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追放後
仕事の鬼
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「ま、まだこれだけあるのか・・・」
ゴウキは手持ちにある依頼書を見つめながら、げんなりするように呟いた。
勢いでフォースギルドに溜まった依頼を片付けると言い出したところ、ノーラから倍ほど量を追加されたゴウキは、依頼書にある依頼を片っ端からこなしていた。
草刈り、古小屋の解体作業、烏退治、畑仕事、悔い詰め者の冒険者のやるような安い仕事をただただ無心でこなしていく。
「懐かしいな・・・」
一流冒険者になっていたゴウキだが、経験が無いわけではなかった。4区で生活していた頃には、孤児院のためにとギルドでこっそりこうした雑用仕事を貰ってこなしていたのである。冒険者ギルドで仕事をするには冒険者登録をせねばならず、登録は15歳にならなければできない。当時10歳だったゴウキは登録できない身だったが、あくまで裏道で仕事を都合してもらい、正規の報酬より格安ではあったが毎日いくつもの雑用仕事で小銭を稼いでいた。
だから久々の雑用に戸惑いながらも、手際良くそれらの仕事をこなしていく。
「ありがとう助かったよ」
依頼人から感謝の言葉を述べられていくうちに、最初は仕事量にげんなりしていたゴウキもいつしか笑みを浮かべながら喜んで仕事をするようになっていた。以前に何度かあった、人に感謝されて仕事をする喜びを思い出したのだ。
もちろん、すべての依頼主の態度が良いわけではない。それでも一生懸命仕事をこなすゴウキを見て多くの依頼主が感謝を述べ、差し入れをくれたりするうちに、かつて自分がクレアの誘いを受けて冒険者を目指すようになった理由を思い出していた。
(人の役に立ちたい、喜ばれることをしたい)
勇者パーティーとなることで、ゴウキはそうありたいと願っていたのだ。
だが、実際にはパーティー結成してしばらくすると、金持ち貴族の依頼や、売名するためのメディアの取材ばかりを引き受けるようになり、ゴウキが望み描いていたような冒険者生活は出来なくなっていた。
その頃に比べると、今の状況は悪く無い。ゴウキはそんなことを考えるようにまでなっていた。
それだけ昨今の勇者パーティーでの活動は、ゴウキにとって魅力ないものになっていたのだ。強敵と出会う危険なダンジョンに潜るでもない、人に喜ばれる依頼を受けるでもない、ただ売名のための活動はゴウキにとって無味無臭と言えるような日々だった。それを実感していた。
「帰ったぞ!」
ゴウキが全ての依頼を終わらせて帰ったのは、予定より早い午後2時前であった。
終わらせた依頼は十件ほど。驚異の速さでこなしたわけだが、それでも報酬は全て合わせても格安の宿に4日泊れるかどうかの金額だ。だがゴウキは達成感で満ち溢れていた。
「お帰りなさい!お疲れ様でした」
カウンターにいたノーラが笑顔で迎える。
「思ったより早く終わらせられたぜ」
そう言って依頼主の依頼完了サイン入りの依頼書をカウンターにバサリと置く。
「すごい!まさか本当にここまでやってくれるなんて予想外です」
驚愕にノーラは目を見開いた。
「本当は朝つい変なテンションになってたくさんの仕事を押し付けてしまいましたが、後悔していたんです。ちょっと無茶が過ぎたなって・・・」
そう言って気まずそうに目を伏せるノーラに対し、ゴウキは笑いながら
「最初はびっくりしたけど別に平気だった。まだまだイケるぜ」
と言った。言ってしまった。
その瞬間、ノーラの目がキラリと光り、身を乗り出してゴウキに迫る。
「まだイケるんですか!?イケるんですね!それじゃあ追加でお願いしたいことがあります!!」
更に3枚ほどの依頼書に突きつけるノーラに、ゴウキは唖然とするのだった。
(これは鬼・・・仕事の鬼か?)
