのか。あの斥候がいるお陰でA級への昇格の話が持ち上がったと言って良いのに。この情報を他パーティーに流せば金になるだろう。それだけ価値のある斥候だからな)
アンドレは金の種になりそうな情報を頭の中に留めておく。こうして仕事中に得た情報を金に換え、彼は本業の十数倍の収入を得ていた。
冒険者と懇意にするのも金の種採取の一環だ。懇意にしておけば他の職員には話さないようなことも話してくれる。それどころか中には金儲けのための手先になってくれる場合もある。
(ま、中には熱が入り過ぎてうざったくなるゴルドーのような冒険者もいるが・・・)
アンドレはゴルドーのことを思い出し、溜め息をつく。
ゴルドーは以前、金策で困っていたときに気まぐれで情報をくれて以来アンドレの忠実な駒になっていた。ただ、駒になるだけなら良かったが、アンドレに心酔するあまりに自分はギルド職員のままでいていい人間ではないと言い出したのには困惑した。
アンドレは金儲けはゲーム感覚として好きだが、別に上昇志向があるわけではない。あくまでギルド職員として暮らしていく中で、職権乱用しながらどれだけ金儲けが出来るか、どれだけ退屈凌ぎができるか、あくまで小遣い稼ぎと火遊び感覚でしかなかった。
だがいつしか単純かつ思い込みの激しいゴルドーは「アンドレはそこで納まって良い器ではない」と勝手に熱くなっている。そして、いつの間にかアンドレが戯れで手懐けてきた半端者の冒険者達を取りまとめ、一つのちょっとした組織を勝手に築いたのだ。
もちろん元締めは勝手にアンドレにされていた。
(馬鹿め。僕はギルドの職員でいるからこそ情報を得られるんだ。僕がギルドをやめたらただの無価値な中年だぞ)
これはアンドレも呆れたが、それでも暑苦しいゴルドーにしつこくせがまれ、ある程度は付き合ってやろうとボスの真似事なんかをしてやった。ギルドで情報を集め、それを元に冒険者達に犯罪行為を起こさせ、金を巻き上げる。これは少しだけアンドレも楽しかったと思うが、ゴルドーは更に暴走した。
ゴルドーは勝手にアンドレと面識もないような少年で構成されたような半端者達すら舎弟につけ始めたのだ。王都最大の犯罪者集団がいつの間にか出来上がった。
(ば、馬鹿の手下、敵より怖い・・・!)
アンドレは機会さえあれば組織を解体したいと思っていた。金は十分に持っている。上納金になんて興味はなかった。
だからゴウキの大暴れは渡りに舟だった。やめさせる?もったいない。いいぞもっとやれ。徹底的に破壊してくれ。そう思っている。
だが、ゴルドーは完全にアンドレの手に余る存在になっていた。
そして、ついに修正の利かないところまで行こうとしている。
アンドレは商談室にゴルドーを置いていくと、ふぅと小さく溜め息をついて自分のデスクに戻ってきた。
気を取り直して同僚達から押し付けられた書類に手を付ける。
(さて、情報収集の時間だ)
アンドレはこの書類仕事を苦には感じていなかった。ここは王都で一番の冒険者ギルド・・・こうして書類仕事をするだけで、ありとあらゆる情報が入ってくる。
(これを生かさないなんて彼らは馬鹿だ)
自分に仕事を押し付けてきた同僚達を心の中で見下す。
アンドレからすれば目の前の書類の山はまさに宝の山そのものだ。金になる情報が山になっている。
勤務時間中に賃金を貰いながら、更なる金の種となるギルドでしか知りえない貴重な情報を時間たっぷり閲覧できる。これをむざむざ他人に手渡し、金儲けに使えない連中は本当に馬鹿だとアンドレは思っていた。
(ふむ、あそこのパーティーはあの優秀な斥候を追放したのか。あの斥候がいるお陰でA級への昇格の話が持ち上がったと言って良いのに。この情報を他パーティーに流せば金になるだろう。それだけ価値のある斥候だからな)
アンドレは金の種になりそうな情報を頭の中に留めておく。こうして仕事中に得た情報を金に換え、彼は本業の十数倍の収入を得ていた。
冒険者と懇意にするのも金の種採取の一環だ。懇意にしておけば他の職員には話さないようなことも話してくれる。それどころか中には金儲けのための手先になってくれる場合もある。
(ま、中には熱が入り過ぎてうざったくなるゴルドーのような冒険者もいるが・・・)
アンドレはゴルドーのことを思い出し、溜め息をつく。
ゴルドーは以前、金策で困っていたときに気まぐれで情報をくれて以来アンドレの忠実な駒になっていた。ただ、駒になるだけなら良かったが、アンドレに心酔するあまりに自分はギルド職員のままでいていい人間ではないと言い出したのには困惑した。
アンドレは金儲けはゲーム感覚として好きだが、別に上昇志向があるわけではない。あくまでギルド職員として暮らしていく中で、職権乱用しながらどれだけ金儲けが出来るか、どれだけ退屈凌ぎができるか、あくまで小遣い稼ぎと火遊び感覚でしかなかった。
だがいつしか単純かつ思い込みの激しいゴルドーは「アンドレはそこで納まって良い器ではない」と勝手に熱くなっている。そして、いつの間にかアンドレが戯れで手懐けてきた半端者の冒険者達を取りまとめ、一つのちょっとした組織を勝手に築いたのだ。
もちろん元締めは勝手にアンドレにされていた。
(馬鹿め。僕はギルドの職員でいるからこそ情報を得られるんだ。僕がギルドをやめたらただの無価値な中年だぞ)
これはアンドレも呆れたが、それでも暑苦しいゴルドーにしつこくせがまれ、ある程度は付き合ってやろうとボスの真似事なんかをしてやった。ギルドで情報を集め、それを元に冒険者達に犯罪行為を起こさせ、金を巻き上げる。これは少しだけアンドレも楽しかったと思うが、ゴルドーは更に暴走した。
ゴルドーは勝手にアンドレと面識もないような少年で構成されたような半端者達すら舎弟につけ始めたのだ。王都最大の犯罪者集団がいつの間にか出来上がった。
(ば、馬鹿の手下、敵より怖い・・・!)
アンドレは機会さえあれば組織を解体したいと思っていた。金は十分に持っている。上納金になんて興味はなかった。
だからゴウキの大暴れは渡りに舟だった。やめさせる?もったいない。いいぞもっとやれ。徹底的に破壊してくれ。そう思っている。
だが、ゴルドーは完全にアンドレの手に余る存在になっていた。
そして、ついに修正の利かないところまで行こうとしている。
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