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追放後
ゴウキ・ファミリー
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「ちょっと待て。やっぱりパーティー名はこれじゃなくていいだろ」
スミレ達3人の冒険者登録が終わり、今度はパーティー結成についての申請を行うという段階で、ゴウキが抗議の声を上げた。
「え?今さら他の考えるの面倒くさくね?どうせ対案なんかないんだろ。これでいいじゃん」
「これでいいと思います。ゴウキ先輩の物になったという気がするし」
「わかりやすくて・・・いいと思うよ」
ゴウキの抗議を聞いても3人は首を縦には振らなかった。だが、ゴウキはどうして認めたくはなかった。何故なら恥ずかしいからだ。
『ゴウキ・ファミリー』
パーティーの名はこれで申請しようと3人が言い出し、これにゴウキは抵抗していた。自分の名前が使われたパーティー名など名乗るのも恥ずかしくなる。どれだけ自己主張が激しいんだとの陰口も凄い事になるだろう。
ところがそんなゴウキへ向かい風が吹き始めた。
「わかりやすくていいと思いますよ」
ノーラまでもがゴウキ・ファミリー案を推した。
「悪党の集まりって感じがしてハッタリが効いていいじゃねぇか」
セシルも大きく頷いている。
「まぁ、この名前にしてもらったほうがこちらとしても今後やりやすいんで・・・」
と、こっそり怪しくほくそ笑みながら小声で言ったノーラの様子にはゴウキは気付かなかった。
「とりあえずこれで頼むわ」
ゴウキの手から申請書をかすめ取ったスミレは、ノーラがいる受付のカウンターにそれを差し出した。
バン
その直後、ノーラの手によって一瞬にしてギルドの判が押される。
「ああああああぁぁ」
ゴウキの嘆きを余所に、ここにゴウキをリーダーとした新パーティー『ゴウキ・ファミリー』が正式に結成された。
「「いえーい」」
スミレ達がゴウキを放置してハイタッチする。
「うっそだろお前等!?これからどれだけ俺『ちょっと自己主張激しすぎないか?』って言われ続けることになると思ってんだよ!」
「まぁまぁ、終わったことは仕方ねーじゃねーか。お前さんは有名なんだから、どうせ他のどの名前にしたってこのパーティーは目立つことになるんだ。それならせっかくならハッタリ効かせられるパーティー名のがすぐ覚えられていいだろうよ」
セシルがゴウキを両肩を後ろから掴んで宥める。
「知名度が上がればそれだけ指名依頼も入りやすくなる。今は無名も無名のフォースギルドだが、ゴウキ・ファミリーに依頼をしたいとなれば否が応でもこちらに仕事が回ってくる。そうなるとこのギルドも助かる!バンバンこれから活躍してくれよな!」
「人の気も知らないで・・・」と恨めしそうな顔でセシルを見たゴウキだが、それでも諦めて気を取り直したのか溜め息を一つつくと
「まぁいいや。早速活動第一弾を何するか決めようぜ」
そう言ってゴウキは歯を見せたニカッと笑った。スミレ達も笑う。
そして徐に依頼書の張られているクエストボードの前に立ち、初陣に相応しい仕事はないか物色する。ややもすると浮かんでいた笑みは、みるみると真顔となっていった。
「・・・くっ、わかっちゃいたが、雑用しかねぇ・・・」
到底今のパーティーメンバーでやるようなものでない依頼しかそこにはなかった。
「それなら今日はダンジョンアタックをしてはどうですか?」
クエストボードの前で唖然とするゴウキに、ノーラはそう提案した。
「皆さんがパーティー組むのは初めてですよね?それなら肩慣らしのためにダンジョンに潜ってみては」
ゴウキはノーラの提案に「そうするか」と頷いた。他3人も異論は無いようだ。
「ならまずは手始めに『黒鉄のダンジョン』はどう?」
スミレが行先を提案する。黒鉄のダンジョンは王都からそれほど離れているわけでもなく、難度B級の上ランクに位置するダンジョンだ。上級冒険者の入口くらいに認識されていて、スミレは大して脅威でもなく、かといって有象無象の冒険者で溢れかえるでもない手頃なダンジョンだと考えていた。
「お、そうだな。そこが手ごろだな」
ゴウキも妥当だと考えたのか、スミレの意見に頷く。
こうしてゴウキ・ファミリーは結成初日から黒鉄のダンジョンを目指して出発した。
「黒鉄のダンジョンを肩慣らしって、どれだけ化け物なんだって話だよ・・・」
セシルは彼らに口は出さなかったが、黒鉄のダンジョンは上級冒険者でもそうそう肩慣らしに使うようなダンジョンではない。上級冒険者とて舐めてかかれば大怪我をすることもあるダンジョンだった。
「まぁ、最初からああして飛ばしてくれればこちらの仕事もやりやすいじゃないですか」