知らなかったノーラを一面を知り、ゴウキは戦慄する。今度から迂闊なことを言うのはやめようと心に誓ったのだった。
「ゴウキさんが来たことでこれから忙しくなると思うので、今のうちに溜まっている依頼は少しでも終わらせたいんです!」
「俺が来たことで忙しくなる?」と意味がわからず首を傾げつつも、依頼書を受け取るゴウキだったが、その言葉の意味を理解するのはそれから少し経ってからのことだった。
ゴウキは手持ちにある依頼書を見つめながら、げんなりするように呟いた。
勢いでフォースギルドに溜まった依頼を片付けると言い出したところ、ノーラから倍ほど量を追加されたゴウキは、依頼書にある依頼を片っ端からこなしていた。
草刈り、古小屋の解体作業、烏退治、畑仕事、悔い詰め者の冒険者のやるような安い仕事をただただ無心でこなしていく。
「懐かしいな・・・」
一流冒険者になっていたゴウキだが、経験が無いわけではなかった。4区で生活していた頃には、孤児院のためにとギルドでこっそりこうした雑用仕事を貰ってこなしていたのである。冒険者ギルドで仕事をするには冒険者登録をせねばならず、登録は15歳にならなければできない。当時10歳だったゴウキは登録できない身だったが、あくまで裏道で仕事を都合してもらい、正規の報酬より格安ではあったが毎日いくつもの雑用仕事で小銭を稼いでいた。
だから久々の雑用に戸惑いながらも、手際良くそれらの仕事をこなしていく。
「ありがとう助かったよ」
依頼人から感謝の言葉を述べられていくうちに、最初は仕事量にげんなりしていたゴウキもいつしか笑みを浮かべながら喜んで仕事をするようになっていた。以前に何度かあった、人に感謝されて仕事をする喜びを思い出したのだ。
もちろん、すべての依頼主の態度が良いわけではない。それでも一生懸命仕事をこなすゴウキを見て多くの依頼主が感謝を述べ、差し入れをくれたりするうちに、かつて自分がクレアの誘いを受けて冒険者を目指すようになった理由を思い出していた。
(人の役に立ちたい、喜ばれることをしたい)
勇者パーティーとなることで、ゴウキはそうありたいと願っていたのだ。
だが、実際にはパーティー結成してしばらくすると、金持ち貴族の依頼や、売名するためのメディアの取材ばかりを引き受けるようになり、ゴウキが望み描いていたような冒険者生活は出来なくなっていた。
その頃に比べると、今の状況は悪く無い。ゴウキはそんなことを考えるようにまでなっていた。
それだけ昨今の勇者パーティーでの活動は、ゴウキにとって魅力ないものになっていたのだ。強敵と出会う危険なダンジョンに潜るでもない、人に喜ばれる依頼を受けるでもない、ただ売名のための活動はゴウキにとって無味無臭と言えるような日々だった。それを実感していた。
「帰ったぞ!」
ゴウキが全ての依頼を終わらせて帰ったのは、予定より早い午後2時前であった。
終わらせた依頼は十件ほど。驚異の速さでこなしたわけだが、それでも報酬は全て合わせても格安の宿に4日泊れるかどうかの金額だ。だがゴウキは達成感で満ち溢れていた。
「お帰りなさい!お疲れ様でした」
カウンターにいたノーラが笑顔で迎える。
「思ったより早く終わらせられたぜ」
そう言って依頼主の依頼完了サイン入りの依頼書をカウンターにバサリと置く。
「すごい!まさか本当にここまでやってくれるなんて予想外です」
驚愕にノーラは目を見開いた。
「本当は朝つい変なテンションになってたくさんの仕事を押し付けてしまいましたが、後悔していたんです。ちょっと無茶が過ぎたなって・・・」
そう言って気まずそうに目を伏せるノーラに対し、ゴウキは笑いながら
「最初はびっくりしたけど別に平気だった。まだまだイケるぜ」
と言った。言ってしまった。
その瞬間、ノーラの目がキラリと光り、身を乗り出してゴウキに迫る。
「まだイケるんですか!?イケるんですね!それじゃあ追加でお願いしたいことがあります!!」
更に3枚ほどの依頼書に突きつけるノーラに、ゴウキは唖然とするのだった。
(これは鬼・・・仕事の鬼か?)
知らなかったノーラを一面を知り、ゴウキは戦慄する。今度から迂闊なことを言うのはやめようと心に誓ったのだった。
「ゴウキさんが来たことでこれから忙しくなると思うので、今のうちに溜まっている依頼は少しでも終わらせたいんです!」
「俺が来たことで忙しくなる?」と意味がわからず首を傾げつつも、依頼書を受け取るゴウキだったが、その言葉の意味を理解するのはそれから少し経ってからのことだった。
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