不敵に笑うノーラに対し、セシルもまた同じように不敵に笑う。
「そうだな。それじゃあ、俺達もぼちぼち俺達の仕事を始めるか」
スミレ達3人の冒険者登録が終わり、今度はパーティー結成についての申請を行うという段階で、ゴウキが抗議の声を上げた。
「え?今さら他の考えるの面倒くさくね?どうせ対案なんかないんだろ。これでいいじゃん」
「これでいいと思います。ゴウキ先輩の物になったという気がするし」
「わかりやすくて・・・いいと思うよ」
ゴウキの抗議を聞いても3人は首を縦には振らなかった。だが、ゴウキはどうして認めたくはなかった。何故なら恥ずかしいからだ。
『ゴウキ・ファミリー』
パーティーの名はこれで申請しようと3人が言い出し、これにゴウキは抵抗していた。自分の名前が使われたパーティー名など名乗るのも恥ずかしくなる。どれだけ自己主張が激しいんだとの陰口も凄い事になるだろう。
ところがそんなゴウキへ向かい風が吹き始めた。
「わかりやすくていいと思いますよ」
ノーラまでもがゴウキ・ファミリー案を推した。
「悪党の集まりって感じがしてハッタリが効いていいじゃねぇか」
セシルも大きく頷いている。
「まぁ、この名前にしてもらったほうがこちらとしても今後やりやすいんで・・・」
と、こっそり怪しくほくそ笑みながら小声で言ったノーラの様子にはゴウキは気付かなかった。
「とりあえずこれで頼むわ」
ゴウキの手から申請書をかすめ取ったスミレは、ノーラがいる受付のカウンターにそれを差し出した。
バン
その直後、ノーラの手によって一瞬にしてギルドの判が押される。
「ああああああぁぁ」
ゴウキの嘆きを余所に、ここにゴウキをリーダーとした新パーティー『ゴウキ・ファミリー』が正式に結成された。
「「いえーい」」
スミレ達がゴウキを放置してハイタッチする。
「うっそだろお前等!?これからどれだけ俺『ちょっと自己主張激しすぎないか?』って言われ続けることになると思ってんだよ!」
「まぁまぁ、終わったことは仕方ねーじゃねーか。お前さんは有名なんだから、どうせ他のどの名前にしたってこのパーティーは目立つことになるんだ。それならせっかくならハッタリ効かせられるパーティー名のがすぐ覚えられていいだろうよ」
セシルがゴウキを両肩を後ろから掴んで宥める。
「知名度が上がればそれだけ指名依頼も入りやすくなる。今は無名も無名のフォースギルドだが、ゴウキ・ファミリーに依頼をしたいとなれば否が応でもこちらに仕事が回ってくる。そうなるとこのギルドも助かる!バンバンこれから活躍してくれよな!」
「人の気も知らないで・・・」と恨めしそうな顔でセシルを見たゴウキだが、それでも諦めて気を取り直したのか溜め息を一つつくと
「まぁいいや。早速活動第一弾を何するか決めようぜ」
そう言ってゴウキは歯を見せたニカッと笑った。スミレ達も笑う。
そして徐に依頼書の張られているクエストボードの前に立ち、初陣に相応しい仕事はないか物色する。ややもすると浮かんでいた笑みは、みるみると真顔となっていった。
「・・・くっ、わかっちゃいたが、雑用しかねぇ・・・」
到底今のパーティーメンバーでやるようなものでない依頼しかそこにはなかった。
「それなら今日はダンジョンアタックをしてはどうですか?」
クエストボードの前で唖然とするゴウキに、ノーラはそう提案した。
「皆さんがパーティー組むのは初めてですよね?それなら肩慣らしのためにダンジョンに潜ってみては」
ゴウキはノーラの提案に「そうするか」と頷いた。他3人も異論は無いようだ。
「ならまずは手始めに『黒鉄のダンジョン』はどう?」
スミレが行先を提案する。黒鉄のダンジョンは王都からそれほど離れているわけでもなく、難度B級の上ランクに位置するダンジョンだ。上級冒険者の入口くらいに認識されていて、スミレは大して脅威でもなく、かといって有象無象の冒険者で溢れかえるでもない手頃なダンジョンだと考えていた。
「お、そうだな。そこが手ごろだな」
ゴウキも妥当だと考えたのか、スミレの意見に頷く。
こうしてゴウキ・ファミリーは結成初日から黒鉄のダンジョンを目指して出発した。
「黒鉄のダンジョンを肩慣らしって、どれだけ化け物なんだって話だよ・・・」
セシルは彼らに口は出さなかったが、黒鉄のダンジョンは上級冒険者でもそうそう肩慣らしに使うようなダンジョンではない。上級冒険者とて舐めてかかれば大怪我をすることもあるダンジョンだった。
「まぁ、最初からああして飛ばしてくれればこちらの仕事もやりやすいじゃないですか」
不敵に笑うノーラに対し、セシルもまた同じように不敵に笑う。
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